グルメ・クッキング

2009年11月 1日 (日)

Gyro

こちらに来てから、ギリシャ~トルコ~レバノン~ペルシャ(現イラン)~アフガニスタンあたりの料理にハマっています。筆者が在東京時によく参照していたページ 東京レストランサーチ によれば、「2009年2月現在、東京&関東全域では世界75ヶ国+68地方の料理が食べられます」ということにはなっています。が、同サイトに収載されている店は、東京都内で2009年11月1日現在

ギリシャ:6軒
レバノン:1軒
イラン:11軒
アフガニスタン:1軒

しかありません。トルコ料理店だけは20軒程度ありますが、他は「あるにはある」というレベルで、ハマるほど食べ歩けるほどの軒数とは言いがたい状況です。それがこちらにしばらく住むことが出来たおかげで、そこそこ食べ歩くことが出来ました。各国料理の詳細については専門の案内にゆずるとして、非常に大雑把な印象では、ギリシャ~トルコ~レバノン~ペルシャあたりは相互にかなり良く似ていて、どこも美味しいと思います。ケバブなどはこのどこでも見られますし、ムサカなどもそれに近いと思います。Hummus もこのあたりならどこででも食べることが出来ます。流石にアフガニスタンまで行くと、中東と言うよりはかなりインドに近いイメージになります。逆にギリシャは、西側をイオニア海沿いに西にアルバニア・モンテネグロ・クロアチア・スロベニアを経るだけでイタリアに達するという位置にあるのに、イタリア料理とは全く趣きが異なり、地理的にはヨーロッパに属しますが食文化的には中東に属していると考えた方が良さそうです。

実は昨日、前から気になっている Rockville のカジュアルな Greek restaurant に行って来たのですが、そこでその店のスペシャル platter を頼みました。メニューによると、

A large meaty variation featuring GYRO, PORK or CHICKEN SOUVLAKI, SOUJZOUKANI (greek meatball), 2 DOLMADAKIA (rice stuffed vineleaves), feta cheese & olives served on pita bread w/ onions, garnished w/ tomatoes & topped w/ our famous HOMEMADE TZATZIKI SAUCE

と書いてあります。これで $13.95。2人分のランチでちょうどいいサイズでした。何度か通わないとピンと来ないメニューだとは思いますが、dolmadakia だの souvlaki だの、tzatziki だのは極めて Greek(または mid eastern)な料理です。まあとにかく予想を裏切らずに美味だったのですが、一つ疑問だったのは "GYRO, PORK or CHICKEN SOUVLAKI" と書いてあることで、これはどう読むのか今でもちょっと分かりかねています。書いてある通り

"GYRO" または "PORK" または "CHICKEN SOUVLAKI"

と解釈すればよいのか、

"GYRO SOUVLAKI" または "PORK SOUVLAKI" または "CHICKEN SOUVLAKI"

と解釈すればよいのでしょうか。Souvlaki というのは要するに串焼きのことですが、この時点で筆者は gyro のことをピタパンを用いた greek sandwich と勘違いしていたので "gyro souvlaki" はあり得ず、前者だと思いました。が、そうだとしても "sandwith" または "pork" または "chicken souvlaki" ということになり、何だか変です。オーダーでは「3者のうちどれか一つ」ではなく3者の盛り合わせにしてもらいましたが、結局出てきたのは、gyro に相当するのは(多分)ラムでした。帰宅後 Wiki で gyro を調べてみたら、上に書いた通りピタパンを用いたサンドイッチというのは筆者の勘違いでした。

Gyros または gyro (一般的な発音は /ˈdʒaɪroʊ/, ギリシャ語の γύρος (giros) "turn" の意)とはギリシャ料理の一つで、肉・トマト・オニオンおよび tzatziki ソースからなり、ピタパンとともに供される。Gyro はまた同じ中身のサンドイッチとしても供される。

惜しい。サンドイッチではありませんが、かなり近かったようです。しかしやはり肉あるいは焼いた肉そのものを指すのではないようなので、上のメニューもまたちょっとおかしな表記のようです。

中東の shawarma およびメキシカンの tacos al pastor も類似の料理であり、どちらも19世紀に Bursa (トルコ北西の都市)で創作されたトルコ料理の döner kebab に由来する。
Gyro を作るためには、熱源(多くは電気ヒーター)の前に垂直に立てられた回転串に肉を刺す。肉が十分に脂を含んでいない場合には調理中に肉をジューシーかつパリパリに保つために脂肪片を加える。肉はパリっと焼きあがった最外部を垂直に薄くスライスして供する。通常オイルを塗り、軽く焙ったピタとともに供され、サラダやソースなどとともに巻いて食べる。この料理におけるマストアイテムは gyro およびピタだけであり、その他のあらゆる構成要素は食べる者の好きなようにしてよい。 注文時に "ap' óla" と言うと、「全部入り」を指す。

ここで注。「gyro およびピタのみがマストアイテム」という表記から、gyro が料理としての gyro の中の肉部分のみを指すこともあるようです。やっぱり店は間違っていなかった・・・?

米国において供される gyro は、通常挽き肉が用いられ、調理するために巨大な円錐状に押し固められる。ギリシャにおいても 1970年代までは挽き肉が持ちいられていたが、食中毒をきっかけに禁止され、現在は薄切り肉が用いられている。

[名称]
名称はギリシャ語の γύρος ("turn"の意)に由来し、さらにそれはトルコ語の döner kebab ("turning roast" の意訳)に由来する。従前はギリシャでも ντονέρ [don'er] と呼ばれていた。
ギリシャ語の発音は [ˈʝiros] であるが、英語では通例 /ˈdʒaɪroʊ(s)/ または /ˈɡɪəroʊ(s)/ と発音される。ギリシャ語の発音である /ˈjɪəroʊ(s)/ と発音されるためには、英語でのスペルは時に "yeeros", "yiros", または "year-o" 等と表記される。なお語尾の s はを省略するのは上腕二頭筋 biceps muscle を bicep muscle と記すのと同様、英語において散見される行き過ぎた誤訳である。

[起源]
Gyros はギリシャの都市 Thessaloniki の Toumba 地区に端を発する。起源については諸説あるが、1970年に最初に Thessaloniki に gyro をもたらしたのが "Giorgos" という人物で、当初 "gyrádiko" という名称であったとか、1950年代にコンスタンチノープル出身のシェフにより Piraeus で創作されたなどの説がある。

[米国での状況]
Gyros が米国にもたらされたのは 1965年から 1968年の間、シカゴにおいてである。
シカゴに最初に gyros を持ち込み、大量生産を開始したのは自分であるという人物が複数存在する。George Apostolou は、1965年に Parkview Restaurant において最初に gyros を提供したと主張している。1974年には、Apostolou は Central Gyros Wholesale と称する 3000平方sq の工場を開設した。Peter Parthenis は 1973年に Gyros Inc において大量生産を開始し、自分の方が先であると主張している。1968年には The Parhenon restaurant において、Chris Liakouras により垂直方式の gyros ロースターが発明され、gyros が客に無償サンプルとして配布されたため、gyros が人気を博し、それ以降全米に広がっていった。
Gyros の名称は American および Greek-American レストラン・店で一般に用いられている。中東系の店舗等では doner kebab および shawarma という語が用いられる。
米国では通常 gyros はラムまたはビーフおよびラムを用いる。チキン gyros も見られることがある。米国において gyros とともに供されるパンはギリシャの "plain" ピタに似ている。一般にはトマト、オニオン、tzatziki (時に  cucumberソース、yogurt ソース、ホワイトソースと呼ばれることもある)とともに供される。Tzatziki ソースの代わりにサワークリームを供する店もある。通例昼食か夕食で供される。
在米の多くのギリシャレストランではスライスした肉を垂直のロースターにセットして gyros を調理するが、特にファーストフードレストランなどでは、挽き肉を予め筒状に押し固めたものを用い、どちらも外側の焼けた部分を垂直にスライスして用いる。

ところで gyros は、当然単に焼いてトマト等とピタで食べるだけではなく、焼く前の味付けが決め手です。

[スパイスミックス]
典型的なスパイスミックスは、

塩  大さじ3
パプリカ  大さじ1
ホットパプリカ 小さじ1
ホワイトペッパー 小さじ1
ブラックペッパー 小さじ1
乾燥パセリ 大さじ1
ガーリックパウダー 小さじ2
乾燥オレガノ 大さじ1

であるが、これは基本ブレンドであり、好みの応じてシナモン、ナツメグ、クミン、アニス、コリアンダー、フェンネル、オールスパイスなどを加減する。スパイスミックスは良く混ぜ、密封容器で一晩寝かせる。調理前、スライス肉をブロイラーにセットする際にスパイスミックスをふりかける。望ましくはその状態で一晩冷蔵保存すると肉に良く味がなじむ。

これが多分ポイントなのですね。店によって当然味が違うのだと思いますが、どこで食べても結構美味しいと思います。またこれがトマト・オニオン・tzatziki ソースと良くマッチするのです。

ときに垂直の回転ロースターというのは文字で書くと良く分からないかも知れませんが、実際はこんなものです。

写真

こういうものが備え付けてある店を見かけることは珍しくありません。

ところで筆者は 1999年にパリを訪れたとき、セーヌ川を挟んでパリ警視庁の反対側にある安ホテルに泊まりました。そこからはやはりセーヌを挟んでノートルダム寺院も間近に見えました。地上からの眺めはこんな感じです。

ストリートビュー

夕食をとりにホテルの裏側、ソルボンヌ大学方面にほんの少しだけ行くと、いきなりこんな庶民的な路地に入り込みます。

ストリートビュー

そして、この両側に当時はびっしりと gyro の店が並んでいました。確か gyro ではなく kebab と称していたと思いますが。そうした店では、路地に面して gyro ロースターを設置してあり、口々に kebab はいかが、と怒鳴り散らしていたと思います。で、日本人と見ると、どういうわけだか「ヤマモト、ヤマザキ!」と怒鳴ります。山本さんは日本人でも多い苗字ですから(第7位だそうです)いいとしても、山崎さんは21位くらいだそうで、一体だれがそんなことを教えたんだか。
それはさておき、上のストリートビューの少し奥、左側に Gyros という看板が見えます。たまたまインターネット上でその店の正面写真がありました。

こんなのです。

Gyro ロースターが良く見えます。今この通りのストリートビューを見ると、あまりケバブ(シシカバブではなくドネルケバブ)店がびっしりという感じはしませんが、入れ替わってしまったのでしょうか。当時はケバブに興味がなかったのと、パリなんだから極力フレンチを食べようとしてケバブには見向きもしませんでしたが、こんなに美味しいものだとはこちらに来るまで知りませんでした。はたして東京にも同等のものがあるのでしょうか・・・

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2009年10月28日 (水)

Blue Plate Specials

しばらく前に、かなり長いこと気になっていた、ベセスダにある diner に行きました。その店のメニューはこんなのです。

Menu

何でこんなものを引っ張り出して来たかと言うと、この店に行ったとき、Blue Plate Specials というのがあったのを見て、一体なんだろうと思ったからです(pdfの5ページ目冒頭)。メインとサイド(野菜)が2点という組み合わせですが、メインは毎日日替わりになっています。具体的にはこんな感じです。

月曜:Grilled Chicken
火曜:T-Bone Steak
水曜:Crab Cake Platter
木曜&金曜:N.Y. Strip Steak
土曜:Grilled Salmon
日曜:Country Fried Steak

要は日替わり定食なんだろうと思ってはいたのですが、この店の場合 Daily Specials が別にありました(pdf の5ページ目下部)。

月曜:Ham & Cabbage / Macaroni & Groundbeef / Chef Surprise
火曜:Fried Chicken / Beef Stew / Veal Parmesan
水曜:Meatloaf with gravy / Chicken Parmesan / BBQ Spareribs / Chef Surprise
木曜:Swiss Steak / Baked Turkey with Dressing / Beef Tips over Noodles / Franks & Beans
金曜:Chicken & Dumplings / Spaghetti witgh meat sauce / Baked Fish / Macaroni & Cheese
土曜:Baked Turkey with Dressing / Meatloaf with gravy / Country Fried Steak / Chef Surprise
日曜:Baked Chicken / Grilled Onion Steak / Baked Pork Chops with Dressing / Chef Surprise

などとなっています。この店の場合、毎日3~4種類の日替わりになっているようです。で、上の Blue Plate と何が違うかと言うと、同じ日替わりでも後者は毎日いくつかの選択肢がある点と、好きなサイドを2種類選べる点です。残念ながら値段が書いてありませんが、後者の方が高いはずです。

この時は Blue Plate が何者か結局良く分かりませんでしたが、特別な名前をつけるくらいだから、Daily Special よりももっと special なんだろうなと思って帰って来ました。その後 Rockville にある別の diner でも Blue Plate という単語は見かけました。

そして、近々アトランタに行く予定にしているのですが、アトランタで評判の良いレストランはないかと調べていて、ジモティからお勧めとされているレストランも見つけました。そこは diner ではなく tea room と名乗っていますが、そこのメニューはこんなのです。

Lunch Menu

またしても Blue Plate Special があります(pdf 2ページ目左側中央)。ここでは単に Ask Your Server となっていて、たった1行だけです。Ask Your Server とはありますが、店員に聞かなくても多分店の入り口か店内の黒板に書いてあるでしょう。
流石に調べてみましょう。いつものとおり Wiki 英語版の抄訳です。ちなみにこの項目の日本語版はありません。

Blue-plate special

Blue-plate special または blue plate special とは、米国においてレストラン(特に diner や cafe で顕著)で用いられる用語で、特に低価格設定の食事を意味し、通常は日替わりである。"Meat and three"(アントレ1品および野菜3品)で構成されるのが一般的であり、多くの場合仕切りのある1枚の皿に盛られて供される。この用語は 1920年代から 1950年代にかけて非常に良く用いられていた。2007年現在でも blue-plate special をこの用語を用い、場合によっては青い皿にて供するレストラン・ダイナーは少数ながら存在するが、減少傾向にある。しかしながらこの用語自体は、日常会話の表現としては現在もまだ非常に一般的である。

[用語の歴史]

この用語の起源と説明ははっきりしていない。Kevin Reed は「大恐慌時代にあるメーカーが、食事の各部分ごとに区切った皿を作り始めたが、その皿の色として青色しか設定されていなかったからである」と述べている。Michael Quinion は、ある辞書によると blue plate は特に安価で区切られた皿を意味し、そしてその皿に青い柳またはそれに類する柄(Spode や Wedgwood がそうであるように)が描かれていたと指摘している。彼の書簡によると、この用語が最初に用いられたのは、1892年10月22日、Fred Harvey Company のレストランメニューにおいてであるとされ、blue-plate special は Harvey Houses の定番メニューであったとしている。

この用語は 1920年代に一般的になった。1926年5月27日、ニューヨークタイムズ紙に 141 West 45th St にある "The Famous Old Sea Grill Lobster and Chop House" の広告で "A La Carte All Hours", "Moderate Prices", and "Blue Plate Specials" とする広告が掲載された。1928年12月2日、価格の上昇により1ダイムで食事をすることが困難になったことを遺憾とする記事では、しかしまだ Ann Street にある店で「10年前と同様、ステーキとオニオンたっぷりのサンドイッチが1ダイムで食べられ、またアントレと野菜3品の "blue-plate special" も1クウォーターで食べられる」と記している。1934年には Damon Runyon が "Damon Runyon's Blue Plate Special" を刊行している。

"No substitutions"(客の好みに応じてカスタマイズすることを受け入れない)というのが blue-plate special では一般的である。Candid Microphone(往時の人気ラジオショウ)の 1947年のエピソードに、Allen Funt が blue-plate special で、野菜スープをコンソメに代えるなど色々な注文をつけたときに、ウェイターが "no substitution" の意味するところを丁寧に説明するのだが、いっこうに通じずだんだん不愉快になっていく場面がある。Graham Greene による "Our Man in Havana"(1958年)では、"American blue-plate lunch" について、次のような会話がある。

君は blue-plate が何のことだか知っているだろ? Blue-plate は、すでに皿に持ってあるもの ---ローストターキーとクランベリーソースとソーセージとニンジンそれにフレンチフライを一気に君の鼻下に突っ込むのさ。僕はフレンチフライが嫌いだが、blue-plate に選択肢はないのさ。選択肢がないんだよ、え? 出されたものを食えってことさ。民主主義はありがたいねえ。

ということで、単なる日替わり定食ではなく、客の選択肢を減らす代わりに、さらに安価に設定した日替わり定食のことなのでした。でも、日本で言う定食とは「定まった食事」なわけで、日本では通例選択肢はありませんし、カスタマイズする習慣もありません。
こちらでは客の好みに応じてカスタマイズするのは当たりまえ。例えばとある人気のハンバーガーチェーンでは、基本的なミートパティ・チーズ・ベーコンは別にして、次の中からトッピングを好きに選べます。

Mayo Relish, Onions, Lettuce, Pickles, Tomatoes, Grilled Onions, Grilled Mushrooms, Ketchup, Mustard,  Jalapeno Peppers, Green Peppers, A-1 Sauce, Bar-B-Q Sauce, Hot Sauce

それからミートパティ自体も焼き方を指定します。いったいどれだけのバラエティになるのでしょうか。コーヒーショップもしかりです。基本のコーヒーはともかくとして、フレーバーを、何をどれだけ入れるのか。またこちらではミルクと言っても fat free, reduced fat, whole milk とありますし。

ファーストフードやコーヒーショップではなく、普通のレストランに行けばもっと込み入った注文が出来ます(筆者はやりませんが) 上にラジオショウのエピソードが出てきますが、ただのステーキにしても焼き方を指定するのは当然として、ソースをどうするか、サイドはどうするか、これをウェイターと延々とやりとりします。「こういうのがいいんだけど」と客が言い、店がそれに応じられればそれで終わりですが、「いやウチでは出来ない」等となると、「じゃあ云々・・・」と、隣の席で聞いていても一体いつ注文取りが終わることやら、と思います。
おばあちゃんの誕生日などと言って親戚一同で集まった日には 20人のパーティとなることもあり、こうなると注文をとり終えるだけで1時間かかります。

こちらではかようにオーダーに時間がかかります。調理場でもいちいちオーダーシートを見て確認しながら調理していますのでファーストフードがファーストフードじゃありません。バーガーショップで受付札を渡されて10分待つなぞは普通です。この「何でもカスタマイズ文化」は一体どうやって発展してきたのか興味がありますが、Wiki の抄訳を見ただけでも、最低 100年くらいの歴史はありそうです。

Blue plate special、何かその店の signature 日替わりか何かなのかと思っていましたが、事実は少々異なるようです。

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2009年10月26日 (月)

Pot Sticker

たまにはラーメン&餃子が食べたくなるのは日本人としては仕方のないところだと思います。しかし、2008年頃までは現代風のこだわりラーメンは DC 界隈には存在しないと言ってよい状況でした。Rockville ~ Bethesda には数軒の Japanese restaurant がありますが、日本のラーメン専門店とは比較にならない内容です。何十年も前の日本でまだラーメン専門店がない頃、街の蕎麦屋や中華料理屋で出されていた昔ながらのラーメン、あるいは同じ頃のスキー場のゲレンデ食堂で出されていたラーメン、さらにあるいは当時一般的だったデパート上層階の「大食堂」で出されていたようなラーメンと思えば大体当たっています。

しかしこのことについて当地の Japanese restauran を悪く言うつもりは全くありません。限られた食材を使うしかなく、また需要も日本に比較すればケタ違いに低いはずで、特殊な食材をそんな少量だけ入手出来るルートなどあるはずもないからです。さらに言えば、客の大半が日本人以外というような店の場合は、味付けを日本人の嗜好に合わせていては商売が成り立ちません。そうした状況を考えもせず無神経に「まともなラーメンが食べられない」と嘆く当地在住の日本人は少なくないのですが、寧ろそうした Japanese restaurant について、逆境の中で良く頑張っていると思わなければならないものと思います。

かようなわけで筆者は最近出来たラーメン専門店1軒を除き、Japanese restaurant でラーメンを注文しません(そもそも Japanese restaurant に行くこと自体ほとんどありません)。ではどうしていたか。そもそも食べないようにしていたわけですが、Chinese restaurant に行った場合はついつい汁麺と餃子や春巻・焼売などをオーダーしてしまいます。例えそれが日本のラーメン・餃子等に似ていなくても、です。寧ろ日本人の舌に合わせた「日本風なんちゃって中華料理」ではなく、本場の味に近いものを期待してオーダーするわけです。

さて、本稿ではそのうち汁麺ではなく餃子について記します。

当地の Chinese restaurant で出てくる餃子は、日本のものよりも皮が厚く、サイズも大きめだと思います。でも味は日本の餃子とさほど大きく違わないとは思います。さてこの餃子ですが、Chinese restaurant のメニューには、通常「小菜」とか "appetizers" の部に掲載されています。日本人とてなまじ漢字が読めるものですから、漢字の部分を読み進んでいくと、「蒸餃」なるメニューが目に止まります。英語の説明を見ると、"steamed dumpling" とありますので、見ての通り「蒸し餃子」です。ああ餃子があるのね、と思いますが、日本人なら「焼き餃子」が食べたいところです。でもメニューには「焼餃」だとか「炒餃」だとかはありません。そもそも「餃」という文字が出てくるとすれば、これは店によりけりですが、「素菜餃」(vegitable dumpling)などがあるくらいです。仕方がないので「蒸餃」なるものを頼むと、ほぼ予想した通りのものが出てきます。

ですが、他の客のテーブルには、見るからに「焼き餃子」に見える皿が運ばれていったりします。あれ? メニューを見落としたかな、と思って再度メニューを点検しても、やはりそれらしきものは掲載されていません。まさか裏メニューにしちゃ随分沢山の人が食べてるじゃないの、と、かなり長い間不思議に思っていました。

その疑問が解けたのが、一体何の機会だったか忘れてしまいました。テレビのグルメ番組だったか、スーパーの店頭で餃子のデリを見かけたときだったか。こちらでは(本場中国ではどうか知りませんが)、日本で言う「焼き餃子」のことを「鍋貼」と表記します。そしてその英名は「鍋貼」の直訳である "pot sticker" です。

まず Wikipedia から適宜抜粋。

Jiǎozi (中国語)、gyōza (日本語)および pot sticker は中国、日本および東アジア以外、特に北米で良く知られた中国の dumpling である。※ dumpling に良く対応する日本語がないので dumpling は和訳しない。

[中国バージョン]
中国の jiaozi は、調理法によりいくつかのタイプに分かれる。
茹で dumpling; shuijiao、意味は "water dumplings" (水餃; pinyin: shuǐjiǎo).
蒸し dumpling; zhengjiao、意味は "steam-dumpling" (蒸餃; pinyin: zhēngjiǎo).
炒め dumpling; guotie、意味は "pan stick"、北米では "potstickers" として知られる (鍋貼; pinyin: guōtiē)、乾煎り dumpling とも呼ばれる(煎餃; pinyin: jiānjiǎo).

だそうで、茹でたり蒸したり乾煎りしたりする場合は「餃」の字を使うのに、焼き餃子(炒める)場合のみ「餃」の字を用いず「鍋貼」と書きます。おまけにこの場合だけ英名まであります。なお guotie は「鍋貼」の北京語の発音のようです。
ここからは日本語ウィキペディアからの抜粋です。

中国の華北で食べられる餃子は主食を兼ねたものが多く、皮は厚めにして湯に入れて茹でる食べ方の水餃子が主流であり、焼き餃子はあまり食べられない。もともと焼き餃子は残り物の餃子を焼いて食べるものであって、鍋貼(グオティエ、guōtiē)と呼ばれあまり上品な食べ物とは思われていない。日本で焼き餃子が主流になった背景には、終戦直後に満州地域に取り残された日本人が、残り物の餃子を焼いた物を中国人から分けてもらった事が起源であると言う説がある。専門店ではほぼ水餃子一択だが屋台などでは水を使わないことからメニューに採用されるところも多い。焼き餃子(鍋貼)はむしろ華南で点心の一種として出されることが多い。

と、ここまで調べてもどうして焼いた場合だけ「鍋貼」と言うのか、まだ良く分かりません。ネットを検索したら、こんなブログにあたりました。

劉さんの閑話 306、中国菜「鍋貼餃子」

焼き餃子つまり「鍋貼餃子」(guo tier jiao zi)はもともと宴会などで出された「水餃子」などが余ったとき、あたため直すのに「鍋に貼り付ける」様に焼きなおして食べたからである。

だそうで、まあ納得。

ところで餃子については、日中でかなり位置づけが異なるのだそうです。これはウィキ等からの引用ではなく、知人の知人が中国の人だそうで、そちらからの情報です。中国の人は、餃子の皮をすでに炭水化物と感じるようです。確かに日本の餃子の皮よりもぶ厚くて食べ応えがあるからかも知れません。そのため、餃子とともにライスを食べる習慣はないのだそうです。確かにこちらで鍋貼をオーダーしてもライスはついて来ません。そして、日本人が餃子ライスを(あるいは餃子とともにライスを)食べているのを見ると、とても奇異に感じるのだそうです。もしかしたらチャーハンをおかずにライスを食べているように見えているのかも知れません。
すぐ上で引用したブログには中国の餃子の皮が厚い理由も書いてありました。

ある時 Korean restaurant に行きました。こうした店ではメニューが写真付きであることが多いと思いますが、そこにどう見ても餃子に見えるものを発見。英文の説明では "homemade pan-fried beef & pork, vegitable dumpling" となっていてやっぱり餃子です。英語表記を見てみたら、mandoo でした。なお正確には Gun Mandoo と書いてあり、ハングルでは「군만두」でした。これってまさか・・・ と思って調べて見ると、再び Wiki から、

韓国料理では、マンドゥ(mandu、饅頭)と呼ばれる。韓国のマンドゥは詰め物、形、食感などにおいては中国の jiaozi や日本の gyoza に似るケースもあるが、寧ろモンゴルの buuz やトルコの mantı に似ている。

やっぱり饅頭(まんじゅう)ですか。ちなみに「군만두」とは「焼き饅頭」という意味になります。中が甘くない上に饅頭を焼く? むむ? と思って今度は日本語ウィキの饅頭(まんじゅう)を見てみると、

日本の饅頭の起源には2つの系統がある。(中略) 日本に定着した後、餡や皮の製法にさまざまな工夫が凝らされ、種々の饅頭が作られるようになった。

マーラーカオなど従来の饅頭(マントウ)を起源とした中華風の饅頭は、中華まんとして区別されている。なお、現在の中国でマントウといえば、中に餡も具も入っていない一種の蒸しパンである。中に具が入っているものは包子(パオズ bāozi)と呼ばれる。

確かにそうでした。中国の饅頭、Chinese restaurant で mantou と書いてあるのを見たような気がします。そして steamed bun などと書いてあったような。Taiwanese restaurant で、Taiwanese burger と訳された皿にはこれが使ってあったような。しかし日本語もかなり失礼ですね。中国のマントウがオリジナルなのに、それに似た和製「マントウ」をわざわざ「中華まん」などと称するとは。

いやいやしかし、日本の薯蕷饅頭-中華まん-餃子が中国・韓国を経由して遠い親戚であったとは。家系を辿るのもラクじゃありませんね。

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2009年10月24日 (土)

Sandwiches de Miga

去年、Rockville 市内で割と評判の良い Argentina レストランに行ったことがあります。そこで Washingtonian でもオススメメニューの一つであるサンドイッチを頼みました。頼む時に、ウェイトレスにどのくらい大きいのかと尋ねたところ、指でテーブルの上に三角形を書きながら、このくらいの大きさで、それが4枚と説明してくれたので、所謂アメリカンサイズの馬鹿でかいサンドイッチではないことは予想していたのですが出てきてびっくりしました。こんなのです。

サンドイッチの写真

目が点になりました。え、これ・・・ 日本のコンビニや駅の売店で売ってるミックスサンドじゃないの・・・?
中身はハム、トマト、ゆで卵、レタスなど。中身も全く日本のミックスサンドそのもの。使っているパンも、日本のサンドイッチ用の薄いパンで耳を除いた部分。大きさもまさに日本と同等。驚きつつも普通に食べましたが、どうしてここでこんなものが出てくるのか全く分かりませんでした。

ところが今日、Rockville で何か目新しいレストランはないかな~と思って Tripadvisor を調べていたら、Town Center の近くに新しいカフェが出来ていて、たった一人ですが絶賛投稿をしている人がいました。その人によると、

This is a cozy coffee shop with mouth-watering pastries (facturas and more), amazing cakes and the best tea sandwiches (sandwichitos de miga) in town!

だそうで、最近サンドイッチに凝っている身としては(そのうち記事を書きたいとは思っているのですが)、この "sandwichitos de miga" という単語を見逃すわけには行きません。まして best in town と書かれているわけですし。で、早速このメニューが何者かググって見ると案の定 Wikipedia がヒットしました。それによると、名称は

Sandwiches de miga

というようで、

Sandwiches de miga は、アルゼンチンでごく普通の料理で、ティータイムに供されるのが一般的である。1層または2層からなるサンドイッチで、耳のない薄くて白いパン(この部分を miga と呼ぶ)で作られる。具は肉のスライス(ハムが多いがそれ以外のこともある)、卵、チーズ、トマト、ピーマン、レタスなどで、場合によってはアスパラガス等他の野菜を用いることもある。マヨネーズは非常に重要な構成要素である。トーストして供されることも、そうでないこともある。
アルゼンチンでは1から自分で作るよりも、地元のベーカリーで買う方が一般的である。

だそうです。今改めて冒頭の Argentina レストランのメニュー上の名称を見てみたら、ちゃんと

Sandwichies de Miga Triples Surtidos

なっていて、その説明が

Tea sandwiches made with Argentine specialty crumb bread with assorted fillings

となっていました。Tea sandwich の意味をたった今ようやく理解しました。ティータイムに食べる軽いスナックで、クッキーなどの感覚でつまむものなのでしょう。それにしても日本とアルゼンチン、地球の真裏でこんなにも似たものがあるのにカナリ驚きました。どうしてなのでしょうか。そもそも日本のサンドイッチはどういうルーツがあるのか? と思います。日本語ウィキペディアを見てみると

正統サンドイッチ(サンドウィッチ伯が食していた当時のもの)は、具はキュウリのみで他には何もない。

という記載があったり、

「イギリス風の薄いサンドイッチ」

なる写真も掲載されています。とすると、日本のサンドイッチは比較的イギリス起源の原型を留めていると言えるかも知れません。
いっぽうアルゼンチンですが、こちらはスペイン系の文化が流入したと考えるのが自然だと思うのですが、そうするとスペインでどんなサンドイッチが主流なのか知る必要があります。調べるのが面倒なので勝手に想像しますが、流出先のアルゼンチンであのようなサンドイッチになっているということは、スペインのサンドイッチもイギリス風に近いものだろうということにしておきます。

逆にアメリカのサンドイッチが独特の発展を遂げたと考える方が実態に合っていそうです。欧米の朝食スタイルが、クロワッサンとコーヒーだけのコンチネンタルと、バッフェてんこ盛りのアメリカンという違いと同様、サンドイッチもとにかくボリューム満点になったと。

かねがね日本のサンドイッチに不満を持っていた自分としては、アメリカのサンドイッチがたいそう嬉しいのですが、日本の方が正統派なのかも知れませんね。でも日本のサンドイッチで好きなものも多少はあります。例えばカツサンド。だいたいからして日本のパン粉は海外で panko と呼ばれるほど特殊な breadcrumb なのですが、それを用いて揚げる cutlet は当然日本独特(似たものは Wiener Schnitzel とか Milanese などありますが)なわけで、さらにそれをサンド(それも所謂サンドイッチ用の食パンで)にするのは日本だけなのではないでしょうか。さらにそれを列車の中で食べたりすると非日常感があって好きです。

でも上に書いたとおり、所謂普通のミックスサンドは好きになれません。1970年代までは家庭で食べるピザと言えば冷凍の「ミックスピザ」でしたが、あれも好きになれませんでした。どちらも食べ応えがなくて味も素っ気無いというか構成が簡単すぎるというか。
つい先日、2007年にバーガーキングが日本再上陸を果たしていたことを知りました。Windows 7 とかいうミートパティ7枚重ねの特大バーガーはともかく、アメリカのバーガーは単に大きいだけではなく、実際に美味しいのです。いやマック等は論外として、いくつかあるメガチェーンの中ではバーガーキングが最もまともな味だと思います。まあこれを「ミックスサンド」と比較しても仕方ないのですが、カツサンドなどを作り出した素地はあるのですから、日本のサンドイッチもどんどん進化することを期待します。

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2009年10月17日 (土)

Chicken Maryland

さきほど twitter を見ていたら、"Just ate Chicken Maryland" という tweet を見ました。ん、Chicken Maryland って聞いたことがあるけれども一体何だっけな~、と思って改めて調べてみました。いつものとおり Wikipedia です。

Chicken Maryland または Maryland Chicken とはメリーランド州に因む伝統的な料理である。基本的にはフライドチキンにクリームグレービーを添えたものである。
メリーランドの多くの家庭はこの料理に関して独自のレシピを持っている。商業的バージョンは、メリーランドの養鶏産業の中心地である、メリーランド東部にある English's Family Restaurant から発売されている。

Maryland fried chicken が他の南部のフライドチキンと異なるのは、第一にチキンを数インチの深さの油またはショートニングで揚げるのではなく、フライパン(伝統的には鋳鉄を用いる)でパンフライし、表面に焼き色をつけた後は蓋をして弱火にしてじっくり調理する点にある。

次にフライパン上の肉汁にミルクまたはクリームを加え、ホワイトクリームグレービーとすうる点が次の特色である。

Escoffier の著した "Ma Cuisine" の中に"Chicken a la Maryland" というレシピがあるが、その他には標準的とされるレシピはない。チキンはバターミルクでマリネされることが多い。卵を用いるかバターミルクを用いるか、また小麦粉の味付け等でパン粉の使い方は異なり、クリームグレービーの味付けのバリエーションも広い。 しかしグレービーがこのレシピの最大の特徴であることにはかわりがない。

だそうです。では具体的に Chicken Maryland のレシピを見てみましょう。

http://www.chickenmaryland.com/home.htm

Classic Chicken Maryland with Gravy recipe
 
Ingredients

2 chicken thighs, wings or breasts
1 cup cold milk
1 teaspoon salt
1/2 teaspoon pepper, black
1/2 teaspoon dried thyme, or oregano, or sweet basil, or all three
1/4 teaspoon paprika, if available
2 cups flour
2 tablespoons butter

Gravy Ingredients

Some chicken giblets
1 clove garlic, minced
1 medium onion, minced
1/2 cup chicken stock
1/2 cup milk

Sides

Corn on the cob, mash potatoes, fried bacon slices

Cooking Directions

(Part A) Cooking the chicken
1. Mix the flour with salt, pepper, thyme (and/or orgeano, basil), paprika in a bowl
2. Dip the chicken thighs, wings or breasts into the cold milk.
3. Remove from milk and cover with the flour mixture.
4. Heat a pan using medium-high heat, and add the butter to the pan.
5. Fry the chicken pieces until golden on both sides.
6. Then reduce to a very low heat, and let the chicken cook through. Turn it over once.

(Part B) Making the gravy
7. Heat a pan to medium heat, adding in butter.
8. Add in chicken giblets, garlic, onion.
9. Fry for 30 seconds or so to develop the flavor of the onion and get the juices out of the giblets.
10. Add milk and chicken stock, and bring to boil.
11. Then simmer for a few minutes.
12. Strain, and pour over the chicken when ready to serve.

Add sides like corn on the cob, mash potates and bacon slices for a full meal.

Serves: 1 (for more people, just multiply the recipe by the number of people you want to serve)

面倒なので訳しません。Wikipedia の説明では、グレービーの元になる肉汁をどうやって回収するのか良く分かりませんでしたが、このレシピでは別に giblets を炒めることで得ています。ここで giblets を使うのが極めて注意を引きます。Giblets とは、砂肝とハツのことです。スーパーマーケットに行くと、必ず giblets を売っているのですが、一体だれがそんなもの使うのかと常々疑問に思っていました。これ、何回か醤油味で煮物にしたことがありますが、どうしても美味しくならないのです。

なるほど、もしかしたらみなさん Chicken Maryland の材料にしているのかも知れません。が、グレービーの元にするだけなら、何もあんな大量の単位で売らなくてもいいじゃないかと言いたくなりますが。ま、こちらの一軒家の冷凍庫はバカでかいですから(バックヤードの軒下に設置してあります)そこに放り込んで置くのかも知れません。

昨日は揚げないフライドチキンを作った積もりだったのですが、無意識に「味付け小麦粉→卵→パン粉」と衣をつけたために、気がつけば「揚げないチキンカツ」になっていました。では、今度はちゃんと「ミルクまたはバターミルク→味付け小麦粉」として、さらにパンフライせずにオーブンへ直行という方式にしてみようかと思います。上のサイトでも "Baked Chicken Maryland (healthier option) recipe" へのリンクがあります。

ただ、上のレシピのグレービー、かなりサラサラに仕上がるような気がするのですよね。何かこう、少しトロミが欲しいように思うのですが、少し小麦粉を入れちゃおうかな。入れ過ぎると当然もったりと食感も重くなるので要注意ですが。最近良くお世話になっている Campbells の Cream of Mushroom なんぞを使ってもいいかと。ま、その辺りはその時のインスピレーションで適当にします。

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2009年10月15日 (木)

Bak Kut Teh - My Style

前のエントリーで肉骨茶と参鶏湯のことを書きました。で、参鶏湯の方は漢方ふうに言えば・・・と書いたのですが、なぜか肉骨茶を漢方ふうに言うとどうなるのか、あんまり考えたことがありませんでした。5年以上前、頻繁に東南アジアに出張していた頃、行くたびに「肉骨茶セット」(こんなのです)を買って帰り、大事に使っていたのですが、生薬を自分で組み合わせれば出来るはずだということに、つい先日まで気づきませんでした。参鶏湯の生薬は自分で揃えてもいいと思ったのに肉骨茶の生薬を揃えようと思わなかったのはなぜでしょうか。製品によって処方が違う点と、構成生薬が結構多いと思っていた点だろうと思います。肉骨茶セットの構成生薬はパッケージの裏面に書いてあり、上の製品がどんな構成生薬だったか記憶していないのですが、党参とか玉竹とか、日本漢方ではあまり使わないものが入ってたように記憶していますので、これを見た段階でメゲたという側面も大きいです。
一方こちらに来てしまうと、東南アジア系の華僑だか台湾だか香港だか中国本土だか、Chinese 社会は本当にごたまぜになっているためか、中華マーケットに行くとまさに上の「肉骨茶セット」そのものを買うことが出来ます。なおさら自分で揃える気にはなりません。

しかし、日本に戻った後のことを考えると、日本ではなかなか入手できそうもないので少し研究しておいた方が良さそうだと思い、気を取り直して調べてみました。
まず「肉骨茶 レシピ」等でググると、少ないながらも若干ヒットしました。昔はこんな書き込みはなかったと思うのですが、肉骨茶がだんだん日本でも人気が出てきたということなんでしょうか。

例えばこれ。

http://allabout.co.jp/gourmet/stylishrecipe/closeup/CU20081119A/index2.htm

ポークリブ(スペアリブ用の骨付き豚肉) 600g
豚もも肉の塊(ヒレ肉の塊でも可) 400g
にんにく 1個
シナモンスティック 1本 
スターアニス 5個
クローブ 10粒
黒こしょう粒 大さじ2
チンピ(陳皮) 2、3切れ
薄口しょうゆ 1/2カップ
砂糖1/4カップと濃口しょうゆ1/4カップを10分ほど煮詰めたもの
(味をみて)塩、粗挽き黒こしょう 適宜

以下、肉、水、醤油、塩コショウ、にんにく以外の生薬部分について日本の生薬名に直して記します。
このレシピで用いている生薬は、

桂皮、八角、丁字、陳皮

ということになります。結構あっさりした肉骨茶になりそうです。
ところが恵比寿の「新東記」なる店の記事(ブログ)を見つけました。

http://mareemonte.exblog.jp/4113364/

この記事によると、

こちらの店の肉骨茶は 18種類の漢方薬をベースに豚の骨付き肉を煮込んだもの。使われている漢方薬は枸杞、玉竹、熟地、肉桂、八角、甘草、当帰、桂皮、陳皮、丁字、棗、川弓(本当は草かんむりに下が弓です)など

だそうで、失礼ながら改めて書き出すと、

枸杞子、玉竹、熟地黄、肉桂、八角、甘草、当帰、桂皮、陳皮、丁字、大棗、川芎、およびその他の6生薬

ということになります。記事の中で、オーナーの方が

バクテーは白スープと黒スープとあるんです。シンガポールは白スープが多くてマレーシアは黒スープが多いんですよ

と言われていますが、私の経験でもマレーの方が色・味ともに濃く、シンガの方はその逆でした。ということで、勝手ながら上の allabout のレシピがシンガのもので、新東記のレシピがマレーに近いような印象を直感的に持ちました。でも新東記はシンガポール料理のお店なのですよね。
ちなみにこの新東記というレストラン、どうして知らなかったのかと思ったら、この 10月で4周年ということは 2005年10月の開業ですね。筆者が日本を離れる半年前に出来たばかりだったのですね。帰国したら行ってみよう。ちなみに今年の春に帰国した同僚が、「上司に恵比寿の東南アジア料理店に連れて行ってもらい、肉骨茶を食べた。Bethesda で食べたものよりも美味しかった」と言っていましたが、きっとこの店のことを言っているのでしょう。
さて、さらにオーナーの方の説明によると、

肉骨茶(バクテー)はもともと港で働く男達の朝の食べ物だったらしいです。港で働く男達は昼御飯は食べられなかった。だから朝をしっかり食べてスタミナを維持しなければならなかったんです。それで男達は肉の入ったスープに漢方薬を入れはじめた。でも漢方はこわいでしょ?組み合わせで違う力も出ちゃうからね。それで福建の漢方医と潮州の漢方医がそれじゃ駄目だ、と立ちあがったんです。で、こっちの医者はこの処方では3時までしかもたない、私の処方なら5時までもつ、とか私のだったら朝までもつ、とか自分達の処方こそ一番!と譲らなかったんだって。それで潮州風と福建風が出来たと私は習いました。

なるほど。過去の経緯はともかく、地方により、人により処方が違うということですね。上でメーカーによって処方が違うと言いましたが、それで良いようです。ということは! 自分でオリジナルを作ってもいいわけですね。自分の好みや体調に合わせて作ったっていいわけですね。あるいは既成のエキス製剤を使ってもいいわけですね。これは面白い。ちょっとやる気が出てきました。
でもその前に、もっと調べてみましょう。日本語ベースでの検索では限界があるのと、英語だとしても単純に Google や Yahoo! で調べただけではなかなかヒットしないので、Yahoo! Singapore で調べてみました。そうしたところ、いくつか発見できました。

http://kuali.com/recipes/viewrecipe.asp?r=1235

1kg pork ribs or chicken meat
2 1/2 litres water
2 whole bulbs garlic, do not peel
20g Tong Sum
12g Tong Kwai slices
10g Chuin Kung
20g Sook Tei
25g Kei Chee
15g Yoke Chok
3 pieces Kam Choe

Wrap in muslin cloth and tie up:
1 tsp white peppercorns
1 tsp black peppercorns
1 tsp anise pepper or Szechuan pepper
1/2 tsp fennel seeds
1/2 tsp cumin seeds
3 cloves
1 star anise
4cm piece cinnamon stick

Seasoning:
1 1/2 tsp salt or to taste
1 tsp monosodium glutamate
3 tbsp light soy sauce

シンガではなくマレーシアの Amy Beh という有名シェフのレシピのようです。用いる生薬としては、

党参、当帰、川芎、熟地黄、枸杞子、玉竹、秦艽、花椒、茴香、小茴香、丁字、八角、桂皮

ということになります。構成生薬の数と種類としてはなかなかいいセンです。ところでブーケガルニにせず原体のまま肉と一緒に煮込む方の生薬の名前ですが、どうやら広東語読みらしく、当初なかなか調べられませんでした。どうしようかと思いましたが、こんなサイト

http://forums.egullet.org/index.php?/topic/77426-bak-kut-teh/

の中、2007年10月3日の "Tepee" なる人物の書き込みがあったので北京語(ピンイン)に変換することが出来、ようやく日本語の生薬名が分かりました。ついでに肉骨茶のレシピを調べているのは筆者だけでないことも分かりました。それと、"Tepee" の書き込みに出てくる生薬は Amy Beh の生薬リスト前半と同一なので、"Tepee" はそれを参照しているものと思われます。

さて次のサイトです。

http://rasamalaysia.com/recipe-bak-kut-teh-pork-bone-tea/

サイトはとても綺麗なのですが、ここで明示されているのは

当帰、桂皮、八角

のみです。本当にこれだけでいいのでしょうか。次。

http://www.deliciousasianfood.com/2007/12/11/bak-kut-teh/

Cordyceps 5%
Giyrrhizae 5%
Pepper 10%
Radix Rehmanmae 10%
Fructus anisi stellati 10%
Ramulus cinnamon 10%
Codonopsis pilosuiae 10%
Radix astragali 10%
Angelica sinensis 30%

生薬としては、

冬虫夏草、甘草、地黄、八角、桂皮、党参、黄耆、当帰

だそうで、所謂「人耆剤」です(人参ではなく党参ですが)。おまけに冬虫夏草まで使うので、かなり元気が出そうですね。でもちょっと冬虫夏草は敬遠しておこうかな。次。

http://www.malaysianfood.net/recipes/recipebakkutteh.htm

1 1/2 lb country-style pork spareribs, cut into 2-inch pieces
1 whole bulb garlic, unpeeled, slightly crushed
2-inch ginseng root, peeled, slightly crushed
3 cinnamon sticks
5 star anise
1 tbsp white peppercorns
1 tbsp black peppercorns
2 tsp sugar
1 tbsp dark soy sauce
6 dried shitake mushrooms
6 shallots, finely sliced and fried golden brown [optional]
salt and pepper

とてもシンプルに

人参、桂皮、八角

だけです。次。

http://www.recipeplace.com/recipes/11121/

1lb 6oz (625g) pork spare rib or belly pork, chopped into small pieces
1/2 teaspoon pepper
1/2 teaspoon salt
3 tablespoons lard
1 tablespoon caster sugar
2 cloves of garlic, crushed
1 teaspoon preserved brown soya beans, crushed
1 star anise
1 piece cinnamon bark
1 teaspoon black peppercorns
1 teaspoon szechuan peppercorns
1 teaspoon salt
1 chicken stock cube
2 tablespoons dark soy sauce
2 tablespoons oyster sauce
3 pints boiling water
light soy to taste

これまたシンプルに、

八角、桂皮、花椒

だけです。別のサイト

http://www.cdkitchen.com/recipes/recs/20/Bak_Kut_Teh_Chinese_Soup50229.shtml

は、肉の分量が微妙に違う以外は上のレシピと同一でした。

まあこれだけヒントがあればもういいでしょう。参鶏湯用に花旗参、大棗、枸杞子を買ったのでこれをベースにマコーミックのスパイス類を tea bag に詰めて使えばいいでしょう。例えばフェンネル、クミン、シナモン、クローブなどを使えば、茴香、小茴香、桂皮、丁字を使ったことになるし、コリアンダーを使えば香菜の代わりになりませんかね。当帰、川芎などは是非加えたいところですがマコーミックには代替品がないので別途購入するか・・・ 四物湯を使うと地黄までカバーできる代わりに芍薬が余りますね。
花椒もかなり魅力的な食材ですがなかなか代用が利きませんね。これも買うしかないか・・・ ま、麻婆豆腐にも使えますしね。玉竹は現地では頻用されているようですが日本ではあまりなじみがなく、これはちょっと難しいかも。色々いじってみる価値はありそうです。
ま、筆者は中医でも漢方医でもないので薬効上の理論の裏づけは全くありません。そもそも人参を花旗参で代用しようというくらいですから。おいしければいい、それだけです。

それに、肉骨茶の味を左右するのは生薬ばかりではありません。醤油、オイスターソース、シイタケ、豆腐/油揚げ/湯葉など食材各種をどう選ぶか。豚そのものもしかり。品種、飼育環境、使用部位、調理法。そうそう、つけダレがまた美味なんでした。濃い目の醤油に、鷹の爪を刻んだようなものをパラリと散らして使います。

・・・でもあんまり入れ込み過ぎるのはやめましょう。だって本来はこんな感じで食べるんですよ。

http://en.petitchef.com/recipes/teluk-pulai-bak-kut-teh-klang-fid-332207

現地の味は現地で食べるのが一番おいしいのは言うまでもありません。だから、ウチで作ってウチで食べるからおいしいレシピを目指さないと。
それにしても肉骨茶を記事にしたのはこれで何度目でしょうか。フードブログではなく肉骨茶ブログになりかかってないか・・・?

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2009年10月13日 (火)

Paella - Bak Kut Teh - Samgyetang

この前の週末、昼食に肉骨茶の paella を作りました。そんなものは当然世の中に存在しませんが、当家の paella は筆者が作るといつも適当です。

筆者がパエリャなる料理を知ったのは中学だか高校だかの頃で、手当たり次第に NHK ラジオ第2の語学番組を聴いていた頃のことです。スペイン語初級講座の中で出てきました。そのとき確かメキシコのスペイン語では "ll" を殆ど "j" のごとく発音すると聞いたように覚えています。よって殆ど「パエジャ」と聞こえる、と。今それをネットのスペイン語辞書で調べてみたら、きっとこんなのがそうなのだと思います。

音声ファイル

ところが実際には日本ではパエリャと言っています。英語ではどうでしょうか。どうも Bobby Flay はいつも「パエヤ」「パヤヤ」のように発音しているように聞こえるのです。実際に "ll" を "y" と読む人は少なくないようです。Merriam - Webster ではこうなっています。
pä-ˈe-lə, -ˈā-; -ˈāl-yə, -ˈā-yə
正しく表せないことを承知の上で無理やりカタカナに置き換えれば、パエラ、パエイラ、パエイリャ、パエイヤというようなところでしょうか。Merriam - Webster によると実際の発音はこんなものです。

音声ファイル
音声ファイル

後者の発音が Bobby のものに近いようです。
さてこの paella、同 Webster によると、語源はカタルニア語で pot, pan を意味する中世フランス語の paelle から来ており、さらにそれはラテン語で small pan を意味する patella から来ているとのことです。そして意味ですが、サフラン風味の米、肉、魚介類、野菜からなる料理とのことです。
これをウィキペディアで引いてみると、

もともとは、スペイン東部のバレンシア地方の郷土料理の1つ。
パエリェラ/パエジェラと呼ばれる専用のパエリア鍋(両側に取っ手のある平底の浅くて丸いフライパン)で調理する米料理で、たっぷりの具を炒めて、米と水、黄色の着色料としてサフランを加えて炊き上げる。この際、日本のように蓋はせず(いわば具を蓋の代わりにする)、パスタのアルデンテ同様、米に僅かに芯が残るようにするのがコツで、鍋の底にはソカレット(socarrat おこげ)が出来るようにする。伝統的な調理法では、ある程度炊き上げてからパエリア鍋をオーブンに入れ加熱して水分を飛ばす。
日本では魚介類を用いたものが一般的だが、本来のバレンシア風パエリア(paella valenciana)はウサギ、鶏、カタツムリ、インゲンマメ、パプリカと山の幸を中心に用いて作る。バレンシアの猟師が獲物を米と一緒に煮込んだのが始まりといわれる。基本的に塩とサフラン以外の調味料・香辛料は入れないので、材料の風味を生かした素朴な味わいになる。

などと書いてあります。そして paella の例として

シーフードのパエリア
バレンシア風の一例・ムール貝入り
イカ墨入りパエリア

などと書いてあり、そもそもこの辺りからすでに、具も味付けも何でも良いのだな、という感じがします。日本におけるパスタやラーメンのような感じでしょうか。ただまあ日本ではまだ、明太子のパエリャだとか納豆パエリャだとか、そこまで無茶なものは今のところまで聞いたことはありません。

で、ウィキペディアでは蓋をせずに炊くとありますが、筆者の場合、蓋をしないと表面の米がどうしても火の通りが悪く、芯が少し残る程度では済まないので、蓋をして調理しています。パエリャは日本にいた頃から非常に頻繁に作っていましたが、それは日本の米でもまあイケるからです。チャーハンやナシゴレンを代表とするアジアの米料理を日本の米でやろうとするとどうしてもうまくいかないのですが、パエリャならOK。以下は再びウィキペディアの記載です。

パエリアに使われる米は長粒種ではなく短粒種である。さらに、バルセロナを中心とするカタルーニャ地方では、米の代わりにフィデオ(fideo)と呼ばれる長さ2~3cmの極細パスタまたは極細マカロニを用いたフィデウア (fideua)と呼ばれる料理もある。

パエリャの米は、Wikipedia によると、calasparra や bomba が使われることが多いとのことですが、ちょっとこれらの現物を見たことがありません。ただ Wikipedia に bomba の写真が載っていますが、確かに短粒種で、結構太いように見えます。今ウチに Italian の risotto に適した Arborio という米があるのですが、これに結構似ています。やはり Wikipedia によると Arborio rice は、grains are firm, creamy, and chewy, due to the high starch content of this rice variety とあり、risotto に向くのは確かにうなずけます。Risotto に似た調理法である paella に用いる calasparra や bomba もきっと類似の米質なのでしょう。とまあ、要するに日本の米で risotto や paella を作ってもバチは当たらないだろうという話です。

ふむ。日本の米を使ってもまあ良いだろう。で、調理法や味付けも適当に変化させても良いだろう。ということで、日本では冷蔵庫の中身と相談してその都度適当なものを作っていたわけです。

さて、話は冒頭に戻って、今日は冷蔵庫に豚肉がありました。で、体調は米を使った料理を欲しているようです。家内もパエリャがいいと言っています。たまたま先ほど棚を整理していて使い残しの肉骨茶の生薬セットを発見したところでもあります。それで肉骨茶のパエリャと相成った次第です。肉はぶつ切りにして醤油・オイスターソース・赤ワイン・スパイス類で作ったタレに1時間ほどマリネしておきます。その間に肉骨茶の生薬を煎じます。生薬ブロスが出来たら、浅なべにゴマ油で米(今回は Texmati を使用)を炒め、取り出した肉を加え、生薬ブロスと醤油・オイスターソース、チキンブロスを加えて炊き上げるだけ。・・・今気がつきましたが、パエリャは上でくどくどと短粒種だと言っているのに何で長粒種の Texmati(インドのアロマ米、basmati 系統のアメリカ米)を使ったんだろう・・・ やっぱり肉骨茶だから無意識に? シンガ・マレーでは肉骨茶に合わせて供する米は長粒種です。どっちが良かったんでしょうか。

食べ終わって家内が言うには、次回はサムゲタンを作れとのこと。我々は参鶏湯は、過去に一度しか食べたことがありません。が、シンガ・マレーに肉骨茶の変形とも言える Chic kuh teh なるものがあり、その生薬ミックスを買って来てウチで何度かやりました。また、外国の生薬ミックスに頼らなくても日本には薬としての生薬ミックスが色々売られていますし、もっと言えば生薬製剤または漢方製剤としての生薬エキス顆粒なども簡単に手に入ります。そんなことから、日本の漢方エキス製剤で鶏を煮込んだこともしばしば。「うーん、やっぱりチキンには○○湯より△△△△湯の方がおいしい」などと不謹慎なことを言っていたりします。でもまあ、実際問題カレー粉やらガラムマサラなんてものは、そっくりそのまま生薬製剤みたいなものです。参鶏湯もまたしかり。お国が違うだけです。
Wikipedia によれば鶏をまるごと用い、そこに

高麗人参と洗ったもち米、さらに干しナツメ、栗、松の実、ニンニク(別ソースではクコも)などを詰めて・・・

ということですから、ちょっと違いますが漢方風に言うと人参・粳米・大棗・枸杞子 で作った Chic kuh teh というところです(粳米はもち米でなくうるち米ですが)。こちらの韓国マーケットに行けば参鶏湯セットもあるかも知れませんが、この程度の生薬なら、そこらの中華スーパーにあるだろうと思って行ってみました。心配だったのは人参です。何しろ高価なものですからどの位買えるものか? ですが実際問題、Rockville 市内の中華マーケットで、人参(Panax ginseng)は見つけられませんでした。高麗人参茶はあったのでそれは買いましたが。
それでどうしたか? 諦めて帰る直前、「花旗参」なるものを発見。一見して、American ginseng だ! と理解し、早速それを買って帰ることにしました。30本程度入って 20ドル。安くはありませんが、真正 P. ginseng だと幾らするか予想もつかないのでこれで妥協。P. quinquefolius の薬効は今ひとつ知りませんが、アメリカではそれなりに有名で、Wisconsin が有名な栽培産地です。筆者の友人にも P. quinquefolius を栽培しているのがいます。
買って見て初めて P. quinquefolius の原形を見ましたが、確かに P. ginseng に良く似ています。まあ薬効も似ていることを期待しましょう。これで主要な生薬がそろったので、今度早速参鶏湯を作ってみます。Thanksgiving に stuffed turkey の代わりにやろうか? ちょっと雰囲気が違いすぎますね。それに参鶏湯は本来夏の名物。でも寒い時にも食べたいです。これから冬本番なのでちょうといいかも知れません。

ちなみに「花旗」とは、

中国語でアメリカ合衆国の国旗(星条旗)の旧称であり、米国の意味もある

のだそうです。現在の中国語ではアメリカ合衆国は「美国」と表記され、また Citibank は中国語表記で「花旗銀行」とされることは知っていましたが、「花旗」の意味を今回初めて知りました。でもそれなら、Bank of America こそ「花旗銀行」なのではないか? と思いますけれども。Citibank なら「市中銀行」やら「都市銀行」? でもどちらも別の意味になってしまいますね。中国語は難しい・・・

※非常に長くなりますが、paella だの risotto、ピラフやチャーハンなどの違いを書いているソースがあるそうです。以下に引用しておきます。

知っておきたい「食」の世界史 (角川ソフィア文庫)
著者: 宮崎正勝
発行: 角川学芸出版

渡部忠世氏の『稲の道』は、コメの起源は雲南・アッサムの山岳地方にあるとし、東アジアへは長江、東南アジアへはメコン・チャオプラヤ・イラワジ川、インドへはガンジス川に沿って伝播したとする。メコン川流域からはジャポニカ(japonica、日本型)とインディカ(Indica、インド型)の両種のイネが見いだされ、コメの原産地とみなされている。東の中国・朝鮮・日本などには最初ジャポニカ種が、西のインドにはインディカ種がひろまった。

 日本人が主食とするのは、粒が小さく、丸みを帯びたジャポニカ種(短粒米)である。ジャポニカ種は紀元前28世紀頃に中国南部にいたり、更に北九州に伝えられたとされる。ジャポニカ米は、軟らかく、粘りと弾力があり、ほのかな香りと味わいがある。ジャポニカ米の淡い味わいが、繊細で味の薄い日本料理をつくり出したとされる。ジャポニカ米こそが「水」を使う日本料理の土台なのである。

 中国でも、最初はジャポニカ米が栽培されていた。しかし11世紀頃になるとヴェトナム南部からインディカ種(長粒米)のチャンパ(占城)米が伝入した。日照りに強く、二ヶ月で収穫が可能だったことからジャポニカ種が駆逐され、江南の水田の8~9割がチャンパ米に変わっていく。

(中略)

 インドには、アッサム地方を経由してインディカ種(長粒米)という細長くパサパサしたコメが伝えられた。紀元前25世紀から15世紀の間のことである。インドでは、インディカ米と油を巧みに組み合わせた独特の調理法が開発される。途中でコメを煮た湯を捨てたあとで蒸す「湯取り法」がとられ、「脂」や「油」で炒めるのである。インドのコメ料理「プラオ」は、水牛の乳を発酵により凝固させたギーという油で炒め、塩を加えて炊いたものである。

 インディカ種のコメは、インドを第二次原産地としてイスラーム帝国に伝えられ、更に地中海世界、ヨーロッパ世界に伝播した。英語のライス(rice)は、古ペルシャ語、アラビア語を起源とする。インド風のコメの料理法も同時に西方に伝えられ、油でコメを炒める料理圏がひろがった。ちなみに欧米では、コメは野菜の一種とされ、肉料理に添える時にはバターで炒めることが多い。

 トルコで生み出されたコメ料理の変型が「ピラフ」である。ピラフは、トルコ語で「一椀の飯」の意味だが、コメ粒、刻みこんだタマネギをバターで炒め、ブイヨンを加えたスープで炊き上げ、更に羊肉、魚介類、マッシュルームなどの具を加えた「炊き込みご飯」である。中国料理のチャーハン(炒飯)は、固めに炊いたご飯を、ラード、具とともに炒め、塩、胡椒、醤油で調理するものであり、ピラフとは全く発想が違う。

 ピラフと同系列のイタリアのリゾットは、コメをオリーブ油、バターと一緒に炊く。スペイン東部バレンシア地方を代表する料理パエリャは、かつでイベリア半島を支配していたイスラーム文化の影響を色濃く受けた料理で、コメと具をオリーブ油で炒めた後、スープを加えて炊き上げる。コメの料理法が微妙に変化していくのが面白い。同じコメでも、消費の様式には歴史性が加味されるのである。

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2009年8月31日 (月)

S'more

こちらに来てから、アイスクリームを良く買うようになりました。雰囲気というか、惰性というか、良く自宅での食事の後にちょっとだけ食べることがあります。日本ではさほどでもないと思いますが、食後にアイスクリームというのは全くの定番のデザートなので、それをやらないと食事が終わった気分にならないようになってしまいました。もっとも外食のときは絶対に頼みません。量が多すぎますので。

そしてそのアイスクリーム、種類が実に豊富です。今ちょっと Häagen-Dazs でリストアップしてみたら、reserved flavor とか sorbet flavor などを除く通常商品で、これだけのフレーバーがありました。

Baileys & Irish cream, banana split, butter pecan, caramel cone, caramelized pear & toasted pecan, cherry vanilla, chocolate, chocolate chip cookie dough, chocolate chocolate chip, chocolate peanut butter, coffee, cookies & cream, crème brulée, dark chocolate, dulce de leche, green tea, java chip, mango, mint chip, peanut butter brittle, pineapple coconut, pistachio, pralines & cream, rocky road, rum raisin, strawberry, vanilla, vanilla bean, vanilla chocolate chip, vanilla honey bee, vanilla swiss almond, white chocolate raspberry truffle

32種類ありました。Häagen-Dazs は大メーカーの中では比較的高級志向のブランドだと思いますが、同様に大メーカーの中で比較的高級志向のブランドと思われるものに Ben & Jerry's というのがあります。Häagen-Dazs と全く同一の価格設定なのですが、フレーバー設定ははかなり違います。Orininal Ice Cream とされるカテゴリの中だけで、何と 54種類のフレーバーがありました。

Banana Split, Brownie Batter, Butter Pecan, Cake Batter, cherry Garcia, Chocolage, Chocolate Chip Cookie Dough, Chocolate Fudge Brownie, Chocolate Macadamia, Chocolate Peanut Butter Swirl, Chocolate Therapy, Chubby Hubby, Chunky Monkey, Cinnamon Buns, Coconut Seven Layer Bar, Coffee, Coffee Coffee BuzzBuzzBuzz, Coffee HEATH Bar Crunch, crème brulée, Dave Matthews Band Magic Brownies, Dublin Mudslide, Everything But The..., Fossil Fuel, Goodbye Yellow Brickle Road, Half Baked, Imagine Whirled Peace, Karamel Stra, Key Lime Pie, Mint Chocolate Chunk, Mint Chocolate Cookie, Mission to Marzipan, Neapolitan Dynamite, New York Super Fudge Chunk, Oatmeal Cookie Chunk, ONE Cheesecake Brownie, Orange & Cream, Peanut Butter Chocolate, Peanut Butter Cookie Dough, Peanut Butter Cup, Phish Food, Pistachio Pistachio, S'mores, Stephen Colbert's Americone Dream, Strawberry, Strawberry Cheesecake, Sweet Cream & Cookies, Triple Caramel Chunk, Turtle Soup, Vanilla, Vanilla Almond, Vanilla Caramel Fudge, Vanilla Fudge Brownie, Vanillla HEATH Bar Crunch, Willie Nelson's County Peach Cobbler

そして、すぐに気がつくのが Häagen-Dazs は、green tea だの strawberry だの、シンプルなフレーバーが多く、組み合せのパターンでも cookies & cream とか java chip などのように、それでもまだシンプルで、そのネーミングを見れば風味の予想がつきそうなものが多いと思います。しかし一方で Ben & Jerry's だと、ネーミングだけではちょっと分からないものも少なくありません。Coffee は分かりますが、それでは Coffee Coffee BuzzBuzzBuzz とはどう違うのか? Fossil Fuel とは一体何物? まあとにかくネーミングそのものもユニークです。

さてこの中に、Ben & Jerry's にしてはシンプルなネーミングのものに S'mores というのがあります。こんなパッケージです。

Bj_smores

この S'mores とは一体何でしょうか? アメリカで生まれ育った人なら知らない人はいないと思います。日本人でも中学・高校をこちらで過ごした人なら知っているでしょう。例によって Wikipedia を参照します。

S'more とは米国およびカナダにおける伝統的なキャンプファイアのお楽しみで、あぶったマシュマロをチョコレートとともにグラハムクラッカー2枚で挟んだものである。"S'more" という単語は "give me some more" と言う場合の "some more" を意味する。

[語源と由来]
S'more は "some more" の短縮形と見られる。伝統的に s'mores が供されるような環境下で、s'more 一つだけでは満足できなかったキャンパーが、「もっと」と思うような状態を反映している。またこの語の語源は、この美味なお楽しみを味わうのに忙しくて、"some more" ときちんと言えなかった人達に由来するとか、まだ口の中に s'more が残っているのに "some more" と言ったため、不完全な発音になったなどと冗談半分に推量する向きもある。
一方では、このデザートは、溶けたチョコレートとマシュマロによって非常にべたつくため、食べてしまったあともしばらくきちんと発音することも飲み込むことも出来ない状態が続き、この状態で次を所望すると "s'more please" となってしまうとする説もある。
このデザートの起源は不明であるが、最初の記録は the Girl Scout Handbook(1927)に見える。

[調製法]
マシュマロを長い棒の先に刺してキャンプファイアの上にかざし、外側が焦げ始めるまで保持する。火が通ると、マシュマロの内部は溶けて柔らかくなる。そこで棒からとりはずし、用意しておいた2枚のグラハムクラッカー(うち1枚にはチョコレートを載せておく)に挟む。この時点でマシュマロの熱がチョコレートに伝わり、チョコレートが融けるようになるのが理想的である。しかし、チョコレートが確実に融けるようにするため、棒のままサンドイッチにしてしまう人もいる。フレーバーのオプションとして、ピーナツバターをグラハムクラッカーとチョコレートの間、もしくはチョコレートとマシュマロの間に追加することも出来る。グラハムクラッカーとチョコレートをキャンプファイアの近くにおいて置くのもチョコレートが融けるためには有益である。
アメリカおよびカナダではこのようにして s'more を作るのが非常にポピュラーであるため、スーパーマーケットでは夏の間、グラハムクラッカー、マシュマロ、大きな板チョコレートを同じ棚に並べることが珍しくない。近年では家庭で s'more を作るための s'more キットも売られている。これにはマシュマロを温めるための小さな熱源、金属の串、具材を保持するための道具などがセットされており、ちょうどフォンデュのセットによく似ている。
出来合いの s'more も売られている。通常これらはグラハムクラッカー、チョコレートおよびマシュマロで構成されているが、加熱される必要もなく、伝統的な方法で供される必要もない。
S'more は非常にポピュラーであるため、他の食材、例えば Pop-Tart(Kellog 社のブランド。クラッカーに甘いフィリングを挟んだもの)にも s'more バージョンが存在している。
S'more の代替調製法は、全体を電子レンジに入れてしまう方法である。この方法の利点は、短時間で出来ること、調製が容易なこと、およびチョコレートが多く融解することである。この方法ではグラハムクラッカーも柔らかくなってしまい、風味が落ちるとする向きもある。またこの方法は、伝統的調製法の、みんなで集まって作ることの「社会的意義」を低減させることになる。

実は筆者も高校生のとき1ヶ月ほどカリフォルニアでホームステイをしたことがあり、このときマシュマロを焼いた記憶があります。同年代のアメリカ人高校生達はそれはもう喜んでマシュマロ焼きに興じていましたが、筆者にはそれのどこが面白いのか、当時全く理解できませんでした。だいたいマシュマロの好きな日本人て、ディーンでも余りいないと思いますが、さらにそれを焦がして何が嬉しいのか? 今になって、またこの Wiki の説明を見て、なんとなく分かった気がします。要するに甘いのが嬉しいのだと思います。チョコレートが融けることに関するこだわりは相当のものがあるように見受けられますが、これも、もともと甘いチョコレートが融けて、velvety になった感覚が嬉しいのだろうと思います。
筆者がマシュマロを焼いた時の話で、焼いたマシュマロを s'more にして食べた記憶がないのと、それを s'more と言うのだと教わった記憶がないのが少し訝しく思います。単に覚えていないだけかも知れませんが。

最近 s'more という単語を知ったのは、冒頭の Ben & Jerry's のアイスクリームをスーパーの店頭で見かけたのと、ちょうどキャンプの季節だったのでテレビの料理番組でもキャンプを取り扱い、その中で s'more という単語が出てきたのがきっかけです。上で書いたように焼いたマシュマロをサンドイッチにした記憶がなかったので、焼いたマシュマロのこと自体を s'more と言うのかと思っていたのですが、ちゃんと調べるとそうではなくて、延々と上に引用したようなものであることが分かりました。

もしかすると、こちらの人は大人でも s'more が大好きで、グラハムクラッカー、チョコレートおよびマシュマロは、どのブランドを使い、どのようなテクニックで調製すると最も美味しいのか、などと議論しているのかも知れませんね。いや甘いものにかける情熱は大変なものがあるようです。

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2009年8月25日 (火)

General Tso's Chicken

General Tso's Chicken (左宗雞) を最近初めて食べました。これは以前書いたとおり、代表的な American Chinese Cuisine のひとつです。その記事を書いた時点では Kung Pao Chicken もまだ食べていませんでしたが、その後 Kung Pao Chicken は色々な Chinese restaurant で食べ比べたので、未体験メニューにチャレンジしようと思って注文したものです。

が、General Tso's Chicken というのは、名前だけは覚えていたのですが、どんな料理だか調べた内容を完全に忘れていました。オーダーした料理が出てきて、「はあ~、これが General Tso's Chicken なのね~」と妙に感銘を受けてしまいました。なんのことはない、簡単に言えばフライドチキンの甘辛酢あんかけです。

当時の記事も少々 Wikipedia を引用していますが、改めて Wikipedia を見てみました。前回よりも詳細に引用してみます。ちなみにこの項目、日本語版はありません。以下全訳に近い抄訳です。

General Tso's chicken (General Tao's chicken と表記されることもある)は、甘辛のフライドチキンで、アメリカおよびカナダの Chinese restaurant で供されるポピュラーなメニューである。その起源は不明である。この料理は、従来中国やその他の中国人居住地域では殆ど知られていなかったので、American-Chinese cuisine の歴史の中で、アメリカにおいて創作されたものと考えられる。

この料理と清朝の政治家である General Tso (左宗棠) との関係は不明である。この料理は伝統的に非常に辛く、甘いことが殆どない伝統的な湖南料理とは異なるが、1970 年代初頭に NYC において湖南-四川スタイルの料理例として導入され、1977 年に始めて New York Times に掲載された。

[名称とその由来]
この料理がどうして湖南出身で清朝の政治家であった左宗棠(1812-1885)の名前を冠するようになったのかは不明である。左宗棠本人がこの料理を食した可能性は低く、また湖南地方の都である長沙や、左宗棠の出身地である湘陰には存在せず、さらに左宗棠の子孫も、インタビューにおいてこの料理を知らないと答えている。
この料理の起源については諸説ある。Eileen Yin-Fei Lo はその著書 The Chinese Kitchen の中で、この料理は湖南地方のシンプルな鶏料理に由来するが、"Zuo Zongtang chicken" 中の "Zongtang"(宗棠) とは、Zuo Zongtang の first name を指すのではなく、同音異義語で「先祖の集まるところ」を意味する宗堂を指すと述べている。この節はこの料理の名称が、稀に「左宗堂雞」と表記されることと合致する。
いくつかの出典によれば、最初のレシピは、台湾に本拠を置く湖南料理シェフである彭長貴(Peng Chang-kuei、20世紀初頭の有名シェフ Cao Jingchen の弟子)の創作であるとされている(要出典)。彭は国民政府の正餐シェフであったが、国共内戦に伴い蒋介石とともに台湾に逃れた。台湾で彭は引き続き料理長としてキャリアを積んだが、1973年、NY に移住しレストランを開いた。彭はこのレストランで料理を創作し、また伝統的な料理に手を加えた。新しい創作メニューである General Tso's chicken は、当初は砂糖を用いて調製され、後に "non-湖南-people" の嗜好に合うように変更された。今日ではこの料理は各地の湖南シェフや料理記者に受け継がれている。彭は 1990年に 湖南でレストランを開店し General Tso's chicken を供したが、湖南地方の嗜好にはこの料理は甘すぎたため、レストランは成功することなく閉店することとなった。

[起源をめぐる議論]
NYC における彭のレストランは East 44th St にあり、NY において最初に General Tso's chicken を供したと言っている。この料理は新しいため、使用する材料がありふれたものであるにも拘らず、彭はこれを house special と位置づけている。1977年の彭のレビューによれば、彭の General Tso's chicken は味・温度ともに hot であり、フライドチキンの傑作であるとされている。
NY の Shun Lee Palaces, East (155 E. 55th St.) および West (43 W. 65th St.) もまた、そこが Genral Tso's chicken を最初に供したレストランであると主張している。彼らによると、この料理は中国からの移民である、シェフ T.T. Wang が 1972年に創作したものであるとのことである。Shun Lee Palaces のオーナーである Michael Tong は、「全世界で最初に湖南レストランをオープンしたのは我々であり、今日アメリカの全ての湖南レストランで供されている4つの料理を創作したのも我々である。現在のそれらは全て我々のコピーである」としている。

[レシピ]
General Tso's Chicken は一般的に、チキンの赤身を使い、衣をつけてフライにし、ショウガ、ガーリック、醤油、米酢、紹興酒またはシェリー、砂糖、胡麻油、スカリオン、唐辛子などで調味され、多くの場合蒸したブロッコリとともに供される。
General Tso's chicken は比較的低コストで作ることが可能であるにもかかわらず、、本メニューは北米の Chinese restaurant では比較的高価なメニューである "Chef's Speciality" のセクションに載せられていることが多い。多くのレストラン、特にベジタリアンセクションでは General Tso's Tofu や General Tso's Veg を供している。その他エビ、ビーフ、ポークなどもチキンの代わりに用いられる。

[地域によるバラエティ]
カナダの一部では、この料理は General Tao's Chicken として知られている。また別の地域では、誤って General Tsao's, General Zhou's, General Tao, General Mac's, General Gao's, General Gau's, Chou's, General Tzo's, General To's, General So's, General Joe's, Jordan Chicken, and General Toso's などとも表記される。NJ エリアでは General Chow's または General Tso's とされることが多く、北カリフォルニアでは単に General Chicken とされることもある。海軍兵学校の主食堂である King Hall では、海軍版の名前として Admiral Tso's Chicken として供されている。チェーン Chinese restaurant である The Pei Wei では "Pei Wei Spicy" を供している。なおこれは "General Chu" の Pei Wei 版であるとの但し書きがあり、chile vinegar sauce、スカリオン、ガーリック、スナップピー、ニンジンなどと供される。Pei Wei の親会社である P.F. Chang's China Bistro でも "General Chu" と表記している。
北米以外では、台湾にある彭長貴の有名なレストランがこの料理を供している。北米で供される General Tso's Chicken とは甘酸っぱくないことで異なっており、また皮つきのまま調理し、醤油が重要な味の構成成分となっていることでも異なる。

いやいや蒋介石やら国民党やら、中台の歴史まで引っ張りだされるとは・・・

冒頭に書いたように、ひとくちで言うとこれはフライドチキンのピリ辛甘酢あんかけです。店によって味は違うと思いますが、日本人からすると酢豚というか、ミートボールの甘酢あんかけというか、なんとなく知っている味に近いと思います。ご飯も進むことでしょう。
ところで American Chinese で未だ試していない料理に orange chicken(陳皮雞)というのがありますが、これは General Tso's chicken のソースを、陳皮または orange zest またはオレンジジュースにてオレンジ風味をつけたものと考えれば良さそうなので、もう試さなくてもいいような気がしています。
ということで、次は Moo shu(木須)を試してみたいと思います。

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2009年3月12日 (木)

Lamb Vindaloo

東京にいた時分、ひいきにしていたインド料理店が麹町にあります。平日のランチ時は、沢山あるカレーから2種類を選んでライスつきというセットがあるのですが、ここに行くと、10 回に9回はキーマカレーとマトンカレーをチョイスしていました。ここで言うキーマはチキンのキーマです。平日のランチ以外は単品のオーダーしかないので、そういう場合は大抵マトンカレーを選んでいました。要するに一番好きなのがマトンで、次がキーマということです。

で、この店の味は本当にこの店でしか食べられないと思っており、だからこそそうやって通っていたわけですが、こちらでも、同じ味とは言わないまでも、ひいきを見つけられないものかとかれこれ2年半も思い続けていました。評判の良いインド料理店にもいくつか行きましたが、残念ながら見つけられずにいました。

今年に入って、改めてネットで調べてみると、麹町のインド料理店の味は、南インドの味らしいことを再認識しました。それならば、南インドの料理を供するインド料理店にあたって見たらどうかと思い、調べてみると、Rockville に1軒、Takoma Park に1軒あることが分かりました。このうち Rockville の方は既に2回も行った店で、2回ともバッフェを食べて、まあまあという感想を持っている店でした。ということで、Takoma Park の店に行こうと思いました。近頃は便利なもので、その店が HP を持っていれば、メニューを事前に調べることが出来ます。調べて行くうち、lamb vindaloo というのがもしかしたら自分の求めているものに近いかも、と思いました。なおこちらではマトンを用いることはまずありません。羊を食べるとしたら、ラムしか食べません。スーパーマーケットに行ってもラムしか売っていません。自分としてはマトンの独特の風味が好きなのですが、ないものは仕方ありません。ラムで行くことにします。Lamb vindaloo をオーダーすることは決定です。
行く時は2名で行きますのでもう一皿選びたいわけですが、そこはノーマルに chicken curry をオーダーすれば最もその店の特長が良く分かるのではないか、と思い、それも決定。

とある土曜日、実際にその店に行って見ると、バッフェか? と聞かれるので、いや、レギュラーメニューがいいと言うと、OK と席に案内されます。メニューを見ると・・・、ありました、予定の2皿。予定通りにオーダーし、食して見ると・・・ 満足です。これが食べられるなら麹町に行かなくても結構です。Lamb vindaloo は期待通りの味。Chicken curry も申し分ありません。嬉しくなって、よし、月イチで来ようと思いました。2年半の恨みが解決されました。

さてこの vindaloo という料理ですが、上の店でも注文時、「辛いよ?」と注意されたのですが、こちらのインド料理としては激辛の部類に入るようです。日本にいるときに聞いたことのない名前なので、どんなものかちょっと調べてみました。

Vindaloo という単語は、"Vinha d' Alhos" というポルトガル語が語源になっているとのことで、その意味は「酢とニンニク」だそうです。ワイン(もしくは酢)とニンニクを用いて作る、通常はポーク料理のようです。また、Vindalho とか Vindallo とか表記されることもあるようです。
"Carne de Vinha d' Alhos" は、最初ポルトガル人によって Goa という町にもたらされた料理で、後に Goa 料理にまでなったようです。伝統的なポルトガル料理では、この料理はポークを赤ワインまたは赤ワインビネガーとチリペッパーに漬け込み、ニンニクと共に煮込みます。Goa ではこれにたっぷりの香辛料を加え、Vindaloo curry に進化したようです。レストランではチキンまたはラムで供されることが多く、ポテトを加えることもあります。伝統的な vindaloo ではポテトは入りませんが、ヒンズー語の "aloo" という単語がポテトを意味することから、ちょっとした矛盾が生じているようです。

そして、vindaloo が一般的なのは Goa でだけであり、インド全体ではそうではないようです。インドの外では、英国、中近東、オセアニアでは殆どのインドレストランでメニューに載っているほどポピュラーだそうです。また米国・カナダでも良く見られるとのことです。メニューの中では通常最も辛いカレーですが、"Tindaloo" というより辛いバージョンがある場合もあるとのことです。

Vindaloo とかバンダルーとかを日本語版 Google などでひくと、かなり少数しかヒットしないので、日本ではポピュラーでないのは間違いありません。これを供するレストランもあるにはあるようですが。

さて上で書いたとおり、この vindaloo を食べるために Takoma Park まで行ったのですが、その後調べてみると、相当数の店でメニューに載っていることが分かりました。上で述べた既に2回行った Rockville の店にもありました。なんと、灯台もと暗しです。改めてこれを目的に行って見ると、何のことはない、Takoma Park よりも美味しい。Chicken curry も言うことありません。これに気を良くしてその後 Rockville と Bethesda のインドレストランを 10 軒近く回って、同じメニューの食べ比べをしました。
そこで分かったことは、次のようなことです。
当然店によって好みは別れますが、全般にどこの店の皿も十分美味しく、東京でもなかなかないレベルにあること。これは東京に帰ったら却ってストレスになるかも。
そして、バッフェを食べてはいけないということ。バッフェは作り置きですし、その店の実力が全く発揮できないように思います。バッフェは非常に経済的ではありますが、店・客の双方に勿体無い食事のような気がします。

さて上で書いたようにこの vindaloo、純正インド料理ではなく、ヨーロッパ混じりのものです。これは意外でした。インド文化にヨーロッパが混入しているとは考えても見ませんでした。
実は、こちらのインドレストランで良く見かけるメニュー、"chicken tikka masala" もそうだと言うことを先ほど初めて知りました。Chicken tikka そのものは串焼き版タンドーリチキンのようなものですが、それをカレーソースに入れたものだそうです。この発祥は 1960 年代、グラスゴーにある British Bangladeshi レストランでのこと。Chicken tikka は上で書いたようなものなので、結構ぱっさりしています。これを嫌った客が、何かグレービーを頼んだところ、シェフがトマトスープ、ヨーグルトにスパイスからなるソースを思いついたのが最初とか。
ということで、chicken tikka は純正インド料理だけれども、chicken tikka masala は「スコットランド料理」だそうです。まあ確かに欧風カレーは確かにヨーロッパに定着していますし、ことにイギリスではポピュラーですから、不思議なことはありません。明太パスタや納豆パスタがイタリア料理でなく、ラーメンが中華料理でなく、パク森カレーがインド料理でないのと一緒です。

去年は、日本では仲々お目にかかれないアメリカ版中華料理の存在を知りましたが、インド料理でも似たようなことがあるようです。しばらく楽しめそうです。

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2008年12月 2日 (火)

Broth & Stock

東京では、洋風の味付けのベースとして、顆粒コンソメを多用していました。こちらに来た当初、キューブのコンソメ(というよりブイヨン)はまあまああるものの、顆粒のブイヨンがなかなか見つけられず、困ったという話を以前書きました。

ところが、日本と違いキューブや顆粒のブイヨンを使うレシピは殆どなく、味付けのベースは、chicken broth だの beef broth を用いるのが普通だということがしばらくして分かったことも上に書きました。で、商品を良く見てみると、顆粒だのキューブのものは、bouillon と表現されていることが多く、consommé と表現されることはまずありません。Wikipedia で consommé を見てみると、

A consommé is made by adding a mixture of ground meats or mousselin with Mirepoix, tomatoes, and egg whites into either bouillon or stock.

とありますから、まず bouillon か stock を作り、これに挽き肉か "mousselin" とミルポワ、トマトに卵白を加えて作ったものです。で、consommé は言うまでもなく、完成された一つの皿、スープです。決して煮立たせずに1日かけて作るもので、煮立たせると百たたきモンだという、料理のベースなどではなく高貴な一品だったと思います。上の英文にあるとおり、ベースとなるのは bouillon か stock です。

日本のレシピでは良く「スープストック」という単語を見かけます。まれに「ブイヨン」と書いてあったかも知れません。しかし逆にこちらのレシピでは、"soup stock" やら "bouillon" を用いることは殆どありません。実際スーパーマーケットでごく普通に売られているのも、紙パック入りの stock やら bouillon ではなく、紙パック入りの broth です。これらのことから、これまで stock と broth は同じ意味だとばっかり思っていました。また broth って、スープストックのイメージよりもかなりサラサラの液体なのですが、へーそんなモンなんだなーと思っていました。

ところが、極くまれに chicken stock という表現のレシピを見かけるのです。ということで、stock と broth の違いについて調べて見ました。すると…

当地でも、「stock と broth の違いを教えて! stock と書いてあっても broth を使っていいの?」というスレッドが随所に見られました。なーんだ、みんな、分からないで使っていたのか… と意外というか安心と言うか。これらの質問に対する回答で、Wikipedia にも見られる説明は、

Stock は主として動物の骨を用いて作る。風味は軟骨や結合組織に由来し、コラーゲンを多く含むため、やや粘稠。
Broth は主として動物の肉を用いて作る。
しかし、vegitable stock や vegitable broth という表現もあり、骨/肉の違いだけでは説明し切れない。

ということのようで、雰囲気的には分かりましたし、皆さんそのように使い分けているようですが、現実問題、確実なルールは存在しないようです。また使用にあたっては、chicken stock と書いてあっても chicken broth で代用して構わないようですが、少し風味が薄くなるかも知れません。だいたい chicken stock なんて売っているのを見たことありません。Wikipedia 他によると、「broth は final product として売られているが、stock は料理のベース専用」という記載があり、ちょっと趣旨が分かりかねる面はあるものの、stock は自製してそのまま料理のベースに使うものというイメージのようです。

ついでに bouillon を見てみたら、やはり骨から作ると書いてありましたので、どうやら bouillon とは stock のフランス語と考えてよさそうですが、その一方で bouillon cube の項を見てみると、

A bouillon cube (US) or stock cube (UK) is dehydrated broth (bouillon in French) or stock formed into a small cube

などと言う記載もあり、broth と stock の使い分けに関しては無法地帯みたいなものかも知れません。ここでは stock でなく broth がフランス語の bouillon に相当と書いてあります。ちなみにこの表現からは、アメリカでは stock cube と呼ばずに buillon cube と呼ぶらしいこともうかがえます。実際、stock cube という表示はこちらで見たことがありません。

Buillon cube が本当に骨(broth でなく stock)から作られているのであれば、buillon (stock)を使いたいときには cube を、broth を使いたいときは紙パックを、ということにすれば良いのですかね? 確かに cube の方がコクはあります。少し人工的な味にはなりますが…

分かったようで分からないかも…

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2008年11月10日 (月)

Turducken

Rachael Ray が、30 Min Meal で今日は stewp を作ると言っています。Rachael によると、stewp とは stew より薄くて soup よりは濃いものだそうです。それくらい聞けば分かる気はしますが、まあとにかくそういう「あいのこ」の料理があるようです。Stewp でググると 830 件しかヒットしませんでしたが、その中からレシピの一例を。クックパッドのような読者からの投稿です。

Fall Harvest Stewp Recipe

Ingredients 
1 large carton organic Free range Chicken broth (5 cups)
1 small carton organic Free range Chicken broth (1 cup)
1 bag frozen corn (about 8oz)
1 bag frozen peas (about 8oz)
1 large can stewed tomatoes
1 small can Italian stewed tomatoes
1 small bag frozen krinkle cut carrots
1/2 to 1 onion, chopped
1 whole kielbasa cubed
5 potatoes cut into large cubes
2 or 3 hands full mini star pasta

Directions 
1. Toss all but the pasta in the stock pot, or the crock pot and go about your day.
2. About 30 minutes before you are going to eat toss in the pasta and cover.
3. You can subsitute the meat for any kind of meat and of course use any type of veggies. This makes a very hearty soup which is really more of a stew.
4. I served with Italian Slipper bread.

訳しませんが、まー随分簡単だこと。タマネギ・ポテト・肉以外は全て冷凍モノ・缶詰素材とブロスで、これをスロークッカーで煮込むだけ。これで soup より濃くなるのでしょうか。濃くなる要因としたら、タマネギとポテトが殆ど溶けてしまうだろうから、それによって濃くなるかも知れません。トマトも仕事をしているでしょう。一方小麦粉を使っていませんから、stew ほどは濃くならないのは想像できます。

さてこんなものを引っ張り出して来たのは、ちょっと「あいのこ」とは違いますが、2つ以上の英単語を組み合わせた造語の料理名、turducken のまくらにしようと思ったからです。これから Thanksgiving にかけて turkey が大活躍しますが、その「変種」と言って良いでしょう。通常 roasted turkey は、お腹にスタッフィングをして何時間かかけてオーブンローストします。が、turducken はその詰め物が違うのです。なんと、turkey のお腹に duck を詰め、その duck のお腹に chicken を詰めてオーブンローストするのです。ちなみに chicken のお腹には spicy なパン粉とソーセージを混ぜたスタッフィングを詰めるのだそうです。また、通常の turkey roast と違うのは、turkey から骨(肋骨と背骨でしょう)を外しておくことです。Duck と chicken も同様です。

この Paula Deen のレシピでは、最初から骨をはずした turkey、duck、chicken を用意するようですが、Wikipedia によると、骨の外し方などはインターネット上で簡単に見つけられるので、家庭で turducken を作ることも多いと書いてあります。

ついでに turducken トリビアを Wikipedia から。

Turducken はシェフ Paul Prudhomme が1983 年に festival Duvall Days in Duvall, Wa で造ったのが最初という説があるが、確かではない。National Geographic 誌の 2005 年 11 月号の、Calvin Trillin の記事では、この料理は LA 州 Maurice 市にある "Hebert's Specialty Meats" 社に遡ることが出来、同社は 1985 年以来 turducken を商業的に供給し続けており、それは地元の農夫が、Hebert's 社に、何か変わった方法で調理して欲しいと依頼したことがきっかけである、との記載がある。同社は Thanksgiving を中心に、週あたり 5,000 個の turducken を供給している。また同社は Paul Prudhomme の好敵手である。

Turducken は "do-it-yourself" のアウトドアフード文化と関係があり、またバーベキューなどとも関係がある。一部の人達は Thanksgiving に、従来の turkey に代えて turducken を調理している。Turducken は鳥から骨を除去する方法を学ぼうとする人であれば誰にでも家庭で調理することが出来、その骨の除去法はインターネットや各種の本などで容易に知ることができる。Turducken は Louisiana の出身であるが、そこから南部一帯に広まり、今では郊外の specialty store や、メールオーダーででも入手することが出来る。

アメリカではポピュラーではあるが、その他では滅多に見られることはない。

とのことです。確かにこのページからリンクしているのは、ドイツ語版、スペイン語版、フランス語版のみです。
しかしまたしても Cajun ですか。そしてまたしても Paul Prudhomme。Paul Prudhomme は New Orleans の有名なシェフで、ビジネスも手広くやっています。New Orleans に行ったとき、ウチでも Cajun が作れないかと思ってここのスパイスミックスをいくつか買って帰りました。今では日本でもこのスパイスミックス、結構どこでも買えるようになりました。が、Hebert's はちょっと無理でしょうかね…
Turducken ではなく中が空洞の turkey を丸ごと揚げるダイナミックな調理法があるのですが、それも Cajun スタイルだそうです。
さてトリビアをもう少し。

これまでに記録のある最大の "nested bird roast" は 19 世紀初頭にフランスで "royal feast" とされていた "Rôti Sans Pareil" ("Roast without equal"という意味)で、それは 17 種類の鳥で造られた "nested bird roast" である。具体的には、

a bustard stuffed with a turkey, a goose, a pheasant, a chicken, a duck, a guinea fowl, a teal, a woodcock, a partridge, a plover, a lapwing, a quail, a thrush, a lark, an Ortolan Bunting and a Garden Warbler

である(該当する日本名がない鳥もあると思うので訳さない)。
最後の鳥、Garden Warbler は、オリーブ一粒が入るのがやっとである。なお、現代の "multi-bird roast" とは異なり、鳥と鳥の間にはスタッフィングを用いない。現代では多くの鳥が禁鳥になっているので、この皿を合法的に再現することは出来ない。

だそうです。Wikipedia にある写真は、当然この "Rôti Sans Pareil" ではなく、普通の turducken ですが、断面は確かに3つの違う肉質で構成されているのが見えて、面白いです。

ときにこの turducken、最初に聞いたときは、なんとまあ阿漕なことを考えるもんだな、と「阿漕豆腐」を連想しました。阿漕豆腐は食べたことがありませんが、リンク先のレシピの通り、豆腐を「あぶって、煮て、揚げて、焼く」ものです。 おいしいのかどうかは知りませんが興味はあります。

まあとにかく、「肉に肉を詰める」という料理は、今のところ他に聞いたことはありません。「肉で肉を巻く」と言う話なら、ハンバーガーやステーキをベーコンで巻くという手法はさほど珍しくないのですが… まあでも巻かないだけで、合い挽きなんてのも考えてみれば似たようなモンでしょうか。今でこそやりませんが、以前ウチのキーマカレーと言えば、ビーフ、ポーク、チキンの挽き肉を全て使ってましたし。

さて今年もまた再来週の終わりは Thanksgiving となりました。今年はどうしようか…

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2008年10月29日 (水)

Southwestern Cuisine

Iron Chef の Bobby Fray は、NYC 生まれのアイルランド系4世だそうですが、その cooking style は、Wikipedia によると Spanish, Mexican, and Southwest だそうです。この Southwest という cooking style は時として目にするのですが、一体どんなものか、分かるようで分からないでいました。メキシカンぽいカリフォルニア料理? とか漠然と考えていました。

Wikipedia によると、Southwestern cuisine とは、アメリカ南西部の田舎料理で、スペインからの入植者、カウボーイ、Native Indian およびメキシコ人が食べていたものが混ざり合ったものだと記されています。そして、Southwestern は、メキシカンに似ているけれども、メキシカンに比べて肉のカットが大きい、臓物・脳その他アメリカではあまり好まれない部位をあまり用いないなどの点で異なるそうです。一方類似点としては、スパイスの使い方(特にチリ・チリパウダー)や様々に調理された豆を添える点などがあるそうです。Southwestern に特徴的な料理としては、Chili con carne、fajita など、また chiles rellenos(スタッフドチリペッパー)、ステーキとチリペッパーの組み合わせなどがあると書いてあります。その他の Southwestern 料理には、salsa、burrito、rice and beans、tacos、nachos、chimichanga などがあるとのことです。

と言うことは、逆にメキシカンでは臓物系も食べるわけか、と思って本来のメキシカンを調べてみました。

現在のメキシカンは、アステカやマヤなど古くからの伝統に基づいているが、スペインからの入植者がもたらした料理と融合したものである。例えば quesadilla は、チーズ(多くの場合、Queso Fresco または Queso oaxaca などの柔らかい田舎チーズ)、ビーフ、チキン、ポークその他のもので作った小麦粉またはトウモロコシ粉のトルティーヤである。Quesadilla の素材のうち、メキシコ本来のものは、チリペパーであるが、これは多くの伝統食に用いられている。これらのメキシコ料理はチリペパー、グリーンペパー、ブロッコリ、カリフラワー、ラディッシュ等の非常に多くの野菜と肉を用いるため非常にカラフルである。

ひとくちにメキシコと言ってもやはり当然地方色があるようですが、中央部の特徴ある料理のひとつに、barbacoa というものがあるようです。これは、牛の頭部を時間をかけて調理したものだそうです。そう言えば、Authentic Mexican の店に行ったとき、beef heart を焼いたものが非常に美味でした。しかし頭部や心臓は、確かにアメリカ国内では好まれないでしょう。本来のメキシカンはこうしたものも含むようです。

さて Southwestern に戻りましょう。では、Tex-Mex とは何が違うのか? 答えは、「テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ以外では、Tex-Mex と Southwestern は同義である」だそうです。
が、Tex-Mex とは、もともとテキサスおよび南部の州で用いられていた単語で、アメリカ国内の食材とメキシカンに影響を受けた Mexican-American とを融合したアメリカの地方料理を指す単語だったようです。Tex-Mex は、本来のメキシカンと類似点もあるしそうでない点もあるけれども、テキサス州内では単に「メキシカン」と呼ばれているらしいです。

Wikipedia の日本語版では、「テキサス州外では、テクス・メクスとはアメリカ化された、低品質のメキシコ料理もどきを指す言葉である」という記載があり、ちょっと驚きましたが、英語版ではそのような記載はなく、また日常生活でも、Tex-Mex レストランはちっとも低品質ではありません。毎日繁盛しています。Bethesda に割りと贔屓にしている店があるのですが、これは Zagat(2008)で19 点とあまり芳しくなく、またメトロ DC 全体でもトップは 22 点と、うーん、というところです。決して低品質ではないけれども、カジュアルであるのは間違いないかも知れません。

上の点以外は現在の日本語版はほぼ英語版の翻訳になっているようなので一部抜粋すると、

テクス・メクス料理はメキシコ料理と共通の素材を使用することが多いのにも関わらず、メキシコではあまり使われないものがよく加えられる。テクス・メクス料理には主に大量の肉(特に牛肉)とチーズ(チェダーチーズやモンテレージャックチーズ(Monterey Jack)等)、ヘッドレタスそして香辛料を使用する特徴があり、ナチョス、トルティーヤをパリッと揚げたタイプのタコスやチャルーパ、チリコンケソ、チリコンカーン、チリグレイビー、ファヒータ、タコサラダなどはテクス・メクスだけに見られる料理である。またレストランでトルティーヤ・チップス(tortilla chips)とサルサがアペタイザーとして出されるのも、テクス・メクス料理独特の習慣である。

だそうです。なるほど確かにレストランのアペタイザーはその通りです。

Tex-Mex または Southwestern がどんなものか大体分かりました。しかし・・・ Bobby の料理がそれに該当するとはちょっとピンと来ません。改めて Bobby の店 Mesa Grill の HP を見てみると、

Bobby Flay developed his signature style of American cookery, marrying the flavors of southwest with his love of grilling at Mesa Grill.  From fiery and cool to sweet and tart, Bobby deftly combines zesty wet and dry rubs, bold sauces along with creative and timeless techniques.  From Spice Rubbed New York Strip Steak with House-Made MESA Steak Sauce to Chile Relleno, dining at Mesa Grill continues to electrify diners year after year.

だそうです。New York Strip などがあるから妙な感じを受けるのですが、ただの New York Strip ではなくて Spiced Rubbed なわけですね。Chile Relleno などがあるあたりは確かに Tex-Mex。NY 店の夜のメニューを見てみると、

ANCHO CHILE-HONEY GLAZED SALMON with a Spicy Black Bean Sauce, Tomatillo Salsa + Roasted Jalapeno Crema

NEW MEXICAN SPICE RUBBED PORK TENDERLOIN with Bourbon-Ancho Chile Sauce + Sweet Potato Tamale with Crushed Pecan Butter

ANCHO CHILE RUBBED CHICKEN with Roasted Tomatillo Sauce + Queso Fresco

GRILLED MAHI MAHI with Roasted Pineapple-Cascabel Chile Sauce + Caramelized Pineapple-Green Onion Salsa

MANGO + SPICE CRUSTED TUNA STEAK with Green Peppercorn-Green Chile Sauce + Toasted Pinenut Cous Cous

GRILLED LAMB PORTERHOUSE CHOPS with Concord Grapes, Cilantro, Mint, Pine Nuts + Pumpkin Tamale with Allspice Butter

SIXTEEN SPICE DUCK BREAST with Carrot-Habanero Sauce + Chorizo-Goat Cheese Tamale with Thyme Butter

GRILLED RED SNAPPER with Red Chile-Tomato Sauce, Crushed Avocado + Barbequed Red Onion

GREEN CHILE CIOPPINO with Lobster, Scallops, Snapper + Mussels, served with a Blue Corn Stick + Scallion Butter

CORNMEAL CRUSTED CHILE RELLENO filled with Roasted Eggplant + Manchego Cheese with Sweet Red Pepper Sauce + Balsamic Vinegar

というようなことになっています。改めて見ると、確かに Southwestern inspired ということは言えそうです。ちなみに殆どの肉料理に使っている ancho とは、"a dried poblano pepper, reddish-brown in color, used esp. in Mexican cooking" というものです。Bobby は良く料理番組で、"I like cumin" と言いながらクミンを多用します。クミンは地中海東部から東インドにかけての原産のようで、実際インド料理の基本スパイスのようなものなので、本来メキシコには縁がなかったとは思うのですが、現状では "Today, cumin is identified with Indian, Tex-Mex, Cuban and Northern Mexican cuisine" ということになっており、確かにこれを使うと インドぽくなる以外に、Tex-Mex ぽくなるのも事実です。

先日アリゾナに行って来ました。テキサスではありませんがほぼ本場。そこで "regional" やら "Southwestern" を何回か食べましたが非常に美味でした・・・

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2008年10月15日 (水)

Comfort Food

こちらに来てから comfort food という単語を知りました。聞いた瞬間、いい言葉だな~と思いました。Comfort food がおいしいかどうかということよりも、単語そのものの響きも意味もいい言葉だと思ったのです。

さてその comfort food とはどんなものか、例によって Wikipedia で調べてみました。

Comfort food とは、家庭で調理されるか、カジュアルなレストランで供される家庭的でシンプルな料理である。

とのことです。そして

Comfort food は基本的に安価で、単純で、調理が容易である。Comfort food に親近感や安心感、またはご褒美のようなものを感じる人が多い。ある料理が comfort food と目されるには色々な理由があるが、子供のころの楽しい思い出と結び付いていることが多い。小さな子供はある特定の食べ物や飲み物を特別に好きになることが多く、それは security blanket(いつも持っているお気に入りのボロ布)のような働きをし、高度のストレス状態におかれると決まってねだる。大人になっても同様の感覚で食べる。

Comfort foods は多くの場合、単一または複数種の炭水化物を用いる。例としては砂糖、米、小麦等である。

個人の好みによって色々な食べ物やスナックが comfort food になる可能性があるが、一定の文化圏内では広く共通に認識される comfort food もある。Mushed potato、トマトスープなどは一般的に広く comfort food であると認識されている。心理学ではこういったものを comfort food と認めない人たちを "low-comfort" な人であると看做すことは極めて一般的である。

Comfort food は昔から diner やカジュアルなレストラン、家庭料理の人気メニューである。従来から本物であり低コストでなければならないことが重要とされて来た。しかしながら近年の動向では、多くのシェフが American cuisine のルーツを探ったり、American cuisine を独自のスタイルであると看做したりするようになったため、より慎重に調理・プレゼンテーションを行い、高品質で新鮮なオーガニックの材料を用いるような、fine dining comfort food restaurant が出現してきており、価格も上昇している。

だそうです。でも、肝心のことが書いてありませんでした。具体的にどんなものがアメリカ人の comfort food なのか・・・?
これには同ページから外部リンクが貼ってありました。イリノイ大学で行った調査のようで、性別による comfort food の違いのようなことが書いてあります。

男性にとっての comfort food は母親が作った料理と関連が深く、mashed potato、パスタ、肉料理、スープなどであり、アイスクリームを除くスナックや菓子であることは少ない。

マッシュポテト、肉料理(ステーキやミートローフなど)、スープは他のサイトでも良く見受けられました。では女性にとってはどうでしょうか。

しかし男性にとっての comfort food は、女性にとっては「労働」である。成人女性は男性のために作った暖かい料理を自分で食べることには通常慣れ親しんでおらず、また子供たちも女性を「主たる料理人」と見ているので、女性は心理学的な安らぎを、もっと手間のかからないもの、例えばチョコレート、キャンディ、アイスクリーム等から得る傾向がある。実際に自らを「チョコレート中毒」と申告した人の 92%は女性であった。

なるほど~。やっぱり、スナックや菓子類を除いた、comfort food としての「料理」は、やっぱり男性から見た「お袋の味」系なのですね。

その他、悲しいときに食べたくなるものや、楽しいときに食べたくなるもの、また何か「自分にご褒美」というときに食べたくなるものは人それぞれではあるけれども必ずあると書いてあります。Wikipedia にも同様のことが書いてありましたが、分かる分かる。
また自分の存在感と直結する食べ物もある、とのことです。例えば多くの男たちにとって T-bone steak は「強く、純正のアメリカ人」である証なのだそうで、これが豆腐ではそうはいかないとか。
なるほど食べ物と言うのは、自分自身の心の動きや、体面とまで結びついているわけですね。そりゃそうだ。

またある人は「その時の気分や、冷蔵庫に何があるかによるけれども」とした上で、ストレスを和らげる料理として次のようなものを例示しています。

Mac and Cheese not from the box
Chili with onions and cheese on the top
Scalloped Potatoes with Ham
Eggs over easy with Toast and bacon
Chinese Food and Red Wine

チャイニーズが出てきたのはちょっと驚きましたが、Mac'n Cheese は定番のようです。"Not from the box" というのは、箱から出してチンするだけというものではない、という意味でしょう。Make sense。なるほどだいたいこんなものが comfort food なのでしょう。家庭料理がどんなものか少し想像がつきますね。こちらの子供たちはこういうものを食べて育つのでしょう。

ところで上の Wikipedia、日本では例えばこんなものが comfort food ということを紹介しています。

味噌汁、ラーメン、おにぎり、カレーライス。

ふむふむ。確かにそんなところでしょうか。

ときに Wikipedia に日本語ページへのリンクがあったので飛んでみると、そこは --- 「国民食」のページでした。そしてその例として、

寿司、味噌汁、うどん、すき焼き、コロッケ、ラーメン、カレーライス、肉じゃが

が挙げられていました。なるほど確かに英語版よりも実態に即してますね。Comfort food が「安い」「家庭料理」であることが条件であるとすると、寿司はちょっと違うかなと思いますが、「自分にご褒美」などのときにはうってつけですね。うなぎなどもそうでしょうか。
個人的には肉じゃがなんて最右翼です。もっともこれは「お袋の味」ではなくて自分のレシピでないとイヤですが。

あとは、気分との連動ではなくて体調との連動ですが、二日酔のときはインド風カレーがいいとか。またはうどん。こういうときは讃岐うどんなどではなく、関東風のコテコテの田舎うどんが食べたくなります。と言っても「ほうとう」とか「おっ切りこみ」などのことではなく、普通の東京風ですが上等でないカジュアルで安い麺つゆ(でも市販品は×。要するにごく普通のそば屋の麺つゆ)に、やや茹ですぎの腰のない麺・・・

そうは言ってもこちらではそんな贅沢なことは言ってられません。いつもはなるべくこちら風のものを作って食べてますが、風邪を引いたり胃腸の弱ったときは、別におかゆでなくてもいいですし、日本の品種にも日本産にも拘る必要も全然ありませんが、やっぱり米粒がいいようです。日本人だなあ・・・

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2008年10月 6日 (月)

American Chinese Cuisine

日本で食べられる中華料理は、Japanese Chinese cuisine とでも呼ぶべきもので、概して日本人の口に合うように modify され、あるいは日本で入手可能な食材で作れるように modify されたものだろうと思っていました。現に北京・台湾・香港・深圳などで食べた "本場" の中華料理は、日本で食べるものとやはりどこか違いました。

深圳では筆者に激辛を経験させようと、現地駐在員に悪巧みをされたことがあります、香港のスグ隣だから広東料理がデフォルトだろうと思うのにわざわざ四川料理店に連れていかれ、激辛らしい麻婆豆腐を食べさせられたました。ところがそれは筆者にとっては激辛というほどではなく、駐在員の期待には添えませんでしたが、ちょっと形容しがたいほど美味で、ひたすら驚いて「こんな旨い麻婆豆腐、食べたことない」と言ったところ、「香港でも食えないよ」とのことでした。まあ香港も四川料理の本場ではありませんが、あの香港ですら食べられないというほどの麻婆豆腐じゃあ、旨いわけだと納得した次第です。
まあ日本の麻婆豆腐も、それはそれで好物ですが、同じ料理名でも日中では別の料理と思った方が良いものというのは多いのではないかと思います。

アメリカにも Chinese restaurant は星の数ほどあります。どこも大抵 authentic のようなことをうたっていますが、これまでどういうわけかそれを根拠もなく結構信じ込んでいました。そしてこちらの Chinese restaurant では日本で見かけないメニューを良く見かけるのですが、それは日本の中華料理が本家のものからかなり分化している一方、アメリカの中華料理は本家のものが比較的保存されているからだろうと勝手に思っていました。
何でそんな風に考えたのか分かりませんが、それは間違いであるに決まっていることについ最近気が付きました。アメリカならアメリカ人の口に合うように modify されるに決まっているし、アメリカで入手可能な食材で作れるように modify されるに決まっています。Chop suey が American Chinese cuisine であるのと同様、他にも American Chinese cuisine はあるはずで、それがどんなものか調べてみました。

Wikipedia で American Chinese cuisine なる項目をひくと、次のようなものが書いてありました。

General Tso's Chicken
Sesame Chicken
Chinese chicken salad
Chop suey
Chow mein
Crab rangoon
Fortune cookie
Fried rice

General Tso's Chicken というのは漢字で書くと「左宗雞」となります。そんなメニューは、漢字で書かれても英語で書かれてもさっぱりどんなものか分かりませんが、Wikipedia によると、

アメリカ・カナダの Chinese restaurant でポピュラーで、揚げたチキンを甘辛く味付けたものである。湖南料理と考えられている。出自は不祥であるが、中国本土やその他の中国人居住区でも見かけない。アメリカで発明された料理である。1970年代にニューヨークで湖南・四川料理として紹介されたと考えられている。

だそうです。見た目はこんな感じ。料理は General Tso(左宗棠)の妻により発明されたという説があるが怪しいとのこと。

Sesame Chicken は General Tso's chicken と良く似ているが、タマネギと各種ピーマンを抜き、代わりにゴマをまぶしたものだそうです。湖南料理の流れを汲むとのことです。こちらは「芝麻雞」と書きます。「左宗雞」と違って材料名が書いてあるのでどんなものなのか見当がつきやすいと言えるでしょう。

Chop suey は前回書きました。

Chow mein が American Chinese とは知りませんでした。まあ焼きそばですので日本にもあるのは言うまでもありません。Wikipedia では

Authentic chow mein is generally made of soft noodles, whereas chow mein in Westernized Chinese Cuisine may also be made from thin crispy noodles.

とありますが、一方で

There are two kinds of chow meins available in the market: 1) Steamed chow mein, and 2) Crispy chow mein. The steamed chow mein has a softer texture while crispy chow mein is crispier and dryer.

という記載もあります。日本語版では

日本では中華焼きそばの一種として知られているが、これら揚げた麺を使ったものを中国語で炸麺と呼んで炒麺とは区別する。

色々総合すると、American Chinese と言う割には、それを何と呼ぶかは別にして、本国にも近いものはあるように見えます。

Fried rice がどうして American Chinese なのかちょっと解せません。日本にもあるのは言うまでもありませんが、本国にだって当然あります。香港では地元スタッフがわざわざウェイターをつかまえて作らせた裏メニューの fried rice を食べたこともあります。香港なら街の食堂でも必ずと言っていいほど置いていると思います。
"Fried rice is a common staple in American Chinese cuisine, especially in the westernized form sold at fast-food stands." とありますが、ファーストフードのテイクアウト用に用いるのは確かにアメリカっぽいかも知れません。

さて次は American Chinese ですが regional なものだそうです。American Chinese にまで regional foods があるんですか・・・

Chow mein sandwich:焼きそばパン! MA 南部および RI の名物。
Chop suey sandwich:chop suey をハンバーガーのバンズに挟んだもの。MA 北部沿岸の名物だが、現在でもこれを供するレストランは Salem の Salem Willows Park にある"Genghis Salem" and "Salem Lowe" のみ。
St. Paul sandwich:普通の白いパンに挟んだ Egg foo young (芙蓉蛋)。St. Louis, MO の名物。

Americanized versions of native Chinese dishes というのも当然色々あるようですが、その中から一部を抜粋すると、

Egg foo young
Egg roll
Kung Pao chicken
Lo mein
Moo shu pork

などが特徴的でしょうか。

Egg foo young は上に書いたとおり芙蓉蛋です。

Egg roll は 要するに spring roll(春巻)ですが、本場バージョンが薄目の皮にきくらげなどを入れるのに対して、厚めの皮に野菜類を入れるのが違うようです。

Kung Pao chicken は「宮保雞」と書きますが、これまで分からなかったものの代表格です。これは、有名な四川料理なのだそうですが、日本では全くポピュラーでないと思います。四川風肉野菜炒めで、ピーナツかカシューナッツを入れるそうですが、特徴的なのはたっぷりの花椒(Zanthoxylum piperitum、Z. simulans、Z. schinifolium)を使うことだそうです。アメリカでは 1968 年から 2005 年まで花椒の輸入が禁止されていたため、アメリカ版の Kung Pao chicken では花椒を使わないのが特徴だそうです。このため四川版よりはマイルドのようです。それと、アメリカでは chicken のみならず beef、pork、seafood、tofu、vegi、spaghetti など幅広く使われているようです。

Lo mein については以前書きました

Moo shu というのは「木須」と書いて、これも pork のほか beef、chicken、vegi など色々の食材を用います。もともとは中国北部の料理であったようで、原型では豚挽き肉とスクランブルエッグ、きくらげの薄切りと day lily の芽をゴマ油(and/or ピーナツオイル)で炒めたもので、竹の子が入ることもあるようです。味付けはショウガ、ニンニク、スカリオン、醤油、黄酒など。出来上がりはこんな感じ。 アメリカ版では、キャベツ、スクランブルエッグ、ニンジン、day lily の芽、きくらげ、スカリオン、もやしなどが使われて、シイタケ、チンゲンサイ、きぬさや、グリーンパプリカ、タマネギ、セロリなども使われるそうです。そして黄酒の代わりにドライシェリーなどが使われるようです。そして Moo shu pork は、hoisin(海鮮)ソースと、moo shu pancake(木須餅)と呼ばれるトルティーヤのようなラップが合わせて供されるとのことで、ラップにソースを塗り、具を包んで食べるそうです。

これらのうち Kung Pao chieken と Moo shu pork がこちらに来て初めて知った料理です。その他は、日本とは名称等が若干異なったり、似て非なるものだったりしますが、「雰囲気は分かる」料理です。しかしいずれにしても今日始めてどんなものか確認できました。

ところで American Chinese cuisine は、今はそうでもないのでしょうが、"Chinese restaurant syndrome" という単語があるほど MSG(mono sodium glutamate、グルタミン酸ナトリウム、味の素)を大量に使う(使っていた)ことで有名です。今では消費者が嫌がるので "MSG Free" を売物にするレストランも珍しくないようです。

今度少し気をつけてみよう・・・

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2008年10月 3日 (金)

Chop Suey

Wikipedia で American cuisine のカテゴリに入る項目の一覧を眺めていたら、ふと目にとまった項目がありました。American chop suey と言う項目です。チャプスイという料理は日本で食べたことがないのですが、単語だけは聞いたことがあります。確か「美味しんぼ」で見たような気が・・・と思ってちょっと調べてみたら第2巻にありました。なつかしい・・・

東西新聞の文化部一行が横浜中華街を訪れたときのこと。女性陣がガイドブックで調べた有名店へ。山岡は思いっきり気乗りしていなかったが、散々並んでいやいやながら店内へ。そこで

店員:あんたたちあっちのテーブルねっ。早く席についてよ。忙しいんだからッ!

と横柄な店員。カウンターの向こう側には腕を組んで威張りきった態度の男。店主か。料理が出てきて、

山岡:取り皿が足りないんだけど・・・。
店員:うちはみんな一人一枚でやってもらうことになってますから。
山岡:ゴマソースの物もチリソースの物も同じ皿で取れって言うのか!!

無視する店員。

家族連れの客:チャプスイメンと五目ソバとわんたんめんと・・・、
店員:メン類はバラバラに注文しないで。
家族連れの客:え?と言いますと・・・。
店員:メン類は安いんだから何種類も注文されると面倒なの。1グループ1種類にしてくれないと受けられないわけ。

その家族連れは仕方なく五目ソバを四つ注文。それを聞いていた山岡がキレる。

山岡:行こう、出るんだ!!
ゆう子:え?
花村:出るって・・・。
田畑:まだ、何も食べてないわ。
山岡:こんな店では何も食べちゃいけない。美味いとかまずいとかという以前の問題だ。マスコミに取り上げられたくらいでいい気になって、客を粗末にするような人間の作るものは、食べる価値がない!!

実はこのチャプスイメン、筆者は今日の今日までどんなものか知らずにいました。ウィキペディアで調べると実にまあ色々なことが書いてあります。

チャプスイ(広東語 雜碎、英語 chop suey)は、アメリカ式中華料理のひとつ。
広東料理の炒雜碎(チャーウチャプスイ)がもとになった料理で、豚肉、鶏肉、タマネギ、シイタケ、モヤシなどを炒め、そこにスープを加えて煮た後に、水溶き片栗粉でとろみをつけたもの。独特の材料として、トマトやハムが入る事もある。そのまま食べるほかに、白飯や中華麺にかけて食べる。 ほぼ八宝菜に似た料理であるが、店や地域によって相当な違いがある。

具体的にどんな料理なのか、クックパッドでレシピを調べてみたら、こんなのがありました。

ポーク・チャプスイ(chop suey)

投稿者自ら「米国育ちの中華料理です。『中華丼とどこが違うの?』と訊かれると辛いのですが、在り合わせの野菜で簡単に出来る速攻メニュー」と書いてありますが、まさに中華丼です。敢えて違いを見出そうとすれば、中華丼と違ってうずらの卵やベビーコーンが入らないところや、逆に中華丼なら醤油が前面に出ないところでしょうか。え? それじゃ八宝菜? ウィキペディアに書いてある通りですね。または、炒め煮にしてトロミをつけた野菜炒めと言えばだいたいアタリだと思いますが、だとすれば、とりたててこのようなレシピを見たわけではないのに、日本では日常的に作ってました。なるほどあれがチャプスイか。そしてそれをご飯か麺にかけるわけですね。確かに中華丼とか野菜あんかけそばみたいなモンになりますね。きっとチャプスイメンとはそんなようなものなのでしょう。でも五目あんかけとの違いが分からない・・・ 実際の上の店では双方のメニューがあるようですが・・・

ところでこのチャプスイ、起源についてはいくつか説があるようですが、アメリカ生まれということは確かなようです。
銀座アスターのHP によると、銀座アスターの開業当時の名物料理はこのチャプスイで、「アメリカの中国料理」と書かれています。そして「インテリアもサービスも、斬新なアメリカン・スタイルを標榜」していたとのことで、これは創業者がアメリカに造詣が深かったことによるようです。銀座アスターがアメリカ志向の中華料理店だったとは知りませんでした。

そこで今度は英語版 Wikipedia で見てみると、

Chop suey (Chinese 'mixed pieces') is an American-Chinese dish consisting of meats (often chicken, beef, shrimp or pork), cooked quickly with vegetables such as bean sprouts, cabbage, and celery and bound in a starch-thickened sauce. It is typically served with rice but can become the Chinese-American form of chow mein with the addition of deep-fried noodles.

だいたい日本語版と同じですが、使う材料が微妙に違ったり、英語版では炒麺が出てきます。また英語版には "Chop suey is part of American Chinese cuisine" と書いてあります。起源についても触れられていますが、日本語版よりもかなり多くの説が掲載されています。
出来上がりの写真は、こんな感じで、だいたい日本バージョンと同じと思ってよいでしょう。

具体的なレシピを見てみましょう。日本のクックパッドのようなサイトに allrecipes というのがあり、筆者も良く参考にしていますが、その中にこんなレシピがありました。

Chop Suey

日本には豚コマがあるけれどもこちらにはないとか、その他食材の availability の差が反映されていますが、基本線は日本バージョンと同じです。読者のレビューがあるのもクックパッドと同じですが、その中に

I was looking for my moms chop suey recipe, and couldn't find it. I looked on here, and this is the same one! It's delicious! I did use a can of chicken soup stock along with the water though, and added more ground pork.

というようなコメントがあって面白いです。「いつもお母さんが作ってくれて好きだったのに、どうしてもレシピが見つからなくて作れずにいたけど、やっと見つけた! まさにこれです!」てなところですね。いつも作ってくれたお母さん・・て中華系の家族なのでしょうか。

さて、この chop suey、Wikipedia にある通り、"American Chinese cuisine" です。アメリカ風中華料理というべきか、中華風アメリカ料理と言うべきか・・・ California roll はアメリカ風日本料理というべきか、日本風アメリカ料理と言うべきか・・・? まあとにかく chop suey 自体、"American Chinse cuisine" なわけです。そこで冒頭に戻るワケですが、では、"American chop suey" とは何ぞや?

アメリカで生まれた chop suey をいったん第三国に輸出し、それをまた逆輸入して再度「アメリカ風」にアレンジしたもの? 第三国と書いたのは、アメリカおよび中国以外という意味です。中国がこんな「なんちゃって中華料理」を輸入するはずがないと思ったからです。で、ものはついでに Wikipedia の中文バージョンを見ると、「雜碎(chop suey)是盛行於美國和加拿大的美式中菜,・・・」となっていて、とにかく「美式中菜」(アメリカ式中華料理)と認識されているようです。

Chop suey は南米でもポピュラーらしく、チリ在住のとある日本人のブログによると、「チリでは中華といえばチャプスイが King Of 中華。デファクト・スタンダード」で、「旅行者の諸氏は、迷ったらまず中華系レストランに赴き、自然な動作と作法で「ケーロ・チャプスイ!」と注文すれば、擬似中華の素敵なワンダーランドが机上に大展開!」なのだそうです。でもこれは別にチリが第三国として有力であるという話ではありません。当然日本でもありません。というより、輸出して逆輸入という仮説がナンセンスです。ではその American chop suey を Wikipedia で見てみましょう。

American Chop Suey (also American Goulash, Chili-Macaroni, Chili-Mac, Mac 'n Beef, Macaroni and Beef, or simply Macaroni) is an American pasta dish. The preferred name and recipe varies by region, for example, the name American chop suey is most prevalent in New England. Commercial preparations of this dish are commonly marketed as Macaroni and Beef.

Classic American chop suey consists of elbow macaroni and bits of cooked ground beef with sautéed onions and green peppers in a thick tomato-based sauce. Though this decidedly American comfort food is clearly influenced by Italian-American cuisine, it is known as a chop suey because it is a sometimes-haphazard hodgepodge of meat and vegetables.

・・・。なんと言うか・・・ 日本で言えばマカロニミートソースですな、これは。本文中にもちゃんと  Italian-American cuisine と書いてあります。味付け次第では、やはり本文にありますが、Chili-Mac でもありますし Mac'n Beef でもあります。Mac'n Cheese のチーズ抜きとも言えます。
そしてこれが chop suey と呼ばれる理由は、肉と野菜のごった煮である点が共通しているからとのこと。

本文中にある Goulash も気になったので見てみました。元はハンガリー料理で、"usually made of beef, red onions, vegetables spices and ground paprika powder" だそうです。この記載はミートソースのようにも解釈できますが、実際は挽き肉のソースではなくブツ切り肉のシチューという感じです。それがアメリカに来ると上で書いたようなものに変形していて、元のハンガリー料理とはかなり違うものになっているとのことです。

ではその American Chop Suey のレシピの例を、allrecipes から見てみましょう。

American Chop Suey

予想はしていたものの、馬鹿馬鹿しいと言うか何と言うか・・・ スパゲティミートソースそのものです。でもここで言っているスパゲティとは、あの細長いスパゲティ(太さ2mm弱)のことではなく、多分 elbow macaroni のことでしょう。だって缶詰ですから。
アメリカにはイタリアンレストランは実に多いのに、Italian cuisine に関しては相当アバウトです。細長いパスタは本来太さによって、スパゲトーニ、スパゲティ、スパゲティーニ、フェデリーニ、ヴェルミチェッリまたはカペッリーニと呼び分けるのに、アメリカでは一括して、しかもマカロニまで含めてスパゲティと呼ぶことがあります。ゆで方にしてもアルデンテという概念はないに等しいようです。だって缶詰ですから・・・

余談ですが。こちらでは有名なイタリアンレストランですら、アルデンテのパスタにお目にかかることは極めて稀です。これは日本人からすると実に驚くことなのですが本当です。「アルデンテで」とオーダーしても over cooked のパスタが出てくるか、そもそも通じないことすらあるようです。
日本人が拘りすぎなのでしょうか。1億総グルメ状態なのでしょうか。本場イタリアではどうなんでしょうか?
ではイタリアで食べたパスタはどうだったか・・・と思い出そうとしましたが、思い出せません。イタリアではパスタは antipasto と primo の間に食べるものなのですが、本当にそこでパスタを食べてしまうと primo に進めなくなってしまうので、いつも省略していたのでした・・・

今度 Maestro にでも行って敢えて試してみようかな・・・

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2008年9月23日 (火)

Egg Benedict

唐突ですが、egg Benedict という料理があります。Wikipedia によれば、イングリッシュマフィンを半分にし、ハムまたはベーコン、ポーチドエッグ、ホランデーズソースを載せた料理とされています。
筆者はこれ結構好物で、レストランで朝食またはランチに食べます。ディナーのアントレという雰囲気ではありません。要はベーコンエッグをパンに乗せたようなもので、どうしても朝食というイメージが残るからです。

さてこれ、Benedict という名前がついていますが、これは言うまでもなく人名です。Egg Benedict というと卵料理だと言うことは分かりますが、poached egg とか fried egg とか sunny side up とか、egg にどのような調理を加えたのか分かる料理名になっていないので、知らないと内容が分からない料理です。Wikipedia によるとこれがどうして Benedict と呼ばれるようになったのか、については3つの説があるそうです。

The New Yorker 誌のコラム "Talk of the Town" のインタビューで、引退した Wall Street の株ブローカーであった Lemuel Benedict が彼の死ぬ前年の 1942 年に次のように語った。1894 年のある日、私は Waldorf Hotel で二日酔を直そうと、「バタートースト、ポーチドエッグ、カリカリベーコンにホランデーズソースを少し」と注文した。これを聞いた Oscar Tschirky (Waldorf の支配人。Oscar of the Waldorf として伝説的な人物)はたいそう感心して、ベーコンの代わりにハム、トーストの代わりにトーストしたイングリッシュマフィンとした上で朝食とランチョンのメニューにこれを載せた。

1967 年 9 月、The New York Times Magazine のコラムで Claig Claiborne が、当時在仏のアメリカ人 Edward P. Montgomery から受け取った手紙のことを書いている。その中で、Montgomery は egg Benedict は 銀行家でヨットマンの Commodore E.C. Benedict が、1920 年に 86 歳のときに作ったと記している。Montgomery はまたその中で、egg Benedict のレシピについても触れていて、そのレシピは彼の母親から受け継いだと書いている。そしてその母親は Commodore の友人であった彼女の兄から受け継いだとされている。

マサチューセッツ州 Vineyard Haven の Mabel C. Butler は 1967 年 11 月に The New York Times Magazine に掲載された手紙の中で、Montgomery の話に関して、「良く知られた Mrs. Le Grand Benedict との関係についての本当の話」は次のようであると述べている。

Benedict 夫妻は 20世紀初頭 New York 在住の間、毎週土曜日は Delmonico's で食事をすることにしていた。ある日 Benedict 夫人は支配人をつかまえて「何か新しいものか変わったものはないこと?」と聞いた。支配人が答えて夫人からの注文を待っていると、夫人はイングリッシュマフィンにポーチドエッグを乗せて、ハムのスライスにホランデーズソースを添えて、てっぺんにトリュフを乗せて、と注文した。

しかしながら、起源説としてもっとも有力なのは、Elizabeth David の French Provincial Cooking である。ここで彼女は伝統的なフランス料理である œufs bénédictine について述べている。これは揚げたパンに brandade (塩タラとポテトのピュレ)をスプレッドしたもので、その上にポーチドエッグを乗せホランデーズソースを添えたものである。これがどうやってアメリカに渡って広まったのかは依然不明である。なおタラと卵という組み合わせは、これが四旬節の肉を用いない料理であったことを示しており、またタラが塩タラであることから、それが良く用いられていたルネサンス時代まで遡ることを示している。

実のところ「Egg Benedict とはどういう料理であるか」が重要なのであってどの説が有力でも関係ありません。Benedict なんていう名前をつけるから、名前から料理の内容が想像できなくて困るわけですが、料理に人の名前やレストランの名前をつけるのは良くあることです。またその起源を書き出すとキリがありませんが、例えば次のようなものです。

Porter-house steak
Delmonico steak
Sandwich
Chicken Cordon Bleu

Porter は人名ともそうでないとも諸説紛々です。Delmonico's は上にも出てくる NY のレストランです。Sandwich は有名な話ですね。ギャンブル好きの伯爵の名前とされています。
ステーキで言うとシャリアピンもそのはずなのですが、Chaliapin steak をググっても英文ページは殆どヒットせず、日本語ページだったり英文でも日本のレストランだったりしますので、もしかしたらシャリアピンステーキというのは日本でのみ使われている料理名なのかもしれません。

人名以外の固有名詞、例えば地名のついた料理もまた同様に、何だか分かりません。

Buffalo wing
New York strip
Kansas City strip
Lyonnaise potato
Wiener Schnitzel
Frankfurter sausage
ミラノ風カツレツ

まあ地名が付くのはその地方の名物料理なのでしょうから仕方ありません。
そう言えば egg Benedict に使われる Hollandaise sauce は、これも当然地名です。冒頭で「イングリッシュマフィンを半分にし、ハムまたはベーコン、ポーチドエッグ、ホランデーズソースを載せた料理」と書きましたが、これを理解するには Hollandaise sauce が何たるかを知ってしなければならないことになります。もう深入りはしませんが、Hollandaise sauce とはバターとレモンジュースを卵黄を乳化剤として懸濁したソースで、塩コショウまたはカイエンペッパーで味付けするそうです。要は酢の代わりにレモンジュース、植物油の代わりにバターで作ったマヨネーズですね。これは本当はフレンチのソースなのですが、オランダ料理を真似たものと誤解されていたのでこの名前がついたとのこと。
しかし上で出てくる各説の登場人物は、みんなこのソースがどんなものか知っていたのでしょうか。または普通のアメリカ人はみんな知っているようなものなのでしょうか。謎です。

さて地名なら日本でも石狩鍋、土佐酢、さつま揚げ、江戸前寿司、讃岐うどん、吉備だんご、安部川もち、深川丼等たくさんあって、内容が分からないのも同様です。でも、人名・レストラン名等の固有名詞がついた料理は日本では少ないものと思います。「柳川」が江戸時代の日本橋の料理屋という説はあるらしいですが。だからでしょうか、こちらで人名つきの料理名を見ると少しムカっとするのは。「あ、知らないの? ふーん」とか思われていそうで。ま、旨いものにありつこうと思ったら、覚えるしかないですね・・・

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2008年9月22日 (月)

Deviled Food

オードブルに deviled egg という料理があります。固ゆで卵を作り、上下半分に切り、黄身を取り出します。黄身をマッシュし、ペースト状にしたものに各種味付けをして、白身の空洞部分を器に見立てて盛り付けたものです。エスカルゴを供する皿に似た、専用の皿も売られていて、誰でも知っている料理と言えるでしょう。昔からどうして deviled と言うのか疑問に思っていましたが、今日まで調べてみることはありませんでした。

それと、deviled ham という料理(缶詰)があります。これはハムをみじん切りにして様々な味付けをしたもので、ディップとして使ったり、サンドウィッチやケサディーヤ、ラップ類にスプレッドとして使います。缶詰の表面には可愛い悪魔が槍を持って立っている絵などがあしらってありますので、シャレでない限り、この devil というのは悪魔のことであるようです。しかしこれも deviled egg と同様、どういういわれがあるのか知りませんでした。

さてふと思い立って deviled egg を Wikipedia で調べてみました。

フランス、ハンガリー、アメリカでは deviled egg または egg mimosa と呼ばれ、またドイツでは Russian Egg と呼ばれてポピュラーな料理である。が、おおもとはローマに起源を発する。
固ゆで卵を作り、冷えてから休日、パーティのサイドディッシュとして供されるのが一般的である。イースターで子供たちが拾った卵の使い道にもなる。アメリカでは中西部から南部にかけて一般的な料理で、特に夏のオードブルとして供される。専用のサービング皿などがあることでも知られる。現在ではスーパーマーケットでも売られている。

とまとめられています。大まかな作り方は冒頭に書きましたが、黄身にまぜる調味料としては、次のようなものがあるようです。

マヨネーズ、マスタード、タルタルソースなどがメイン。その他にはピクルス、薬味類、砂糖、塩、コショウ、酢、オリーブ、ピメント、ポピーシード、タマネギのみじん切りなど。フランスではグリーンパプリカやパセリなどもポピュラー。仕上げにパプリカを散らす。

色々なパーティで食べてみたり、ごくたまにスーパーマーケットで買ってみたこともあります。マヨネーズが普遍的な材料であることから少し酸味とコクがあることはだいたい共通していますが、当然ですが店によって味が違います。まあ非常に旨い deviled egg というのも食べたことはありませんが、料理としては、見た目の面白さからパーティのオードブルに良いというのはそのとおりだと思います。

ちょっと余談ですがタルタルソースを用いるというのは随分無茶な話じゃないでしょうか。タルタルソースとは、マヨネーズにゆで卵のみじん切りその他をブレンドしたソースじゃないか、と。つまり卵の味付けに卵を使うというのはいくらなんでも・・・ と書こうと思って、tartar sauce を Wikipedia で調べてみたら、

タルタルソースは、マヨネーズに、ピクルス、ケッパー(本当はケイパーなのに日本ではこう呼びますね)、タマネギ(またはチャイブ)のみじん切りを加えた白い濃厚なソースである。固ゆで卵、オリーブ、ホースラディッシュが加えられることもある。通常ディジョンマスタードが乳化剤として用いられる。

とあります。何と、ゆで卵が入るとは限らない! どうりで Emeril Lagasse のレシピにゆで卵が入らないわけです。それでは自分の記憶が間違いだったのか? と今度は日本のウィキペディアを見てみたら、

マヨネーズに、みじん切りにしたタマネギ、キュウリのピクルス、ケッパー、パセリ、チャイブなどの野菜、同じくみじん切りした固ゆで卵などを混ぜ込んだ白い濃厚なソース。オリーブのみじん切りやホースラディッシュ、ディジョン風マスタードや酢を加えることもある。

殆ど同じですが、微妙に違います。日本では固ゆで卵までが標準のようです。間違ってなかった・・・

さて deviled egg の名前の由来ですが、次のようなことが書いてあります。

1868年に William Underwood Company が挽いたハムを辛い調味料で味付けした新製品を試験的に販売し始めた。商品群はチキン、ターキー、タン、ロブスター、ハムを含む肉製品である。Underwood はこの調味プロセスを "deviling" と命名し、Underwood の "red devil" が生まれた。ちなみにこれは 1870 年に米国商標第 82 号として登録され、現在でも使われている食品の商標のうち、最古のものである。Underwood devil は商標ではあるが、"deviled" という単語は、"deviled egg" のように、ピュレにした食品をディジョンマスタードなどの辛い調味料で味付けしたものを指すようになった。

ということだそうで、

現在では deviled egg には上で書いた材料以外に、ガーリック、ホースラディッシュ、わさび、チーズ、チャツネ、サルサ、ホットソース、マッシュルーム、ほうれんそう、サワークリーム、キャビア、スモークサーモンなど色々な食材が使われる。そして現在の deviled egg は必ずしも辛くない。

とのこと。じつは deviled ham の缶詰も、ちっとも辛くないのです。これも店・会社によって味は様々かもしれませんが。

Deviled egg と deviled ham。共通点は結局、ピュレまたはみじん切りにして味付けしたということだけのようです。"Deviled" がどういう動作だか分からないわけです。それだけで deviled というのなら、レバーペーストは deviled liver と言えるだろうし、ミートローフは deviled meat だろうし、ポテトサラダは deviled potato で良い理屈になります。何で egg と ham だけ特別扱いなのか良く分かりません。他の食材では実際どうなのか、と思って Google で軽く "deviled" と入力してみると、deviled egg、deviled ham のほかに、

- deviled tomato
- deviled crab
- deviled clam
- deviled chicken drumstick
- deviled sardine

などがヒットしました。まあレシピを作った人の創作である可能性は高いと思いますが。商標が一般名詞に進化することは良くあることですが、そういう経緯だと語源が分かりにくいですね。
近いうち自分で何か deviled 何とかを作ってみよう・・・

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2008年9月12日 (金)

A1 On A Burger?

最近気に入っている CM があります。A1 steak sauce の CM なのですが、概ねこんなものです。

レストランで向かって左に紳士(A)がハンバーガーのパティの上に A1 steak sauce をかけている。
それを向かって右の初老の紳士(B)が眺めている。A がソースをかけ終わり、ソースの瓶を右手に置いたところで、B が A に向かって:

B:Excuse me, A1 on a burger?
A: Yeah.
B: That's a great idea.
A: (いやそれほどでも・・・ という顔)
B: Could I borrow them?
A: Sure.

と、A が右手を伸してソースの瓶をとろうとする。と同時に B も右手を伸して A のテーブルの上にある皿ごと自分のテーブルに持ってきてしまう。

B: Thank you.

A は右手にソースの瓶を持ったまま唖然。ソースの瓶をテーブルに置いて、何度か口をパクパク。右では B がバーガーを食べて大きく頷く。

とまあこんなものです。ちょっと面白いので動画リンクを張りたかったのですが、意外なことに Youtube に登録されていません。同じような興味を持ったアメリカ人がいるようで、そのブログには探したけれどやっぱりなかったと書いてあります。でも A1 をバーガーにかけるというのは昔から良く CM で流されていたことが分かったと書いてあります。そして A1 を実際にバーガーにかけるかどうかコメントを求めたところ、19 人のレスがついています。面白いのでちょっと紹介してみます。2ちゃんねる風にしてみました。元のサイトはこちら。
http://aht.seriouseats.com/archives/2008/05/a1-steak-sauce-on-a-burger.html

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A1 をバーガーにかけるかどうかのスレ

1: Markbb : 2:46PM on 05/17/08

うん、かけるね。ソーセージと一緒に試してみてね。

2: wookie : 3:01PM on 05/17/08

CM は、子供の頃から良くみかけたよ。んでテレビで見たとおり、試してみた。
そうしたら・・・ えらいこった。A1 は全然ドロドロしてないから、CM のようにたれ流れてこないというわけにはいかないんだな。多感な8歳で、食いモンに対する興味が沸いてきてる年頃だったからなおよくない。CM の通りにいくと思うぢゃん。全然思った通りにならなかったのがショックで、それ以来バーガーにはあれから 20年以上 A1 をつけてない。

3: kenjialtci : 5:27PM on 05/17/08

確か最初の CM は 1986 年頃だったと思う。デルモンテの広告が A1 に続いて、「デルモンテはもうすぐ 100 歳になります」って言ってた。デルモンテのウェブによると、"cowboy burger"って名前が最初に使われたのは 1986 年らしい。まだ小さかったのにこの名前は良く覚えてるんだけど、それが Master of the Universe から来てるのか A-Team から来てるのか良く分からない。

4: jackiecat :6:41PM on 05/17/08

A1 はフレンチフライに良く合うよ。ちょっとスパイシーなケチャップみたいだな。

5: FastFoodCritic :7:00PM on 05/17/08

Whataburger(テキサスではそう呼ぶんだけど)は、A1 Thick and Hearty sauce で食べるモンだな。うまいで。Jalapeno peppers で食べるバーガーもある。みんなは食べられるかな ^^;
Burger King だと、Loaded Steakhouse Burger はやっぱり A1 Thick and Hearty sauce(マッシュポテトつき)で出てくるね。あんまり好きじゃないけど。
ん~とだから~ 場合によるな。どれだけかけるか、とか、バーガーの中の他の食材によるな。

6: juliec : 7:23PM on 05/17/08

Five Guys(って DC 界隈のチェーンね)は、バーガーに A1 を用意してるよ。

7: wookie : 8:24PM on 05/17/08

>>6
Five Guys はあっちこっちにあっていいよね!

8: Butrflygirly : 11:00PM on 05/17/08

A1 サイテー。マジで。つけるモンなんてない。CM は面白いけどね ^^;

9: brittj8585 : 1:08AM on 05/18/08

Five Guys のバーガーならつけるけど他はやんない。ゆるいソースだから面倒だし。つけてもちっともうまくなんないし、インパクトもない。

10:confusedmommyof3 : 1:09AM on 05/18/08

バーガーはケチャップとマスタード。他にもうまいソースはあるけど。A1 もそんなに悪くないけど、やっぱりベークドポテトとか、フライとかにはもっと濃くてコクのあるソースがいいな。ステーキやホットドッグもね。

11: Christian Smith : 7:32AM on 05/18/08

A1 は好き。でもステーキにはかけない。バーガーやフライなんかだけ。何で育ったっつったら、Heinz 57 sauce だな。

12: LunaPierCook : 10:33AM on 05/18/08

ウチは Jack Daniels' の steak sauce を試してからは A1 は買ってない。Jack Daniels's の方がずっといいフレーバー。

13: Tartar : 12:17PM on 05/18/08

A1 ウマイよ! 思い出しちゃった。もっと A1 食べなきゃ。バーガーとかターキーバーガーに最高!

14: FastFoodCritic : 9:29PM on 05/18/08

>>11
Heinz 57 なんて言うから思い出しちまった。俺も子供のころから Heinz 57 好きだったな。バーガーにステーキにフライに・・・ 何だって合うもんな! ガハハ!

15: Montana Eats : 12:16PM on 05/19/08

A1 はどんなバーガーにも合うよ。でもパティを作るときに中に練りこむ方がもっといいな。

16: RichardCrystal : 2:08PM on 05/19/08

>>15
15 に禿同。この CM 何十年も前からやってる。ステーキにつけるのはいいけど・・・ バーガーにはマヨとレタスとトマトじゃないかな。絶対マヨ!

17: DwayneW : 11:34AM on 05/20/08

>>5
Whataburger の A1 Thick and Hearty 最高。朝飯にいいな。オーダーしてから作るからしばらく待つけど、熱々で最高。

18: tjmile1 : 12:21AM on 05/22/08

スンマセン。バーガーには A1 使わないっす。何度かは試したんだけどね・・ ダメだったなあ。僕自身はケチャップとマヨがいいんだけど、何か最近はあんまりつけなくなってきちゃった。ホットドッグにはマスタード使うけどね。
A1 は、安いステーキにはいいよ。ステーキソースって結構ハマるんだよねー。通気取りがいろいろ言うけどさ。Heinz 57 はもちろん使ってたよ。もう 20 年も使ってないけど(んー、どんだけ前だったかな)。今日使ったらウマイと思うかなあ。16 の時に Ponderosa というステーキ屋に行ったけど(まあヒドいもんだったが)、Heinz 57 のまがいモンが置いてあって、フライに良く合ってた。
海兵隊でケニヤにいたときはフライに "catsup" は使わなくて、HP ソースばっかりだった。実際フライに HP、合うんだなー。こっちの HP はあんまりうまくないけどね。

19: FastFoodCritic : 9:31AM on 05/22/08

>>17
同感。Whataburger は冷凍品や作り置きしないからな! いつも新鮮!

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だいたいこんなもんでしょう。うーむバーガーは流石にアメリカの国民食。十人十色みたいです。日本で言ったら何にあたりますかね? 例えばおいしんぼにも出て来ますが目玉焼き。

断然しょうゆ
ソースに決まってるじゃん
マヨネーズ以外何があるの
塩をパラリのこしょうをパラリ

日本人のこだわりったら、目玉焼きより味噌汁の具ですかね。それとも蕎麦の薬味?

ところで A1 sauce とは何物かということについてまとめておきます。出典は Wikipedia です。

もともとの A1 は 1824 年に Henderson William Brand (英国王 King George IV 世のシェフ)によって作られた。伝説によると王が "A.1" と命名したとされている。1831 年に Brand & Co. のラベルのもと商業生産され、これは 1850 年に倒産により Brand & Co. の所有権が W.H. Withall に譲渡されるまで続いた。1873 年には創始者の Henderson Willam Brand と Dence and Mason (Withall から Brand & Co. を買収した) との間に起こった商標に関する論争の後 A1 と名称変更された。その後アメリカには G.F. Heublein & Brothers によって導入された。
A1 の所有権は 一旦 R.J. Reynolds により取得された後 1981 年に Nabisco に譲渡された。1999 年には Kraft Foods が Nabisco を買収し、A1 ブランドもそれに含まれている。
2000 年には A1 ブランドのマリネが発売されたが、これは初のブランド拡張である。

現在は Original、Thick & Hearty、Sweet Hickory、Bold & Spicy、Cracked Peppercorn、Kobe Sesame Teriyaki、Supreme Garlic、Smoky Mesquite の8種類のバリエーションがある。
鳥、ポーク、シーフード、ビーフに用いるマリネも8種類のバリエーションがある。

とまあこんなところです。ウチにも A1 はありますが、あまり使用頻度は高くありません。ステーキは良く焼きますが、味付けは殆ど塩コショウのみで、市販のソース類を用いることは殆どありません。でも上のスレ 18 番の「安い肉にはいいかも」というのはまあ同感です。ポンド6ドル以上の肉であれば良く寝かせてうまく塩コショウし、うまく焼けばソースに頼る必要は感じません。ポンド3ドルクラスだと、考えてみる価値はあるかも知れません。

それと、ハンバーガーは滅多に焼きませんのでこちらも試す機会はなかなかありません。
でも今度、ものは試し、イタズラ半分でやって見ようかな・・・ 上のスレの 15 番もちょっと気になりますし・・・ それと Heinz 57 と HP も試してみますか・・・

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2008年9月10日 (水)

Food Coloring

日米で消費期限・賞味期限の設定が随分異なるものは結構沢山あります。
まず単語ですが、日本で言う消費期限とは「製造日を含めて概ね5日以内で品質が急速に劣化する食品」で、「必ず期限内に消費する必要がある」とのことです。言い換えると、それ以降に食用したことによって何か不都合が発生したとしても生産者・販売者は一切責任を持ちませんよ、ということでしょうか。
一方賞味期限とは、「製造日を含めて概ね5日を超え、品質が比較的劣化しにくい食品」で、「期限を過ぎても直ちに食べられなくなるということではなく、およその目安」とのことです。

これがこちらだと、"Sell by"、"Use before"、"Best before" などになります。
"Use before" は日本の「消費期限」に、また "Best before" は日本の「賞味期限」に相当するものと思われます。"Sell by" は日本には相当するものがありません。敢えて言えば「販売期限」です。生肉や生魚につけられていることが多いのですが、ではいつまでに食べれば良いのか? というと、これが分かりません。食材によって、また未開封/開封済みで異なるのは当然なのですが、USDA ではご丁寧にこんなチャートを用意しています。次のリンクの最下段です。
http://www.fsis.usda.gov/Factsheets/Food_Product_Dating/index.asp
例えばチキンなら購入後 40゚F 以下の冷蔵庫で1~2日、ビーフなら同じく3~5日保存可能とのことです。ベーコンは未開封なら2週間、開封済みなら1週間で食べるか冷凍せよとのことです。

ウチではビーフはほどほどに寝かせてから使います。当然のことながら Sell by 期限内のものを買い、4~5日冷蔵庫で寝かせてほど良い色合い(でも店頭でこの色だったらちょっと買わないかも)になるまで待ってステーキ等にします。Sell by 期限内に買って、USDA のガイドラインで食していることになるので精神衛生上さほど問題に感じません。
同じことを日本でもやっていたのですが、どんな感じになるでしょうか。日本の肉の消費期限は購入当日の1~2日後になっている(こちらの Sell by もだいたいそんなもの)と思いますが、実際に食するのは消費期限の3~4日後ということになって、販売者が「自己責任で!」と声高に言っているのが聞こえるようです。

日本では鮮魚には消費期限が表示されておらず、パック日が表示されていたと思います。そしてパック日当日のものしか買わないようにしていたと記憶しています。が、こちらでは Sell by が表示されています。そしてそれは購入当日の2日後だったりします。ということは、Sell by が今日の日付になっているパックは、昨日か一昨日パックされたものということになり、そんなものは絶対買わない! と思ってしまうのですが、こちらはそんなものです。

さてアメリカの方が遥かに長い「期限」を表示しているものの代表格が2つあります。牛乳と卵です。牛乳は、アメリカでは Use by、日本では賞味期限が表示されているからだと思います。アメリカでは Use by ですから、1ヶ月近く先の日付が表示されていて面くらいます(もちろん低温殺菌などの牛乳はそんなことはないでしょうが)。日本では1週間程度でしたよね。

そして卵。卵は、こちらでは Sell by が普通だと思います。日本ではやっぱり賞味期限でしたね。日本での賞味期限はだいたい1週間程度先が表示されていたと思いますが、ウチは日本でも3週間程度は問題なく使っていました。しかも生で。これは冷蔵庫に保管する限り、サルモネラの増殖はそれくらいの期間は問題にならないということを拠り所にしています。こちらでは Sell by が表示されているのですが、それがやっぱり3週間程度先の日付になっています。上の USDA のガイドラインでは、Sell by 期間内に買うべきなのは当然としても、購入後速やかに冷蔵庫に入れれば、3~5週間食用可であることになっています。ご丁寧に「この期間内に Sell by date が過ぎることになるだろうが、それでも大丈夫だ」とも書いてあります。まあこれは、記載にある通り「店頭に卵が並ぶのは、通常採卵後数日である」ことを前提にしているのでしょうが、いくらなんでも Sell by 直前に買った卵(特殊な例ですが)をさらに5週間寝かせるのはいかがなものでしょうか。卵の場合は購入後直ちに冷蔵庫に入れ、なおかつ Sell by を目安に使い切るというのが無難なところでしょう。

そしてその卵、よくこちらのネットコミュニティで話題になりますし、筆者も前から思っていたのですが、黄身の色が薄いのです。日本の卵は黄色から少しオレンジがかっていたと思いますが、こちらはあまりオレンジがかっていません。そのためなんだか物足りない気分がします。またこのことを捕まえて、「アメリカの卵は鮮度が悪い」とか「アメリカの卵は品質が悪い」などという議論になります。

黄身の色の違いは、野菜や肉のように、ニワトリの品種の違いによるのかと思ってちょっと調べてみましたが、採卵用のニワトリの品種は、日本では白色レグホンが中心のようで、アメリカでもやはり White Leghorns が中心のようです。アメリカではこの他、Golden Comets や Red Sex Links などが用いられ、これらは茶色の殻になるようです。恐らく日本でも茶色の殻の卵は白色レグホンでない別の品種なのではないかと想像します。
採卵用・食肉兼用の品種としては、日本ではプリマスロックとロードアイランドレッド、アメリカでも同様に Plymouth Rocks のほか、Sussex、Wyandottes などがあるそうです。

が、どうもこの品種の違いが黄身の色の違いになっているのではないようです。そんなことはちょっとネットで調べればスグ分かったのですが、黄身の色は飼料でコントロール出来、飼料の配合によって望みの黄身の色に出来ることが分かりました。日本の黄身がアメリカの黄身よりオレンジがかっているのは、消費者がそれを好むからに過ぎないようです。そのため日本ではベースとなるトウモロコシなどに、わざわざパプリカ等由来の赤色系キサントフィルを加えて黄身がオレンジがかるようにしているようです。これがヨーロッパに行くと、化学合成のキサントフィル添加も合法で、もっと鮮やかなオレンジの卵もあるとか。そしてそれは南欧系に多く、北欧系だとあまりオレンジでないとか。
アメリカでは化学合成のキサントフィル添加は禁じられていますが、日本同様天然由来のキサントフィルは合法のようです。それなのにこの違い・・・ これはやっぱり「好み」の問題のようです。

そういえば日本人は食材にわざわざ人工的に着色するのが好きな国民ですね。タラコと明太子が最たるものだと思いますが、あれは赤くないと売れないのだそうです。途中でそのことに気づいて以来、なるべく着色のないものを選ぶようにしていますが、多くの消費者はそうではないのでしょう。
魚肉ソーセージ。鮮やかな赤ですね。もう2度と買いません。でもオーストラリアで全く同じ赤色鮮やかな魚肉ソーセージがごく普通に流通していたのは驚きました。「赤」でしかも「魚肉」。ダブルの驚きでした。
沢庵をはじめとする漬物類。これも日本では着色料フリーの製品はほとんど流通していません。特に駅弁や幕の内についてくる沢庵や福神漬。あれはひどいものが多いですね。漬物をはがすとそれがあったところだけ米粒が黄色や紫に染まっています。ついいつもその部分だけ残してしまいます。

不自然だけれども許すのが蒲鉾。日本では年に一度、正月くらいはウチでも赤い蒲鉾を解禁にしていました。でもなるとは一年を通じて出入り禁止です。

その他、加工食品には大なり小なり着色剤は入っていることが殆どなので、上の食材ばかりを槍玉に挙げるのも意味がないというか大人気ないのですが・・・

それではアメリカでは食材への着色剤の使用がないかと言うと、もちろんそんなことはないのですが、少なくとも赤系の色素の使用は、日本より控えめに思いますし、法律もそうなってます。
ですが、お菓子の類に関しては全然そんなことはありません。真っ赤っ赤っ赤っ赤のロリポップやキャンディなぞ珍しくないどころか、そこまで赤くするか! というほど。それに緑や紫・青など本当にカラフルです。ジェリービーンズや M&M のチョコレートもそうです。ケーキやそれに使うデコレーションパーツの数々・・・

まあ要するにそれぞれ国民性ということですかね・・・

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2008年8月22日 (金)

Buffalo Wing

先日 Niagara Falls に行きましたが、BWI から Buffalo, NY に飛んで、陸路カナダに入るというルートを選択しました。このとき、BUF の空港内のとあるレストランで The Best Buffalo Wing in the World という看板を見たような気がしました(たぶん気のせいだと思いますが)。
Niagara から帰って早速調べてみたら、Buffalo Wing の Buffalo とはこの NY 州の Buffalo のことを指していることを知りました。
昔から甘辛いソースをからめたフライドチキンのことを Buffalo Wing と呼ぶことは知っていましたし、ビールのお供に注文することも珍しくありませんでした。しかし何でこれが Buffalo なのかということについては、漠然と動物の buffalo に関係するのだろうと勝手に思い込んでいました。それにしてもバッファローの羽とは面白いことを言うものだと思っていました。

以下に Wikipedia を抄訳します。

Buffalo wing とは、チキンの手羽先(単に wings または "flats"と呼ばれる)および手羽元を揚げ、ソースをからめたものである。Traditional Buffalo スタイルの chicke wing ソースは、酢ベースのカイエンペッパーホットソースと、マーガリンまたはバターの2つの材料からなる。Buffalo wing はパン粉とソースで仕上げられることもあるが、これは正当な "Buffalo" スタイルではないとされる場合もある。

Buffalo wing の名称は、これが生まれた NY 州 Buffalo 市に由来する。Buffalo のジモティはこの料理のことを Buffalo wing とは呼ばず、単に wing とか chicken wing と呼ぶ。
Buffalo の名称は、現在では wing のみならず、chicken finger、chicken nuggets、popcorn chicken など、Buffalo スタイルのソースで調味したものであれば広い範囲に用いらている。

[調理法]
ソースはカイエンペッパーホットソースとバターまたはマーガリンで作る。Buffalo wing ソースは、材料の配合比を変えて mild、midium、hot など様々な辛さに作られる。
Wing はソースを添えるだけで、からめずに供されることもある。Buffalo wing は伝統的にはセロリスティックとブルーチーズドレッシングを添えて供されるが、ニンジンスティックに ranch ドレッシングを添える場合もある。

[歴史]
4つの説がある。
1つめの説は、Buffalo wing は 1964 年 10 月 3 日に、1047 Main St, Buffalo, NY にある Anchor Bar で、Anchor Bar の協同経営者である Teressa Bellisimo がその夫の Frank と協同して作ったというものである。彼らの息子である Dominic が数人のカレッジの友人を連れて夜遅く突然帰って来たときに、Teressa は彼らにスピーディで簡単なスナックを供する必要に迫られ、これが通常なら捨てられるかスープストック用であった手羽を揚げ、カイエンソースにからめるというアイデアになったというものである。
2つ目の説は、この Dominic が 1980 年に The New Yorker の記者 Calvin Trillin に語ったもので、「それは金曜日の夜のバーでのこと。客が余りにも沢山の飲み物を買うので、Catholic の客が夜中、もう一度何か肉を食べられるようにできないかと思ってのことだった」というもの。そしてチキンウイングを思いついたのは彼の母の Teressa だったということである。
3つめの説は、バーのスパゲティのソースを作ろうとして、背中と首を用いるところ、間違えて手羽を用いてしまったというものである。この事態に直面して Frank Bellisimo が Teressa に、これを何とかしてくれ、と頼んだことに由来するというものである。
4つめの説は、Bellisimo や Anchor Bar に関係しないものである。New Yorker の記者 Calvin Trillin が、John Young という男が "mambo sauce" なるものを chicken wing にかけることを思いついたと言う記事を 1980 年に書いている。これが 1960 年代に Buffalo にある彼のレストランの名物となり、Young は John Young's Wings 'n Things という商標を登録したというものである。

Buffalo wings は、Philadelphia's Wing Bowl や、National Buffalo Wing Festival などのような competitive eating events でも用いられる。

[種類]
Buffalo で供される wing は、ほぼ全てパン粉を用いないもので、全国チェーンのうちのいくつかはパン粉のあり・なしを選べるようになっている。パン粉を使うと、パン粉がホットソースをより吸収し、味付けが均一になり、食べやすくなる。
Cajun や Carribean stile jerk spice などといった、他のスタイルのソースやホットスパイスと共に供するレストランもある。"From the pit" または単に "pit" というバリエーションもある。これらは、手羽を揚げ、バーベキューソースをからませた後、グリルに乗せて軽く焦がして供する。バーベキューソースにはホットソースを混ぜることもあるが、必ずしも必要ではない。
レモンガーリックや Greek wing は、スパイシーでないバージョンで、パン粉を用いるのが通常である。レストランによっては、パン粉をまぶした後、ソースではなく様々な辛さのスパイスミックスをまぶして調味するところもある。
New England のバージョンでは、パン粉はつけたりつけなかったりであるが、スパイスもソースもまぶさず、さらにそれらを共に供することもない。これはメニュー上では、Wingdings と表示される(異論があるようである)。

とまあざっとこんなところでしょうか。出張ベースで時々アメリカに来ていた時分は、ハンバーガーほどではないにせよ、しょーもないジャンクフードだと思っていました。実際、RFK 球場で食べた Buffalo wing は、とにかく辛く、酸味も奥行のない、典型的なジャンクでした(おかげでビールは旨かったかも)。ところが最近、店によっては結構評価に値する Buffalo wing が存在することが分かって楽しくなって来たところです。
ウチの近くに "Buffalo Chicken and Beer" というビール好きにはパラダイスのような店があります。ソースは mild、medium、hot と来て、その上に xhot、xxhot、nerve damage と計6段階が選べます。その他、cajun など風味の違いで数種類。昔の激辛カレーではないので、辛さにチャレンジするつもりは毛頭ありません。味が分かるほどの辛さにしようということで、medium をチョイス。これにクラフトビールではなく、もっともつまらないビールと言えるバドライトを合わせると、アメリカを満喫できます。

これも悪くないと思います。

さて上に Philadelphia's Wing Bowl という競技会があると書きました。ちょっと調べてみたら毎年 Super Bowl の前日の金曜日に Philly で開催されている Buffalo wing の大食い大会でした。どんな感じで運営されているのかと思ったら、今年 2008 年の第 16 回大会は、2/1 に開催されたようですが、優勝者は 241 本の wing を食べた Joey Chestnut でした。この名前、見覚えあると思ったら、毎年 Independense Day に Coney Island, NY で行われる Nathan's Hot Dog Eating Contest で、昨年小林青年を破って王座につき、今年も小林青年を振り切った defending champion じゃあありませんか。いったいこいつは・・・

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2008年8月19日 (火)

Scrapple

Scrapple という食べ物があります。
こちらの掲示板で、以前「ハム等の頂き物のセットの中に Scrapple というものが入っていたのですが、これはどのようにして食べれば良いのですか?」という質問がありました。それに対する回答で、「朝食に食べるもので、スライスし、小麦粉をつけてフライパンで炒めます。ウチの主人が好きなので良く作ります」というものがあったのを記憶しています。

さてこの Scrapple という食べ物、確かに近所のスーパーマーケットで良く見かけます。こんなのです。
http://www.rapascrapple.com/products/index.htm
ビーフやベーコン入りというバージョンもありますが、やっぱりオリジナルを試してみたいと思い、買ってみました。購入したのはまさにこのブランドの製品で、ビニール包装を裏側から見ると、内容物が見えます。灰色~薄茶色の日本のコーンビーフのような感じです。

さて食べる前に、Wikipedia で調べてみると、これまた Pennsylvanian Dutch の発祥ということが判明。英名の Scarapple は、予想通り scrap に由来しているようです。
Scrapple は、豚の頭部、心臓、肝臓およびその他のスクラップのようなくず肉で作られています。最初に丸ごとの頭部など、骨つきのまま煮込んでブイヨンを作ります。出来たら肉は一旦取り出し、骨と脂を捨て、肉はとっておきます。ブイヨンにコーンミールを入れて煮込み、マッシュを作ります。肉は細かく刻んでマッシュに加えます。その後セージ、タイムなどで味を整え、ミートローフ状に成型し、冷やして固めます。味付けは地域によってかなりバラエティがあるようです。

調理法ですが、1/4~3/4 インチ程度の厚さにスライスし、フライパンで炒めます。先に小麦粉をまぶしてから炒める場合もあります。油はバターか通常の油で、揚げることもあるようです。
通常朝食に供するもので、そのまま、あるいはアップルバターやケチャップ、パンケーキシロップ、マスタードなどを添えることもあるようです。卵を添えることもあり、地域によっては、例えば New England 地方では、スクランブルエッグやトーストを添えたりします。Philadelphia 地方では、一旦炒めておいてからマッシュして卵焼き、horseradish、ケチャップを添えます。

Scrapple の最初のレシピは 17世紀・18世紀に Philadelphia や Chester County, PA を開拓した Dutch 入植者が書いたもののようです。このため、Scrapple は Philadelphia、Baltimore、Washington DC に極めて特徴的な食べ物で、またこれらの周辺州、PA、NJ、MD、DE などでも非常にポピュラーだそうです。これらの地域のスーパーマーケットでは冷蔵または冷凍セクションに良く見かけられますが、最近では Los Angeles のような遠隔地でも冷凍セクションで見かけることもあるそうです。

さて・・・ 食してみました。
言われたとおりに 1/2 インチ程度厚にスライスし、両面に小麦粉をまぶして表面がこんがりとするまでフライパンで炒めてみました。
まず食感ですが、結構やわらかいものでした。上の製法の最後の部分で「冷やして固める」とありますが、ハムのようにミオシンの糊化を利用した食品ではなく、基本的には内在するゼラチンで固まっているだけなので、熱をかけるとよりやわらかくなってしまいます。従って歯ごたえのある食品ではありません。味は、「これはウマイ!」というほどのものでもないのですが、まあ豚で作ったコーンビーフ(日本で言うコーンビーフのことを意味しています。本式の corned beef の意味ではありません)だね、というところでしょうか。竜田揚げ式に小麦粉をまぶすのは、香ばしさが出るので良いアイデアだと思いましたが、是非またリピートする、というほどでもありませんでした。Wikipedia にも書いてありますが、ブランドごとに味が違うので、というよりそもそもは自家製が発祥なのでしょうから、自分の好きな味に仕上げればそれはそれで楽しいかも知れません。

・・・でもこれ、やっぱり抛るモン(=ホルモン)ですよね。洋の東西を問わず、抛るモンだとか Scrapple だとか言う名称の食品は開発されるモノなのですね。感心しました。しかもそれがウチの近所の名物とは。驚きました。

抛るモンと言えば、こちらでは牛のクズ肉を利用した製品や料理をまだ見たことがありません。日本だとあの誇るべき「煮込み」(またはモツ煮)があるのですが。もしや Spam がそうかと思ったら、あれもまた豚製品でした。ペルー料理店に行ったら beef heart のケバブがあって、それはそれでとてもおいしかったですし、Spanish の店では beef tripe の煮込みが素晴らしくおいしかったのですが、どちらにしても somehow ethnic になってしまいます。臓物は全部捨てられているのだろうか・・・ 勿体無いことだと思ってしまいます・・・

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2008年8月 7日 (木)

Double Dip & Ginger

最近 Food Network で始まった Ted Allen の Food Detective という番組はなかなか面白いです。食べ物に関する「俗説」を科学的に検証する内容です。科学的と言っても当然のことながら学術論文を書くわけではなく、厳密に科学的とは言えませんが、全然デタラメというレベルでもないのでなかなか面白く見ています。それと、何より「こちらではそんな俗説があるのか」ということも分かってまた面白いと思います。

前回は5秒ルールなどを取り上げていましたが、今回は "Double Dip"、"Ginger for Motion Sickness"、それに「逆ムベンバ効果」などを取り上げていました。

"Double Dip" とは、パーティなどで様々な dip ソースをチップですくって食べる際、一旦齧ったチップの残り半分ででもう一度ソースをすくって食べることを言います。今回は「Double Dip は衛生的でないと言われているが本当か」でした。検証するまでもなく、不衛生に決まっています。どんな人でも口の中には無数のバクテリアがいますので、チップを齧るときにこれがチップに付着します。それを dip に突っ込むわけですから dip がバクテリアでコンタミするのは検証するまでもありません。でもそれをやっていました。

4つの dip を用意します。

検体A:single dip。一度だけ dip します。チップは齧るわけですが、それで再び dip するわけではありません。Dip 中のバクテリアが口内にコンタミすることはあってもその逆はありません。
検体B:double dip。2回 dip します。口内→dip のコンタミは起きます。
検体C:triple dip。3回 dip します。
検体D:multi dip。4人が3回ずつ dip します。

結果。言うまでもありません。検出したバクテリアの数:A < B <= C < D でした。しかし印象的だったのは、実験を横で見ている scientist と Ted Allen が、「うげ~」というような顔をしていたことです。ま、そりゃそうでしょう。

ところで、Wiktionary で double-dip の用例として
I don't mind double-dipping when eating with my family, but I'd be embarrassed to do it when out with friends.
というのがありました。全ての人がこう思っているかどうかは分かりませんが、常識的に考えて、double dip は家庭内に限った方がいいでしょう。ただちょっと気になるのは、テーブルを囲むのが家族だけであったとしても、それがレストラン等であった場合です。周囲の人がイヤな顔をする可能性はあるような気がします。

友人などを呼んでパーティなどをする際、大抵食べ物は大皿に盛り付けます。それをみんなが回しながら自分の皿に取り分けていきます。この際、取り分けに使うフォーク・ナイフは自分のものではなく皿に附属しているものを用います。ですから口内細菌がカトラリー経由で大皿にコンタミすることはありません。

当然レストランでもそうすべきです。夫婦2人でアントレを2種類頼んだ場合でも、それをシェアするなら、アントレの他に取り皿をもらい、それに取り分けて食べるのが本来でしょう。しかし面倒なのでウチでは半分食べたところで皿を交換するということを良くやります。これ、本人は全然構わないのですが周囲はイヤかも知れませんね。またハンバーガーなどを半分まで食べて交換するというのは、もっと信じられないことかも知れません。それとも家族と分かっているなら別に見ている分には気にならないのでしょうか。

スーパーなどでチーズやいろいろなものを小さく切って試食できるようにしてあることがあります。近くには楊枝が置いてあります。これも同じことで、一つのサンプルを楊枝に刺し、そのまま口に運んだあと、その楊枝で再度別のサンプルをピックする場合、double dip に近いことが起きる可能性はあります。2度目のピックが、確実に次のサンプルをピックし、ほかのサンプルに触れないことが必要です。そんなことを考えるよりは、一回ずつ楊枝を使い捨てにするのが確実です。
でもちょっとそれでは勿体無いので、筆者は最近、サンプルをピックするのに楊枝は使いますが、ピックしたサンプルを左手ではずして持ち、手で口に持って行きます。そうすれば楊枝はサンプル以外に触れないので、multiple use が可能です・・・ んなこと言っても他の人がどうしているかで汚染状況は全然変わるわけですが・・・

さて、次。"Ginger for Motion Sickness" です。これを実験するのにわざわざ Coney Island まで行くところが馬鹿馬鹿しくていいですね。被験者4人が、遊園地のコーヒーカップに乗り、10分間盛大にぐるぐる回します。当然気持わるくなりますが、その時の「気持悪い度」を赤・黄・緑の3段階で表現します。その後浜辺で十分な休養を取り、気分が完全に回復した後、2人にはプラセボのカプセルを、2人には ginger(実薬)のカプセルを飲ませてから再度10分間コーヒーカップに乗ります。そしてまた「気持悪い度」を測定します。

結果。
プラセボ群:赤→赤、赤→黄
実薬群:赤→緑、赤→黄

・・・だったかな? ともかくプラセボでも多少の効果はあった(不変および軽度改善)けれども実薬群の方が改善度が大きかった(軽度改善および中等度改善)という話でした。

まあ臨床試験というにはちょっと問題があるプロトコルではありますし、結論を出すには n が小さすぎたりしますし、Tmax を考慮していないなど、ケチはいくらでもつけられますが、それなりにプラセボを置くところが馬鹿馬鹿しくていいです。しかし乗り物酔いにショウガが良いというのは初めて聞きました。解説によると、乗物良いは、乗物の振動が原因で胃の動きが異常になることで起きるが、ショウガはこれを改善するのだそうです。

今あらためてショウキョウを調べてみたら、

●原文:主治嘔、故兼治乾嘔噫えつ逆。(薬徴続編)
●訳:主として吐き気がしてムカムカするものを治す。したがって、からえずき、おくび、しゃっくりも治す。

とありました。なるほど。

ついでに PDR (Physicians Desk Reference) for Nonscription drugs, dietary supplements and herbs を調べたら、ginger の項に Ginger (Zingiber officinale) has antiemetic properties. と書いてあるではありませんか。そして Approved uses として、Comission E has approved ginger for treating loss of appetite, travel sickness, and dyspeptic complaints. と書いてあります。そして dosage は、adult で Motion sickness: 0.5g - 1g taken 30 minutes before travel or every 4 hours for continuing symptoms とありました。洋の東西を問わず良く知られたことなのですね。

こちらに来た当初、近所のスーパーマーケットでごく当然のようにショウガが売られているのを見て大変驚いた記憶があります。こちらの人でも良く使うものだとは考えもしませんでした。考えて見ればジンジャーエールなどというのもありますものね。ただレシピを見ると、somehow Asiatic なものが比較的多いので、やはりアジア色の強い野菜と考えて良さそうです。

さて最後の「逆ムベンバ効果」とは、「熱いお湯より冷たい水の方が早く沸騰する」という話です。ちょうど今日本で話題になっている「ムベンバ効果」(冷たい水よりお湯の方が早く凍結する)の逆バージョンです。これも一応実験をしました。答えは簡単、「そんなことはない」です。冷たい水は、先ず比較対象のお湯と同一温度になるまでに時間を要するから、水の方が先に沸騰することはない、と。

本家のムベンバ効果も「逆ムベンバ効果」と同様、「熱いお湯は、先ず比較対象の水と同一温度になるまでに時間を要するから、お湯の方が先に凍結することはない」と言えそうに思うのですが、「特定の条件が重なるとお湯の方が先に凍ることがある」らしく、「そういうこともある」と言われているようです。筆者には「そういうこともある」のか「そういうことは起こりえない」のかちょっと分かりかねますが・・・

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2008年7月30日 (水)

Five - second rule

5秒ルール。学生の頃、日本で流行ったのを覚えています。食べ物を落としても5秒以内に拾えば食べても平気というルールです。ルールというか、言い訳というか、根拠のない「安全圏」の目安でした。まあいくら5秒以内でも、落とした場所によってはルールの適用を考える余地のない場合も多いでしょう。例えば自宅の食卓の上ならまあ5秒でも10秒でもいいかもしれませんが、泥道の上じゃあ考慮の余地はありません。また、落としたものにもよるでしょう。ソースの絡まったステーキ片とせんべいでは大分話は違うでしょう。表面がどれだけ湿っているか、あるいは表面がどれだけデコボコしているかというのも、ルール適用を考える条件です。

この5秒ルール、アメリカにもあることを昨日始めて知りました。内容は全く同じです。5秒以内ならバクテリアがコンタミしないという話です。Wikipedia によると、Univ of Illinois の調査では、男性の56%、女性の70%がこの話を知っていることが判明したそうで、「アメリカにもある話」というより「アメリカでも有名な話」と言えそうです。・・・そもそも Wikipedia に掲載されていること自体が驚きですが、他の言語へのリンクを見ると、日米のほか、スペイン語圏、ポーランド、ロシア、北欧、中国等でもある話のようで、それはそれでまた驚きです。こんなくだらない話は日本だけかと思っていたのですが、うーん、どこの発祥なんでしょうか。

さてこちらで昨日から始まった Food Detective という番組で、Ted Allen がこの five-second rule は本当に正しいのか? と言うテーマを取り上げていました。そして、実際に実験をしていました。3つの食品を、いろいろな場所に5秒置いて、付着した細菌を培養してその汚染度を見るというものです。3つの食品は、1)ジェリービーンズ、2)フレンチフライ、3)シュリンプカクテル でした。また暴露する場所は、オフィスの机の上、地面など。もちろんネガティブコントロールとして、どこにも暴露しないというオプションも設定してあります。

結果。ジェリービーンズは机の上に暴露しても殆ど変わらないが、フレンチフライは机より地面の方が圧倒的に汚染されており、シュリンプカクテルはネガティブコントロールより机に暴露した方が寧ろ汚染度が低かった---

ちょっと正確に覚えていないのですが、概ねこんなような結果だったと思います。
ジェリービーンズのように表面が乾いていて滑らかな食品は、雑菌を拾いにくいのは容易に想像できます。フレンチフライは、もしもそれが比較的揚げたてだったのなら、かなり無菌に近い状態だったでしょうから、何かに暴露すれば必ず汚染度が増すはずで、これもほぼ当然と言えます。シュリンプカクテルは、汚染度が下がったわけではなく、もともとそれなりの数のバクテリアが付着していたということで、これも当然でしょう。

だいたい家庭用の洗剤でいくら手を念入りに洗ったところで、その手のスメアを培養すれば雑菌が沢山検出されるわけです。シュリンプは海で取れたあと滅菌という工程を経ることはなく、最初からバクテリアが付着しているし、カクテルになるまでの間に人間の手に触れられているので、汚染されているに決まっています。問題は、付着しているバクテリアが何で、どのくらいの数かということでしょう。確か日本の食品衛生法では一般細菌は 10000個/g 以下、E.coli などは検出されてはいけないことになっていたように記憶しています。

実験室など特殊な環境を除けば、オープンエアになっている場所では必ず落下細菌がコンタミしますので、全ての食品は必ず汚染された状態で口に入るわけです。それが許容範囲なら問題ないという話に過ぎません。ということで、5秒ルール、学生の頃からくだらないと思っていましたが、ついそのおかしさに惹かれて何度「適用」したことでしょう。

さきほど改めて日本のウィキペディアを見てみたら、3秒ルール、10秒ルールなどのバリエーションがあり、3秒ルールについては「1秒目でばい菌が食べ物を発見し、2秒目で片手をかけ、3秒目で両手をかけて(食品にくっついて)しまうため」という「根拠」まであると聞いて驚きました。

くだらないことを、それらしく理論づけてよりくだらなくするのは大学生(?)の好きそうな話です。

昨日の番組では、激辛のトウガラシ(ハバネロ)を食べて口の中が火事になった場合に、それを「消火」するのに何を用いると良いかという実験もしていました。まず5人の被験者がハバネロ入りサルサを食べて、口の中を火事にします。そのときの「辛くて涙目」度を5とします。画面ではカプサイシンが味蕾にとりついて爆発を起こしている状態が示されます。ここから、Ted Allen の指示でいろいろなものを口に入れてその後の「辛くて涙目」度を測定し、同時に味蕾の状態も推測します。

まず水。度数は減りません。味蕾にとりついたカプサイシンは一旦洗い流されても別の味蕾にとりついてしまうようです。
次に Coke。度数6。却って悪化します。炭酸が味蕾を却って刺激してしまうようです。
次にビール。Coke と同様です。
次にパン。度数4。度数が少し下がりました。パンが味蕾に付着したカプサイシンを取り去るようです。
最後にミルク。度数は3とかなり改善しました。ミルク中のカゼインのカプサイシンとの親和性は、味蕾とカプサイシンのそれよりも高いため、味蕾に付着しているカプサイシンを効果的に除去するという話です。
うーむ。本当だろうか? 分からない話ではないけれども、最後のカゼインの話は、結合定数などをちゃんと計測できれば面白い話ではあるけれども・・・

昔、試みにクサヤを食べた後、口の中を何で洗おうか考えて、水? ビール? !! ミルクだ!と思いついて結構効果的だったのを思い出しました。カプサイシンにも効果的なのか・・・
インド料理で食後にチャイを飲みますが、なるほど意味がある・・・のでしょうか。
スシのアガリに濃厚な粉茶を飲むのとは意味が違うようですね。

その昔、激辛カレーが流行りましたが、渋谷で20倍カレーにチャレンジしたときのこと。カレーそのものは食べられたのですが、食べ終わる前に間違ってつまんだグリーンペパーが大失敗でした。小さなグリーンペパーでしたが、これを口に入れても別段どうということはありませんでした。が、それを噛み潰した途端、中から超超超超辛くてちょっと酸っぱい液が口の中一杯に広がって、これは辛いというより痛て~~~!という状態になりました。カプサイシンのかなり濃度の高い抽出液を口に含んだ状態です。おかげで残りのカレーを食べるのにものすごく大変な状態になってしまいました。
食後は、今度は胃の中が火事状態が約1時間継続。ミルクを飲んだら違っていたのでしょうか・・・ でもカゼインは胃酸で変性してしまいそうですね。カプサイシンを除去してくれるでしょうか・・・

こちらも意外と辛いものが多いので、覚えておこう・・・

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2008年7月 7日 (月)

Japanese Ingredients

こちらに来て2年強になり、だいたいこちらの食材の事情が飲み込めて来た感じがします。
そんな中で、こちらに定着している日本食材が意外に多いことに改めて感心します。醤油を広めたのはキッコーマンの努力の結果という話は有名ですが、それ以外の食材は一体誰が広めたのでしょうか。

Shiitake mushroom、matsutake mushroom、nori、panko、kombu、tofu、edamame、ponzu など。これらのうち shiitake mushroom と panko と tofu は、特殊な料理人でなくともごく普通に使うようです。アメリカ人は黒い食材と白い食材は気持ち悪くてダメだと聞いたことがあります。カリフォルニアロールは、黒い海苔への抵抗感を回避するために外側にシャリを持って来たようですが、シャリだって白いじゃないの、と思いますね。でもコメを含めて穀物には抵抗がないようです。小麦粉だって(製粉すれば)真白ですし。スターシェフの Emeril Lagassee は比較的 nori を使うシェフのようですが、普通は sushi 以外では使われません。でも sushi でおなじみになったせいか、今では「黒いから気持ち悪い」ということはなさそうです。

豆腐は白いから気持悪いというのはどうにも理解できませんでした。が、これも少なくとも現在は当たっていないようです。Tofu はどんなスーパーマーケットに行っても必ず置いてありますが、特に和食に用いるというわけではなく、すでにこちらのレシピに溶け込んでいます。日本では豆腐は、白和えなどを除き、豆腐そのものとして食べることが殆どだと思いますが、こちらは必ずしもそうではありません。レシピを構成する1素材として用いられます。今日のテレビではいくつかのフルーツと一緒にブレンダーに入れて飲み物らしきものを作っていました。飲み物にするなら豆乳でいいのでは、と思います。当初豆乳なんてものがこちらで売られているとは想像だにしませんでしたが、これもどんなスーパーマーケットに行っても soy milk として売られています。豆腐は実に自由な発想で用いられていて、イタリア生まれのシェフ Giada De Laurentiis のレシピでは、"Grilled Tofu with Asiago and Walnut Pesto" などというものがありました。豆腐をグリルして asiago cheese と walnuts で作ったソースをかけたようなものです。

なお、こちらの tofu にも soft(または silken)と firm があります。絹ごしと木綿ごしの対比でしょう。しかしこちらの soft は日本の木綿より固いです。沖縄の豆腐と同じくらいでしょうか。従って firm になるとかなり日本の豆腐と印象が異なります。それと、食感がだいぶ違います。木綿ごしは絹ごしより固いと言っても、絹ごしを木綿で晒して脱水したものですね。脱水するときに、豆腐の内部で水の抜け方が完全に均一でないのでしょう、微妙な柵状組織になっているように思えます。この実に微妙なざらざら感が木綿ごしの魅力だと思います。それが、soft でも firm でも、完全に均一な組織になっているのです。完全に均一な滑らかな組織とは、卵豆腐のようなイメージです。それで、固い。Firm は、一端 soft を作ってから脱水するのではなく、soft も firm も、最初から凝固剤、それもグルコノデルタラクトンを多めに入れて目的とする固さの tofu を作っているものと想像しています。

Shiitake mushroom も特に和風のレシピということではなく、完全にアメリカ料理の素材の一部になっています。もはや shiitake が日本語であることを知らない人も少なくないかも知れません。

何とも複雑な事情だなと思うのが、panko です。Japanese panko とも呼ばれます。こちらにも bread crumb はあり、普通に売られているのですが、panko に比べて非情に細かい粒子のものです。バゲットを完全に乾燥させ、グラインダーで完全に粉砕したらそうなるのではないか、と思うような状態です。とんかつのような衣をつけたいときには panko を使うわけですが、この技法はごく普通に用いられています。Panko がポピュラーになる前はシリアルを砕いたものを使っていたのでしょうか。Panko は日本のハンバーグと同様、ミートローフに入れるレシピもあります。今ではかように panko は全く珍しい食材ではなく、きっとどの家庭にもあるのではないかと思います。袋の表面にはきちんと panko と書いてありますが、アメリカ人はこれがもともと何語だと思っているのでしょうか。非情に興味があります。日本語だと思っているかも知れません。でも「パン」がポルトガル語の "pão" だと知っているアメリカ人は殆どいないと想像します。ヨーロッパから日本経由でアメリカに伝わったものって、他にあるでしょうか?

Edamame は、もう随分前に、health conscious な人達の間で流行り、NY のバーで供されているという話を聞いたことがありました。実際に住んで見ると、さほどポピュラーとは思えません。オーガニック指向のスーパーで冷凍の edamame を買いましたが、なんと鞘から出した状態になっているので、どうも「夏の風物詩」という感じはありません。

Ponzu は結構普及しているようです。が、matsutake mushroom と kombu は、お目にかかることはありますが、滅多なことではありません。特に kombu は今のところ iron chef の Masaharu Morimoto が使うのしか目撃していません。

普及という意味では、全く普及していません(というより流通していません)が、Wagyu beef と Kobe beef が最上級の肉であるということを知らない人はいないようです(実際に食べたことのある人がどれだけいるか分かりませんが)。脂の味しかしないような日本の高級ビーフは、本来なら脂のないはずのところにびっしり脂が乗っていて、いわば超高脂血症の全身脂肪肝のような病的状態なわけですから、こちらのビーフの方がずっと健康的でおいしいと思うのに、何故だろうと不思議に思います。もちろんこちらでもビーフを含めた肉類は、成長ホルモンだのなんだの、不自然なことをやっているケースもあり、飼育状態もピンキリですから、こちらの肉が全部おいしいということではありません。

それと、Wagyu はともかくとしても、何故 Kobe なんでしょうか。確かに神戸ビーフは有名ですが松坂だってあるのに。確かに米沢だとだいぶマイナーになってしまうでしょうが・・・。

ヨーロッパでも Wagyu beef や Kobe beef は垂涎の的なんでしょうか?

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2008年6月27日 (金)

Ceviche

Ceviche とは柑橘類でマリネしたラテンアメリカの「シーフードサラダ」であると Wikipedia には書いてあります。

日本にもペルー料理店などはあるにはありますが何しろ数が少なく、日本では食したことがありませんでした。四ツ谷のしんみち通りには多くの居酒屋がありますが、ブラジル料理店やペルー料理店などもあって意外と国際色豊かな街で好きでした。ここのペルー料理店には行こう行こうと思っていたのに結局行かずじまいになってしまいました。
こちらではペルー料理店をはじめ、ラテンアメリカの料理店を探すのには苦労がいりません。隣国メキシカンは当然として、キューバ、ジャマイカ、サルバドール、アルゼンチン、ブラジル・・・ が、ペルーが最もポピュラーのようです。

こうしたレストランで Ceviche を食べることが出来ます。
Ceviche の語源は、2説あるそうです。1つはアラブ語の "sikbaj" に由来するスペイン語の "escabeche" (marinade)と語源を共にするというもの。もう1つは "Corvina fish" のペルー語 "Cebo" に由来するというものだそうです。

Cheviche とは冒頭に書いたとおり、魚を柑橘類でマリネする料理ですが、加熱しないことが特長です。魚を柑橘類で「調理する」と表現したシェフもいます。化学的には、酸でタンパク質を変性させるという理屈になります。記憶に間違いがなければ、加熱せずに酸(それも強酸ではなくマイルドなクエン酸)だけで「調理」するため、寄生虫を殺すことが出来ず、感染の可能性があるという情報も見たことがあります。

マリネは、レモンやライムなどの柑橘類を用いるのが一般的で、古典的には3時間以上行いますが最近は「混ぜるだけ」というような場合もあるとのこと。
Ceviche は様々な文化がペルーでミックスされて出来たもののようで、古代ペルーでは "tumbo" (Passiflora mollisima)と呼ばれるペルーの果物の果汁を醗酵させて出来た "Mochica" と呼ばれるものでマリネしたとか。
インカ帝国の時代には、ceviche は chica(トウモロコシやユッカの根などを醗酵させて作った飲料)で調理したそうですが、スペイン人が来てからは、レモン、タマネギなどの古典的な地中海料理の食材が加えられ、さらには日本料理の影響も加わった・・・? と。これらの「混交」の結果が現在の ceviche だそうな。しかし日本料理の影響とは何のことしょうか?

ペルーの ceviche は、生魚のブツ切りに、ライムまたはレモン、時により bitter lemon (naranja agria)、スライスオニオン、ペルーの ají limo (トウガラシの一種)、アンデスの rocoto(トウガラシの一種)を、室温で混ぜ、cancha (または canchita)と呼ばれるトウモロコシ、スライスポテトなどを添えて供するもののようです。しかし地域ごとに特長があるそうで、Lima 等の central coast では ceviche は tollo というサメや Corvina (sea bass)、lenguado というヒラメを用いるそうです。

エクアドルの Quiteño ではエビを用いた ceviche をケチャップ等のトマトソースで作り、Manabí スタイルではレモンや、塩およびエビ自身の汁を使うのが一般的だとか。貝の ceviche もあり、これはボウルに入れてトーストしたコーンとともに供するそうです。その他 Sea bass、タコ、カニも良く用いられるとのこと。Manabí 地方でのみ捕れる spoyndylus(ウミギク)の ceviche は貴重な食べ物だそうです。Spondylus はインカでは神様の贈物なのだそうです。

チリでは hulibut や Chilean sea bass とライム、グレープフルーツを用い、ガーリック、ミントや cilantro なども使うそうです。

メキシコなどの中米ではカクテルグラスに入れ、クラッカーや tostada(トーストしたトルティーヤ)とタコスのフィリングを添えて供するそうです。食材はエビ、タコ、イカ、ツナ、サバなどがポピュラーで、塩、レモン、タマネギ、チリペッパー、アボカド、コリアンダー、パセリを用い、トマトを加えることも多いとのこと。

パナマでは、ライム、塩、scotch bonnet pepper、セロリ、コリアンダーを用い、魚は corvina (white sea bass)がポピュラーで、アペタイザーとして供するそうで、タコやエビを添えることも多いとか。

キューバでは mahi-mahi を使うことが多く、レモン、塩、タマネギ、green pepper、habañero pepper にオールスパイスを用いるそうで、イカやツナを用いることもあるとのこと。

コスタリカでは、ティラピア、corvina、mahi-mahi、サメ、カジキ等がポピュラーで、ライム、塩、コショウ、オニオン、チラントロ、pepper 等を用いカクテルグラスに入れ、レタス、ソーダクラッカーなどを添えてケチャップやタバスコと共に供するとのこと。

そしてフィリピンでは、kinilaw とか kilawin とか言われるようですが、ラテンアメリカの ceviche に良く似た料理だそうで、white coco vinegar、calamansi ライム、チリ、オニオン、bell pepper、塩、ショウガを用いるそうで、魚としては Spanish mackerel やカキ、エビ、シラスも用いるそうです。

Ceviche はフィリピンで発祥して 1565年~1815年にかけての Manila-Acapulco Galleon 通商の間にメキシコ・ラテンアメリカに伝わったのではないかと考えている人もいるようです。

Ceviche は生の魚介類を使うわけですが、マリネする前に火を通す(ポーチまたはフライ)と、escabeche ということになります。両者は語源が共通(ペルシャ語の sikbag という単語で、"acid food" という意味)ではないかという話があると書きましたが、escabeche も冷やして供するもので、冷蔵庫で一晩以上寝かせてから食べるようです。このため缶詰の魚も良く用いられるとのこと。

Escabeche はペルー、プエルトリコ、メキシコ、スペイン、プロバンス等でポピュラーで、フィリピンバージョンもあり、またジャマイカでは "escovitch"、イタリアでは "escabecio"、"scapece" または "savoro"、ギリシャでは "savoro"、北アフリカでは "scabetche" として知られているとのこと。

こちらではスーパーマーケットで普通に手に入る魚は、天然ものだと previously frozen のものが多く、それらは身にしまりがなく、塩焼きのようなシンプルな調理法にするとたいていおいしくありません。仕方なくソテーにしても broil にしても、レモンバターのようなソースで味付けすることになるのですが、たまに気が向いて escabeche ふうにして見るのも悪くありません。一晩マリネというような面倒なことはしませんが、酢やライムをベースに適当な野菜を炒めたソースを合わせると、極めて脱日本的感覚で、うーん、外国にいるな~と実感します。まあ日本でも「甘酢あんかけ」のようなものはありますけれどね・・・

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2008年6月24日 (火)

Popcorn

2つ前の記事で少しだけポップコーンに触れたとおり、こちらではポップコーンは非常にポピュラーなスナックです。今回は少し掘り下げて調べてみます。

コーン自体は、普通の食用コーンとは種類が異なり、栽培種では Zea mays averta という種(爆裂種)が用いられているそうです。
最初のポップコーンは先住インディアンが既に発見していたとのこと。そして第一次大戦の 1890年頃には既にポピュラーになっていたそうです。大恐慌時代には1袋 5~10セントもする贅沢品だったとか。事業に失敗すると、ポップコーンビジネスを手がけるのが定番だったそうな。次のような有名な話があるそうです。
オクラホマの銀行家が事業に失敗して破産し、ポップコーンマシンを買って劇場のそばで売り始めた。数年後このビジネスは大成功し、失った農場のうち3つを買い戻した、と。

ポップコーンマシンは 1885年にシカゴの Charles Cretors が発明したのが最初で、Cretors はこれを 1893年のエキスポに出展したそうです。そしてこの同じエキスポでは、F.W. Rueckheim が最初のキャラメルコーンを出展したそうです。このキャラメルコーンは Rueckheim の兄弟によってレシピを改良され、1896年に Cracker Jack として発売されたとのことです。Cracker Jack は先日 Yankee Stadium で文字通り「投げ売り」されていました(手の届かない席にいる客に遠方から投げつけ、後で料金を回収するというもの)。
キャラメルコーンや Cracker Jack はポップコーンに甘い味をつけたものですが、北米では元来塩を振ります。映画館やスポーツイベントにおけるポップコーンはこのタイプですが、1912年に発売されて以来ポピュラーなスナックであり続けたようです。

現在では全米に少なくとも6つの "Popcorn Capital of the World" があるそうです。

Valparaiso, Indiana
Van Buren, Indiana
Marion, Ohio
Ridgway, Illinois
Schaller, Iowa
North Loup, Nebraska

コーンの生産地はネブラスカ州とインディアナ州がメインで、近年はテキサス州も増えているそうです。イリノイ州ではポップコーンは official state snack food だとか。変なものを設定しますね。

少々時代が遡りますが、ポップコーンに、塩と砂糖の両方を振るバージョンがあります(油も)。Kettle corn と言われるバージョンです。1776年前後に Pennsylvania の Dutch 入植者の日記に最初の記録があるそうです。当時これは fair や festival などの特別な時に供されるお楽しみだったようです。鉄のやかんでポップコーンを作り、砂糖、ハチミツや molasses で甘みをつけ、それから塩を振るのだそうです。1800年代初期には広くポピュラーになったけれども 1900年代により広がりを見せ、現在では全米の fair やフリーマーケット、特にアート&クラフトショウで供されているとのこと。

Kettle_corn Kettle_corn2

左はポップコーンに味をつけているところ、右はスタンドの外観です。確かに fair や festival に行くと kettle corn は funnel cake とともに必ず見かけますが、どちらも Amish に関係が深いとは面白いものです。
Kettle corn はキャラメルコーンほどは甘くないそうです。砂糖と塩のコントラストがウケる理由だとか。

ところでコーンがはじける理屈が説明してありました。

コーンの粒には一定量の水分とオイルが含まれている。他の多くの穀物と異なり、爆裂種の外皮は非常に硬く、また水分を通さない。中のデンプンは殆どが硬い濃密なタイプである。
中の水分と油分が熱により沸点に達すると、粒中の水分は圧縮蒸気に変わる。この状態の元では中のデンプンはゼラチン様になり、柔らかくなる。中の気圧が上昇し続け、外皮が耐え切れなくなったところで爆発する。このとき内気圧は 135psi(930 kPa)(= 9.4kg/cm2)にも達し、温度は 180°C に達する。外皮が破裂し、急速に内部の圧力が低下するため、蒸気が外に向かって急速に膨張し、このとき胚乳中のデンプンとタンパクが気泡状に膨張する。この気泡が冷めるとデンプンとタンパクのポリマーはあのパフ状に落ち着く。

わざわざもっともらしい言葉を使うところが Wikipedia ですね。書いてある内容はどうということはありません。しかし破裂直前、中が 10気圧近いとは知りませんでした。蓋をしてなかったら、結構大変なことになりそうです。

ときに、「良い」ポップコーンを作るには、昇温速度がポイントなのだそうです。加温が早すぎると、中心部のデンプンが十分に柔らかくならないうちに破裂し、芯のある出来上がりになってしまうとのこと。また逆に加温が遅すぎると、内部の蒸気が粒の先端部分(軸との接合部)から逃げてしまい、破裂しないとのこと。

ポップコーン関係者の間では、コーンの品質について、1つには破裂する粒の率、もう1つには破裂した粒がどれだけ良く膨張したかという2点の関心事があるそうです。どれだけ膨張するか、は業者と消費者の双方にとって重要なファクターです。消費者から見ると、良く膨張したコーンは、より柔らかく、品質が良いことの証になり、業者から見ると、利益に直結するからです。劇場などでは原料の粒コーンは重量単位で調達し、製品のポップコーンは容積単位で販売するため、良く膨張する粒は単位重量あたりの利益増に直結するのだそうです。

収穫したばかりのコーンはまだポップコーンにするには適していません。水分含量が高く、良く膨張しませんしふんわり仕上がらないそうです。当然保存性も良くありません。従って水分含量が 14~15%になるまで乾燥させる必要がありますが、乾燥させすぎると、今度は破裂する率が下がるそうです。

粒が破裂しない理由としては、十分な水分含量がなかったという点と、外皮が水分を十分ブロックできなかったという2つが考えられるそうです。

ポップコーンは粒の形や色、また破裂した後の形状で広く分類されるとのこと。粒の表皮の色は様々ですが中身は白いので、破裂したコーンは必ず白だそうです。

ポップコーンの業界用語で、破裂したコーンのことを "flake" と言いますが、この flake には2つの形状があります。1つは "butterfly" と呼ぶもので不規則に突出した "wing" を持つタイプ(写真右)、もう1つは "mushroom" と呼ばれるタイプで、全体に丸い形状をしています(写真左)。

Popcorn

Butterly は一般に食感が良く、柔らかくまた外皮の残りが気になりませんが、mushroom は崩れにくく、このため包装販売用、またはキャラメルコーンなどの加工用に用いられるそうです。同一の軸から取れた粒なのに、butterfly になる粒もあり、mushroom になる粒もあるそうですが、100% butterfly になる交配種、および 100% mushroom になる交配種も存在するそうで、後者は 1998年に開発されたばかりだそうです。こちらの festival で良く見る kettle corn はどちらだったか・・・

ポップコーンは映画館や野球場で食べるばかりでなく、家庭でも作ります。日本で良く見かける使い捨てのアルミパンにコーンとバターを封入し、アルミフォイルで蓋をした ready-to-heat の製品もあるにはありますが、「チンするだけ」のポップコーンが主流のようです。それもまた色々なフレーバーがあって、今日はコレ、明日はコレと選ぶのでしょう。それとは別に、オーソドックスにコーンだけ、油だけというふうな製品もあります。

日本のインスタントポップコーンが上に書いたようなものなので、今までポップコーンを作るのに、「コーンを油で炒める」のだと思っていましたが、上で破裂する仕組みを書いたとおり、要するに加熱されればいいので、ポップコーンを作るのに油は必須ではありません。空炒りでもいいわけです。げんに油を必要としない、air popper と呼ばれるポップコーンマシンもあるそうです。この手のマシンでは、熱が釜の中に急速に均等に行き渡るようにし、弾けた粒は空気で釜の外にくみ出し、釜の中は常時弾ける前の粒だけになるようにした上で、しかも焦げ付かないように常時振動をかけるというようにしているそうです。そういえば映画館などのポップコーンマシンで、油をマシンに補給しているのを見たことがないような気がします。

今までポップコーンはカロリーの塊と思っていました。映画館などだと、先日書いたように2リットルくらいのバケツに山盛りになっていて、しかもそれに溶かしバターをたっぷりかけたりします。これではちょっと健康によろしくない・・・と思っていましたが、なるほど油を使っていないのなら、溶かしバターさえやめておけば意外とヘルシーかも知れません。Air popper で作ったポップコーンのエネルギーは、100gで 380cal だそうです。と言われても全くピンと来ません。が、1カップで 8g とのことから上の2リットルバケツを計算すると、約 300cal ということになります。少なくはないとしても、想像よりは少ないような気もします。

ウチでもやってみようと思って、「チンするだけ」の製品ではなく「粒コーン」を買ってきました。油は、使うならコーンオイルを使うようですが、コーンに均一に熱が通るように存在しているだけなので、うまくすれば使わなくても出来るかも知れません。また、理屈では金属の籠にコーンを入れ、グリルの上に置いても出来そうな気がします。

ちょっと工夫のしがいがありそうです。

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2008年6月20日 (金)

Funnel Cake

夏の間、実に様々なイベントが各地で開催されます。その中で "fair" とか "festival" と呼ばれるタイプのイベントがあります。Arts festival, Beer festival, Film festival, Folk Festival, Food festival, Renaissance Festival, Science Festival などのように、何かに特化した festival もありますが、ただ単に festival というと、コミュニティ単位で行う「お祭り」のようなものです。物品販売、飲食物の販売などの他、さまざまな kids event が催されるのが普通のようです。簡単なバンドが入ることもあります。次の写真は New Jersey の Folk Festival の模様です。

Festival

このような festival に特徴的な食べ物の一つに、funnel cake というものがあります。できあがりはこんな感じの食べ物です。

Funnel_cake

これ、アメリカでの発祥地は Pennsylvania Dutch region だと言うことをたった今初めて知りました。でも今では全米の野球場やこうした festival でポピュラーだとのことです。ちょっと西海岸は出張ベースでしか行ったことがないので自信がありませんが、この界隈の festival で見かけないことはありませんし、Coney Island などの海辺のボードウォークなどでも常設店があったと思います。

さて、これがどうして funnel cake と言うかと言うと、こうやって作るからです。

Funnel(じょうご)で油の中に生地を流し入れるからですね。早い話がドーナツです。しかし、ドーナツはイーストで醗酵させた生地を使うのに対して、funnel cake はイーストを用いない点が違うのだそうです。

ここで取り上げはしましたが、実は食べたことはありません。Festival の出店で揚げているところを見たら、ちょっと食べてみようという気はおきません。カロリーを調べてみたら、直径6インチの funnel cake で 277 カロリー(油分 130 カロリー)だそうです。もっと多いかと思っていましたが・・・
そんなシロモノですが、上に書いたとおり、本当にポピュラーで、買っている人も実にたくさん。一体どこがいいんだか・・・ まあでもこちらでは揚げ物は何でもポピュラーではありますね。フライドチキン、フレンチフライ、ドーナツなど。ドーナツがポピュラーなんだから funnel cake が人気があっても確かにおかしくはないのですが。

上で書いたとおり、食べたことがないので味は知りませんが、Alton Brown のレシピだとこんな感じです。

1 cup water
3/4 stick butter (6 tablespoons)
1 tablespoon sugar
1/8 teaspoon salt
1 cup flour
1 cup eggs, about 4 large eggs and 2 whites
Vegetable oil, for frying
Powdered sugar, for topping

油分(しかもバター)たっぷりですが、思いのほか甘くはなさそうですね。

Wikipedia には由来が書いてなかったのでちょっと他を調べてみました。とあるサイトによると、最も古いと思われる funnel cake のレシピは 1879年、ドイツ語で書かれたもので、英語では 1935年が最古だそうです。当初は Pennsylvania や Ohio で "drechter kuch" と呼ばれていたそうで、午前中に食べるスナックだったとのこと。それが収穫祭やドイツの祭日などで供されるようになり、さらに Pennsylvania Dutch 地域では diner でデザートとして出されるようになった、と。
商業化は 1978年、Flossies という会社が手がけ、現在では全米で夏の風物詩として知られるようになったとのことです。

こんなものにも地域色とか季節感とかがあるんですねえ。ま、確かに住んでみると何となく分かりますけれど・・・

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2008年6月17日 (火)

Corn

まだ盛夏というには随分早いですが、夏野菜の代表格、コーンがしばらく前からスーパーマーケットに並ぶようになりました。夏の盛りには8本で2ドルなどと言う値段がつきます。日本と比べてあまりの安さに驚きます。2人家族では8本も買っても意味がないので例えば4本で1ドルなどということになります。

日本と比べて面白いなあと思うのは、コーン売場の前に巨大なダンボール箱が置かれるのですが、これは剥いた皮を捨てる箱です。つまり、コーンは皮に包まれ、ヒゲが伸びた状態で山積みされているわけです。これを、皮を剥かないでそのまま買う人もいれば、ガシガシ全部剥いてから袋に入れる人もいるわけです。

皮を剥かないで持ち帰る理由にどんなものがあるのか分かりませんが、理由のひとつにこんなものが考えられます。夏と言えば BBQ ですが、これにコーンも使われます。が、日本と違ってしょうゆをつけて焦がして・・・ ということはありません。そのままグリルにかけてしまうのですが、「正しい」やり方は、皮をつけたままグリルする方法です。しかし単純にそのまま焼くと皮が燃えてしまうので、事前にしばらく皮ごと水につけておきます。そうするとグリルの上で皮はうっすら焦げ目がつくくらいですし、中身は蒸し焼き状態です。なかなかうまいことを考えたものです。
まあマーケットで皮付きのまま売られている理由が「グリルに供するため」だけだとは思えませんが・・・

ちなみに蒸しあがったコーンをどう食べるか。日本と同じにハモニカ式という食べ方もあります。そしてそうするための道具まであります。

Holder

コーンの両端にこのホルダーを刺して持てば、バターを塗ったコーンにかぶりついても手は汚れない、という寸法です。

もしもかぶりつくのではなく、粒をバラバラにして、バターコーンにでもしたければ、こういう道具もあります。

Cutter

右端が「柄」に相当しますが、中央部分にあるのは円筒形の歯(カッター)です。コーンを垂直に立てた状態でこのカッターをコーンの軸に沿って降ろして行くと、粒を軸からはずせるという寸法です。でもこれ、使っては見ましたがあまり使い勝手のいい道具ではありません。大体料理番組ではコーンを軸からはずすのに普通の包丁を使っています。ですから根元から綺麗にはずせた粒もあれば、斜めに切れ目の入った粒も出てしまいますね。それで仕方ないようです。

最近良く買っているのは、white corn です。と言うより今はそれしか選べません。上のようにして調理すると、結構シャクシャク感が残っていて食感がとてもいいと思います。味は、甘みがほんのり。日本で普通に売られているトウモロコシよりは甘みが少ないですが、この程度の方が料理には使いやすいと思います。色は、white corn と言うだけあって日本のトウモロコシよりもかなり白いです。

この white corn が、品種で言うところのどれに該当するのか、いま一つ良くわかりません。

Flour corn — Zea mays var. amylacea
Popcorn — Zea mays var. everta
Dent corn — Zea mays var. indentata
Flint corn — Zea mays var. indurata
Sweet corn — Zea mays var. saccharata and Zea mays var. rugosa
Waxy corn — Zea mays var. ceratina
Amylomaize — Zea mays
Pod corn — Zea mays var. tunicata Larrañaga ex A. St. Hil.
Striped maize - Zea mays var. japonica

White dent corn という記載を見つけたので、dent corn に分類されるのかとも思いましたが、日本語のサイトで「スイートコーン(甘味種トウモロコシ)は、アメリカでは人間が食用する野菜として一般に栽培されている。」という記載を複数見かけたので、sweet corn なのでしょう。

ところで、2005年の世界のトウモロコシの生産量は 6億9200万トンで、うちアメリカの生産量は 2億8000万トンで、殆ど半分はアメリカで生産しているようです。ちなみに 2004年のデータでは、生産量トップ5州は、Iowa、Illinois、Nebraska、Minnesota、Indiana でした。たしかに corn belt という単語がありますね。MD は全米第 20位で、シェアは僅かに 0.49%でした。しかし、それでも盛夏にちょっと郊外に行くと、一面のコーン畑で、走っても走ってもそれが終わらないなどということはザラです。それがまた日本のよりも背が高く、軽く 2~2.5m はあろうかというように見えます。果たしてそれが white corn なのかどうかはわかりませんが。

さて、コーンと言えば人間の食用(生食、加工用)以外に、家畜の飼料としての位置付けもまた重要です。とあるサイトによると、「アメリカの農家が出荷するトウモロコシの61%が、飼料として利用されている。その約半分は直接、豚や牛、鳥にあたえられ、残りの半分は混合飼料に使われる」そうです。それが何という種類のコーンなのか、軽く調べてはみましたが、良く分かりませんでした。

家畜用という話では、バージニアの農場を見に行ったときのこと。古い道具を見せてくれました。リンゴの皮むき器と同じ原理で、それを思いっきり大きくゴツくしたような道具があったのですが、これは乾燥コーンから粒をはずすための道具でした。乾燥したカチカチになったコーンをセットし、レバーをぐるぐる回すと、いとも簡単にコーンの粒がバケツにたまっていきます。そうやって家畜の飼料にしていたのでしょう。

その他、コーンの用途は、最終的に人間の口に入るものとしては、アルコールや蒸留酒、シロップ、砂糖、コーンスターチ、乾燥加工食品、食用油(コーン油、マーガリン等)になります。
こちらの加工食品では corn syrup を多用します。High-fructose corn syrup というものもありますが、どちらも「天然」「自然」と対極にある成分と見なされています。筆者も日本で原材料に「水あめ」と表記されたものを避けて来ましたが、当地ではこれらの成分を避けています。
トルティーヤが乾燥加工食品に分類されるのかどうかは知りませんが、本来のトルティーヤはコーンから作りますし、そのチップであるトルティーヤチップも美味しくて好きです。また筆者にとって重要なのはアルコールで、バーボンの原料もコーンです。

最終的に人間の口に入るはずのもので、こちらに来れば日本よりずっと安く食べられるだろうと思っていたものに、ジャイアントコーンがあります。これ、実はこちらでは売られていません。ミックスナッツには入っているのに、単品ではありません。理由が良く分からないのですが、本来飼料にするものだからだとか?
いや厳密に言うと、ネット販売だので探せば無いことはないのですが、近所のスーパーなどでは絶対に売っていません。隣の市に Amish market があるのですが、そこで偶然見つけたので大量に買い占めたほどです。

逆に日本でもまあ食べられているけれども、こちらでそれとは比較にならないほど多量に消費されていると思われるのが、「ポップコーン」。映画やスポーツ観戦で、一人2リットルは食べているのではないか? というほどの人気です。これは、コーンの品種自体が違うのだということは先ほど始めて知りました。

昨年あたりから Bush の政策で bio-ethanol が重要視され、原油だけでなく食品の高騰が続いていますが、このおおもとの理由が、エタノールの原料としてコーンが用いられることでした。

さて、夏の風景はこんな感じ。

Field

延々と続くコーン畑の中の道と青い空、というところです。が、これが秋になって収穫が終わると、こんなものに生まれ変わります。

Maze1

Corn maze です(上から見たところ)。中に入るとこんな感じ。

Maze2

子供向けのアトラクションですが、季節感があって結構好きです。

ある時群馬の人が、トウモロコシは採ってから 30分経つともう味が落ちると言っていました。そうは言っても東京ではそれは無理な注文。もちろんこちらでも無理な注文。でも、そろそろ farmer's market がちらほら開き始めたので、土曜日にでも fresh corn を買ってみようかなと思う季節になりました。季節の移ろいは早い・・・

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2008年6月14日 (土)

Hibachi Steak

Rockville Pike と Old Georgetown Rd の交差点の近くに、Hinode というレストランがありました。店の看板には Hibachi Steak と書いてありました。2年前にこちらに住むまでは聞いたことのない単語でした。何だろうとずっと思っていましたが、2年前の秋、思い立って行って見ました・・・ が、夕方なのに店が開く雰囲気でありません。駐車場もロープで入れなくなっています。おかしい・・と思ったら案の定、この店は閉じてしまっていたのでした。閉じたというより Bethesda に移転したのか、Bethesda 店は前からあって、この North Bethesda 店が閉店しただけなのか分かりませんが、まあとにかくこの店舗は跡形もなくなっていて、現在は建てかえられて Chevy Chase 銀行になっています。

そういうわけで、今日の今日まで hibachi steak なるものを食べたことがなく、どんなものか知らずにいました。火鉢に焼き網を乗せて、自分のペースで自分で焼く焼肉(=炭火焼肉)なんだろう、と漠然と思っていました。味付けは韓国風ではなくて日本風なんだろうな、と。そう考えると結構良さそうではありませんか。

ところが先ほど別の調べ物をしていて、hibachi steak とは teppanyaki のことであることを初めて知りました。でもなんだって鉄板焼が火鉢ステーキ? Wikipedia では teppanyaki は独立した項目になっていますが、hibachi steak はまだです。しかしその teppanyaki も日本とは内容が随分違います。Wikipedia では、日本で鉄板焼きと言えば、お好み焼き、焼きそば、もんじゃ焼きなどを指すと書いてあります。確かにどれも鉄板の上で焼きますが、お好み焼きやもんじゃ焼きのことを鉄板焼きとは言わないんじゃないでしょうか。鉄板焼きとは、熱した鉄板を使って焼く(炒める)料理法のことを言うような気がします。だから鉄板焼きで焼きそばを作るなどと言うような気がします(厳密には「二重の重複」になりますが)。あるいは肉野菜炒めとか。まあそう言った比較的カジュアルな料理を指すと思います。

日本には、鉄板を使った、また違った料理がありますね。あれを何と言うのか分かりませんが、ステーキハウスの一種です。予約が必要な比較的高級なステーキハウスで、広い鉄板を客が取り囲むようにして座り、シェフが若干のパフォーマンスを交えながらコース料理を次々と焼いて客に供していくという形態です。
これ、鉄板焼きと言うでしょうか? 鉄板を使った料理には違いないのですが・・・ 鉄板焼きと聞いてこの種の店を思い浮かべる日本人はどれくらいいるのか?

この形態の料理は、Wikipedia によると 1945年の神戸の「みその」が元祖とのこと。「みその」の HP を見ると、「鉄板焼ステーキ」とは確かに書いてあります。でも「鉄板焼ステーキ」であって「鉄板焼き」ではありませんね。この辺はやっぱり日本人的感覚でしょうか。それはともかく、Wikipedia にもこのスタイルは日本人よりも外国人にウケたと書いてあります。「みその」ではパフォーマンスはされていたのでしょうか・・・

まあそれを、あの Benihana がアメリカに移植したのが 1964年だそうです(NYの1号店)。当時の事情は分かりませんが、きっと Benihana がこの形態を teppanyaki と称したものと思われます。そしてパフォーマンスに磨きをかけた、と。こちらでまだ Benihana に行ったことはありませんが、TVCM を見る限り、大したモンです。こちらに住むある日本人は Benihana のことを「チャンチャカチャン」と言っていましたが、確かにそのようです。食材や調理器具が宙を舞う舞う。面白いところではエビを鉄板で調理したあと、鉄板上で尻尾を切り落とし、ヘラで放り上げ、シェフハットの頂上で受けてゴミ箱の代わりにするというものです。あるいは、タマネギを2センチ厚程度にスライスし、相当厚めのオニオンリングを作ります。そしてそのリングを、鉄板上で直径の大きなものから小さいものに積み上げていき、漏斗を逆さに置いたような形(=イメージは富士山)に作ります。最後に上から中に少し酒を入れると、富士山が噴火する! というものです。これの「技法」、くだらないと思いますがちゃんと flaming onion volcano という名前がついています。こんな感じです。

Volcano

そうして、それらの「技法」を競うイベントも少なからず開かれているところがアメリカです。

というわけで、こちらではこの種の料理店を teppanyaki と言っています。しかし! 同時に hibachi steak とも言うとは冒頭に書いた通り今まで知りませんでした。この呼称は、Benihana の広めたものではなさそうです。でも現在の Benihana のメニューには hibachi chicken やら hibachi steak やらは掲載されています。

この呼称の由来について、Wikipedia では次のように考察しています。

日本では火鉢は調理に用いることはなく、調理には七輪を用いた。一方アメリカでは持ち運び可能なバーベキューグリル用に鉄板を用いた小さなグリルがあった。それが七輪に似ていることから、間違いではあったが hibachi として売られて認識されるに至った。Shichirin という単語はとても発音しづらかったからである。

分かったような分からないような。

まあとにかくマイペースで焼肉が食べられるんだと言うのはとんでもない誤解でした。
日本の鉄板焼きステーキハウスは「わざわざ行く価値のある」店もあっていいのですが、こちらのは・・・ でもアメリカ人の接待用に下見くらいしておこうかな・・・

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2008年6月12日 (木)

Lo Mein

夏の間は、各地でフェスティバルが開かれます。DC のフェスティバルのトップバッターは4月の Cherry Blossam Festival と言って良いでしょう。この Cherry Blossam Festival は、Tidal Basin を中心とした場所で行われ、その名の通り桜を見るのが主目的の、カナリ健全な festival で、food vendor などは少数です。何より道路を封鎖して行うようなものではありません。その代わり2週間くらい続きます。
で、その中の1日だけは Sakura Matsuri という日米協会主催の一応別の festival が開かれるのですが、これは Pennsilvania Ave を数ブロック封鎖して行われるものです。ここには food vendor が数多く出店します。Sakura Matsuri ですから日本食レストラン等からの出店もあり、この手の vendor は良いのですが、そうではなくて、アジアには違いなさそうだけれども国籍不明の vendor も数多く出てきます。そしてどういうわけか、「teriyaki chicken」と「lo mein」と「fried rice」の3点セットを出している店が非常に多いのです。

これは去年の Sakura Matsuri で買った3点セットのコンボです。

Combo

言うまでもなく左上に4切れほどあるのが teriyaki chicken。これ実は串焼きになっています。そしてその下には lo mein が敷いてあります。手前は、これも言うまでもなく fried rice です。基本的にどれもおいしくなくて、書きたいことは色々あるのですが、今日はこのうち lo mein を話題にします。

先日、ワシントンのネットコミュニティで、Chinatown のレストランでメニューに lo mein を見つけ、喜んで注文したら期待したのと全く違うものが出てきて、しかもおいしくないので愕然としたという話がありました。なまじ lo mein などと表記するものですから、ラーメンのようなものを想像しますが、現実は上の写真のように、日本で言う焼きそばに近いものです。でも「近い」ですが日本の焼きそばともまた違います。どう違うのか・・・ 改めて Wikipedia で調べてみました。

アメリカで言う lo mein は、非常にポピュラーなテイクアウトフードで、ブラウンソースで和えてあるとのことです。ブラウンソースとは、醤油、コーンスターチ、砂糖などの調味料で作ったものです。そしてニンジン、チンゲンサイ、キャベツ、タマネギ、エビ、焼叉、ビーフ、チキンなどが入っていると。

上の写真は確かにそんなようなものです。さて日本の焼きそばとどう違うか。
写真ではちょっと分かりませんが、日本で通常焼きそばに用いるのよりも麺が太いです。それと、当然ですが味付けが違います。上のブラウンソースの説明だけでは日本のソースとの味の違いがはっきり分かりませんが、とにかくソースが違います。
日本だとソース焼きそばというように、日本バージョンの「ソース」が味の中心になりますね。そして仕上げにかつお節、青海苔などを添えます。個人的には日本の「ソース」はウスターソースもトンカツソースも好きでないので、ウチでは醤油が味の中心になります。ということは若干こちらの lo mein と近いことになるかも知れませんが、やっぱり全然違います。
そう言えば同じ中華風でも、日本のカジュアルな中華料理店の焼きそばの味は、何が中心になっていたんだろう・・・

話がちょっとややこしくなりますが、こちらには lo mein ではなく yakisoba というものも存在します。ですがこれはテイクアウトフードではなく、あのカップ焼きそばです。当然 Chinese restaurant にはありません。グロサリーストアのインスタントラーメンの隣に並んでいます

Lo mein に戻ります。これがアメリカ北西部、例えばバンクーバー(バンクーバーはカナダです。巨大な Chinatown があることで有名です)に行くと、lo mein はまた違ったものになるとか。乾いた細麺で、オイスターソースをトッピングしてあるそうです。そしてワンタンスープに用いられるスープがついて来るとのこと。これは香港バージョンにカナリ近いと書いてあります。うーん、そうだったかな? 香港でそんなものを食べた記憶がない・・・

日本の焼きそばから見ると、lo mein より chow mein の方が近いようです。というのは、lo mein は炒めないけれども、chow mein は炒めるからです。なるほど lo mein はもともとワンタンメンだったそうで、麺をワンタン&スープと別々に供するようになったと。だから炒めない。なるほど make sense。
また、だから名称がラーメンに近い? ・・・これは違うようです。

Lo mein は広東語で撈麵と書き、lōu mihn と発音するそうです。そして意味は「かき混ぜた麺」という意味だそうです。撈は北京語だと「浚う」とか「水から取り出す」という意味になるそうで、発音は lāo となるそうです。
また、広東語で言う撈麵は、北京語では拌麵と書いて bàn miàn と読むそうです。

一方日本のラーメンは、そのまま ramen と書くか、lamian と書きます。後者の場合は「拉麵」という字が当てられ、これは「手延べ麺」という意味だそうです。カタカナの「ラーメン」の由来に関する話は本旨でないので書きません。

ついでですが、chow mein は炒麪ですので、日本語で書けば炒麺です。上に書いたとおり、ほぼ日本の焼きそばにあたります。さらについでですが、「かた焼きそば」は、炸麺と書くそうですがそれがこちらで 何 mein と書かれるのかまでは分かりませんでした。

やっぱり日本人はみんなラーメン大好きですね。でも残念ながら DC 界隈には「行列のできるラーメン店」は存在しません。NY ですら数えるほどしかありません。香港でも汁麺を何度か食べましたが、仲々気に入ったものに会えませんでした。
台北では麺線なるものを食べました。これは酸味のある中華風にゅうめんとでも言った方が良く、ここまでラーメンと違う食べ物だと、アタマの切り替えが出来るので、却って不満を持たなくなります。

まあいずれにしても、日本のラーメンは日本でしか満足が得られないと思うべきで、そんなことをこちらで考えるよりは、ぜんぜん違うものを、ラーメンとは別の料理として味わう方がはるかに健全ということでしょう。やっぱり汁麺が恋しくなるときは、下手に Chinese restaurant に行くより、いっそベトナム料理の pho などの方が満足度は高いです。

そろそろ暑くなってきたので、冷たいスープパスタでも工夫してみようかな・・・

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2008年5月31日 (土)

Mussels

日本にいるときは、ムール貝を自宅で調理したことはありませんでした。そもそも近所のスーパーで気楽に買えるというシロモノではなかったと記憶しています。ですから値段など調べたことがなかったのですが、どうせ高いものなんだろうと思っていました。

今、国産の生ムール貝のネットショッピングのページを見たら、1kgで 1,200 円と出ていました。別のショップでは同じく1kg で 1,575 円とか。べらぼうに高いものでもないようですが、気楽な金額とは言えないようです。

日本ではレストランで1・2回食べたことがあったと記憶していますが、リピートしようというほど旨かった記憶がありません。こちらに来て、せっかく東海岸なんだから、ということで、どこかのレストランでムール貝のワイン蒸しを頼んだときに、日本での記憶以上に旨いと感じました。
その後、近くのスーパーマーケットで、常時売っていることに気づき、また1袋あたり 3.99 ドルと大変安価なので買ってみました。
レシピは foodnetwork から Bobby Flay のレシピを拝借しました。

面倒なのでシャロットはタマネギで、仕上げのタラゴンはシラントロで代用。これがまあ結構イケたわけです。うーん、自宅でこんなものが食べられるならわざわざ外で注文しなくてもいいというくらいの出来でした。

何度かやってみたあとで、あることに気がつきました。貝の中からヒゲのようなものが何本も生えていて、それが貝の外にまで伸びている個体が少なくないことに気がつきました。きっとこれ、養殖モノで、貝をロープか何かで吊るして養殖するのだろう、そして貝がロープの一旦をくわえこんで、そのまま除去されずに収穫・出荷されたのだろうと思いました。だからきっと植物繊維なのだろう、いずれにしても調理前に出来るだけ除去した方が良さそうだ、ということで引っ張って見ましたが、非常に手ごわい。貝の隙間から除いて見ると、ロープの先は貝の奥深くにまで達していて、無理矢理引っ張ると貝の肉を引き裂いてしまうことになりそうなので、ほどほどにしておくことにしました。取れるものは取るけれど、取れないものは出来るところでやめて置く。
そうすると、出来上がった貝で、そのヒゲが残っていると、食感がとても悪いことが分かり(当然ですね)、しばらくムール貝を自宅で調理するのを遠慮していました。

ところがなんのことはない、ちょっとネットで調べただけであのヒゲはムール貝の「足糸」と呼ばれるものであることが分かりました。ムール貝の下ごしらえの方法は、ネット上に溢れるほどあるのに、今まで見もしなかったとは。

ムール貝はアサリやハマグリとは異なり、岩などに付着して生息するのだそうで、この足糸を付着に利用しているのだそうです。足の付け根に足糸の元になる分泌液(ある種のタンパク質)を分泌する腺があり、付着しようとする相手に足を延ばします。そこで分泌液を分泌すると足に沿って糸状に流れて行き、相手に達します。これが海水に触れると非常に強固な物性に固まるのだそうで、それがこのヒゲでした。これを何本も延ばして付着するので、他の生物がムール貝を捕獲しようとしてもなかなか難しい、とまあそういう目的のものだそうです。

というわけで、人間が下ごしらえでこのヒゲを抜こうとしても、かなり苦労します。場合によってはムール貝の外側にフジツボが付着していることもあるらしく、ムール貝の下ごしらえは「かなり面倒」として知られていることを今まで知りませんでした。

ところで例によって「種」を調べてみると、日本に生息しているのはムラサキイガイ Mytilus galloprovincialis、北米に生息しているのはヨーロッパイガイ Mytilus edulis のようです。ニュージーランド産の冷凍ムール貝を試したことがあり、これが全くおいしくなかったのですが、冷凍であるということのほかに種も違うようです。ニュージーランドのはモエギイガイ Perna canaliculus だそうです。確かに肉も見た目が違います。

英語版 Wikipedia によると、次のようなことが書いてありました。ムール貝は、赤潮による貝毒の心配があるとか。西海岸で温暖な季節が要注意だそうです。またベルギーでは、"r" のつく月(September~April)が旬と言われている・・・? これってカキの話じゃありませんかね?
こちらではカキは一年中生で食べますが、東海岸のムール貝は貝毒の心配もないのでしょうか。カナダ東海岸の Prince Edward Island は海産物で有名ですが、今まで試したのはここ産のものでした。レストランでも一年中出してますし、赤潮が原因と分かっているなら、赤潮の発生しない海域なら問題はないはずで、大丈夫でしょう。

今度は本腰を入れて下ごしらえしてみよう。

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2008年5月12日 (月)

Chicago Dog

今日 Food Network を見ていたら、Chicago style hot dog を話題にしていました。決してケチャップを使わないというようなことを言っていたので非常に驚きました。なんだか相当なこだわりがあるようなので、またちょっと調べてみました。そうしたら、何とまあ・・・拘りの塊のような食べ物だということが分かりました。

Chicago Dog は、シカゴの Maxwell Street にある Fluky's が 1929年に売り出した"Depression Sandwich" に端を発するとされているようです。また今日最も多く使われているブランドの Vienna Beef frankfurters は、1893年に World's Columbian Exposition で売り出されたものだそうです。

さてここからは、そこまで Chicago Dog に入れ込みますか! という、ちょっとオドロキのサイト "Hot Dog Chicago Style" からの引用です。

まず Chicago Dog の"定義"です。

蒸したポピーシードのバンズに 100% ビーフのソーセージを乗せ、トッピングを次の順序で施したものとのことです。そうしないと目的の味にならないのだそうです。

1. Yellow Mustard
2. Bright Green Relish
3. Fresh Chopped Onions
4. Two Tomato Wedges
5. A Pickle Spear or Slice
6. Two Sport Peppers
7. A Dash of Celery Salt

ソーセージの加熱法にも制約があります。決して熱湯で茹でてはならないとか。
蒸気を用いて、75~80゚Cくらいになるまでゆっくりと加熱するのが良いそうです。これが一番良い方法だけれども、グリルや電子レンジもアリとのこと。
Fluky's では、水を加熱し、沸騰したら火を止め、ソーセージを入れて20分ほど茹でるというやりかたを採用しているそうです。
なお、ソーセージのチョイスですが、シカゴの8割以上のホットドッグ屋台では、Vienna Beef Hot Dogs を使っているそうです。

冒頭に書いたとおり、ケチャップは決して使いません。「Chicago Dog」通に言わせると、ケチャップを使うと味が濁るんだそうです。
クリント・イーストウッドの映画 "Sudden Impact"(邦題「ダーティハリー4」)には

"You know what makes me really sick to my stomach? It's watching you stuff your face with those Hot Dogs! Nobody - I mean nobody puts ketchup on a Hot Dog!".

という有名なセリフがあるんだそうです。なお筆者はこの映画を見ていませんが、舞台はシカゴではなくサンフランシスコのようです。

さて食べ物の世界には良く「隠語」というか「符帳」というか、そういうものがありますね。Chicago Dog にもあるんだそうです。

[The Works]
→「全部入り」 "I'll take a Chicago Dog with the works" とオーダーすれば、それは「100%ビーフのソーセージを蒸したポピーシードバンズに乗せ、yellow mustard、bright green relish、onions、tomato wedges、pickle spear、sport peppers and a dash of celery salt の全部をトッピングしてくれ」という意味になります。

[Snap]
→「ソーセージのケーシングを食い破る時の"パキッ"という音」のこと。"It has the nice 'snap'" などと言うと通らしく聞こえます。

[Dragged Through the Garden]
→「Chicago Dog の別名」 野菜たっぷりであることから。

ところで、上に列挙した7種類のトッピングのうち、良く分からないのが

2. Bright Green Relish
5. A Pickle Spear or Slice
6. Two Sport Peppers

ですが、調べてみたら Vienna Beef 社などからそれぞれの製品が出ていることが分かりました。

Bright Green Relish は、Neon Green Relish とも呼ばれますが、Vienna Beef 社の製品では "Chicago Relish" と呼ばれています。要は Cucumber で作ったピクルスですね。

Pickle Spear or Slice は、ディルのピクルスで、Vienna Beef 社のものではありませんが、こんなものがあります。

Sport Peppers は、中くらいの辛さの青トウガラシを漬けたもので、やはり Vienna Beef 社の製品ではこんなものがあります。

ところで neon green relish や sport peppers は、アメリカ人の掲示板でも、「近所を探しましたが見つかりません。どこで買えますか?」という記載を数多くみかけます。さほどにシカゴ限定でしか売られていない製品のようです。ちなみに上のオドロキサイトでは、各材料を色々に変えてみて出来栄えを試した「実験コーナー」があります。
この中で、それぞれの材料がどこで買えるか記載がありますが、それがまた「シカゴ市内のこのマーケット」というレベルで書かれています。

正真正銘の Philly cheesesteak が、Amoroso's Baking Company のバンズを使わなければならないのと同様、Chicago Dog も他都市では買えない地元素材を使わないといけないわけですね。今度シカゴに行く機会があれば試してみたいと思います。

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2008年5月 9日 (金)

Canadian Bacon

スターシェフの Emerill Lagassee が、ときどき Canadian bacon なるものを使います。んー、どんなものなんだろうと思ってあるときスーパーマーケットで探してみたら、見つけました。こんなものでした。
Canadian
どこがベーコンなの? ハムとかそういうのじゃないの? と驚きました。
今日あらためて Canadian bacon とは何ぞや? といつものごとく Wikipedia 等で調べてみたら、その正体が分かりました。

ベーコンとは、ブタのバラ肉または背中の肉を、塩漬けかつ/または薫製したものであるとのことです。他の動物の肉でも同様の製法を用いれば類似のものが作れますが、それはベーコンとは言わないようです。また逆に同じブタでも他の部位の肉を用いればベーコンとは呼ばないようです。
さてバラ肉と背中の肉では随分性格が異なるわけですが、イギリスではバラ肉から作ったベーコンを "streaky bacon"、背中の肉から作ったベーコンを "back bacon" と呼んで区別しているそうです。しかしアメリカでは USDA の定義 "the cured belly of a swine carcass" に従って、バラ肉から作ったベーコンを単にベーコンと呼ぶようです。とすると、背中の肉から作ったベーコンはアメリカでは何と呼ぶか? そう、それが Canadian bacon というわけでした。これが面白いことにご当地のカナダではそう呼ばず、"peameal bacon" と呼ぶようです。この "peameal" という単語、収載語数が自慢の筆者の電子辞書にも、頼りの綱の英辞郎にも収載されておらず、意味が分かりません。

さてこの Canadian bacon、ハムにそっくりと書きましたが、本当にそっくりです。バラ肉と対照的に脂が殆どないように見えます。
別のサイトでは、
In flavor, appearance, and texture, Canadian bacon is closer to ham than it is to bacon. The meat is lean, slightly sweet, and juicy.
と書いてあるとおりです。

"Closer to ham" とありますが、ハムも Canadian bacon も、塩漬けにして薫製にするんなら、部位が違うだけです(いやそれならベーコンも同じか・・・)。肉質が、ハムに用いる loin に近いということでしょう。

Nutrition data を見ると、Canadian bacon を ふつうの bacon に比較すると、スライス1枚あたりの脂は 60% 程度で、また同じ重量同士で比較すると 20% 程度しかありません。その少ない脂も層をなしていないので、ベーコンのようには全く見えません。
ベーコンはフライパンで熱すると脂が溶け出し、自分自身を揚げることになるので、最終的にカリカリベーコンが出来上がりますが、Canadian bacon ではそういうことはありません。ハムをソテーしたのと一緒です。

アメリカでは Canadian bacon の出番はヨーロッパに比べて少ないけれども、それでもピザ・サラダ・オムレツなどのトッピングに用いられると書いてあります。
Canadian bacon のメーカーのサイトでは、スライスしていない塊状の Canadian bacon を厚めにスライスしてサンドイッチに入れたり、塊のままローストして供する方法を紹介しています。やっぱりハムと一緒です。

ところで peameal bacon ですが、サイトによって微妙に説明が違います。Canadian bacon のカナダでの呼び名であるというのが Wikipedia ですが、peameal bacon はピクルスと一緒に塩漬けされて、黄色い cornmeal や豆のクラストが出来る点が違うとか、塩漬けだけされるのであって薫製されないのが peameal だとか。結構細かいところになるとひとそれぞれに理解が違うようです。

しかし、それにしてもターキーで作ったハムのことを普通にターキーハムと呼ぶのに、殆ど違わない Canadian bacon を頑固にハムと呼ばないのはどういうこだわりなんでしょうか・・・

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2008年5月 7日 (水)

Shabu Shabu

とあるパーティで知り合った韓国系の同業他社の知人から、実は韓国に帰任することになったので、近所に来ることがあれば連絡を寄越せ、Korean food のランチでも食べようと誘われました。次に NY あたりに来るのはいつだ? と聞かれて予定を答えました。ではいついつにしようということになり、Edgewater, NJ の Mitsuwa で待ち合わせ、彼のクルマに乗ったところ、「シャブシャブでいいか?」と聞かれました。Korean と聞いていたので非常に驚いて「シャブシャブ?」と思わず聞き返してしまいました。「シャブシャブ知らないか?」と聞かれて「いや、良く知っているけど、韓国にシャブシャブがあるのか?」と聞き返してしまいました。

ついた店の外側はすべてハングルで書かれていたので、何が書いてあったのか全く分かりませんが、きっと「샤브샤브」という文字がどこかにあったに違いありません。メニューもハングルがメインで英語がサブ。彼が、「sea food と beef」とどっちがいい? と聞いてくるので、beef をチョイスしました。

店の構造は日本の焼肉屋に似ていますが、若干違いました。4人掛けのテーブルには人数分の IHヒーター が埋め込まれていて、個人個人、自分専用の鍋が出されます。ダシを入れて、スイッチオン。あっと言う間に沸騰するので、盛られた具をめいめい好きにダシに入れ、食べます。具としては、beef の他は、もやし、Oyster mushroom、レタス、あと何だったか・・・

話や食事のペースを合わせるべく、相手の動きを見ていると、早い、早い。日本のように、肉を一枚とってダシにゆらゆらくぐらせ、ポン酢か何かにつけて食べ、また次に肉を一枚とって・・・というのではなく、肉や野菜を一度にある程度まとめてダシに入れてしまい、少し待ってからぱくぱく食べ、またまとめて入れて・・・というような調子でした。日本の焼肉と韓国の焼肉の違いのようなものでしょう。最初日本式でやっていましたが、それを見た彼は、食欲がないのか? と聞いたくらいです。すぐに気づいてペースアップしました。
そう言えば韓国でプルコギを食べたときも、皆さん食べるの早いな~と思ったのを思い出しました。

そろそろ具材を食べ終えるかという頃、「rice と noodleとどちらが良い?」と聞かれました。筆者は noodle を選んだのですが、当然これ、シャブシャブを食べ終わったあとのダシをどう使うか、というものです。出てきた noodle は、まさしくうどんでした。うどんそのものも割合とおいしく、結構幸せでした。しかし彼は rice をチョイスしたらしく、ダシに rice と卵を割りいれ、雑炊にして食べていました。うーむ、しゃぶしゃぶで雑炊・・・日本ではやらん・・・と感心した次第です。確かに、日本のしゃぶしゃぶと比べると、雑炊やうどんのネタになるほどダシの味付けが濃いことに気づきました。

食事中、韓国ではシャブシャブはポピュラーなのか? と聞いてみたところ、「良く食べる」とのことで、「でも、韓国では大鍋で皆で突っついて食べる。これはアメリカ式」とのことでした。

韓国にシャブシャブがあるとは思わなかったので、ウィキペディアで調べてみると、「日本の鍋料理」で、「1952年に大阪のスエヒロが、自店の料理として出すときに命名したもの」だそうな。しかし一方で、起源については、「北京の火鍋料理に「羊肉(shuàn yáng ròu)」という羊肉でしゃぶしゃぶする料理があり、この料理が京都に伝来し、日本の「しゃぶしゃぶ」のルーツになったともいわれる」とのこと。

しかし、実は最近しゃぶしゃぶと台湾の関係を疑っていました。Rockville には Taiwanese restaurant なのに shabu shabu を売りにしている店があります。この店、Greater Washington では割と名の知れた店なのですが、何故か Japanese shabu shabu と表示しています。ZAGAT ではこの店を Japanese restaurant に分類しています。それはさておき、この店の中文表記は、「涮涮锅」です。「」という漢字は、初めて見てもなんとなくどういう動作か分かる気がします。漢字表記があるところを見ると、実は台湾がルーツなのか? と思っていました。まあ改めて考えて見れば、Coca Cola の漢字表記(可口可楽)があるのだから、漢字表記があるからと言って中国・台湾ルーツとは限らないのは明らかなのですが。

さて改めてネットで調べると台湾にもしゃぶしゃぶを出す店はあるらしく、台湾風しゃぶしゃぶというものは存在するようです(知りませんでした!)。中国語が出来ないなりにも Y! Taiwan で「涮涮」を検索すると96,000以上ヒットして、ヒット結果の1ページ目は殆ど全て涮涮店のウェブサイトのようです。しかも一部は「日式」と自称していたりもします。
「日式」なのか台湾風なのか、またそれらがどんな特徴があるのか分かりませんが、銀座に台湾しゃぶしゃぶの店が出来たというのが日本のニュースになっていたりします。

ついでに Y! China で「涮涮」を調べて見ると、19万件もヒットしました。「台式涮涮锅」だの「涮涮锅」だの「日本涮涮锅」だの実に色々あって、国籍不明状態です。ですがざっと見たところでは「中式」というのは見ませんでした。
ウィキペディアに「北京では羊肉」という記載があったので、「羊肉」で調べると、これも沢山ヒットしましたが、逆に「日式」だの「台式」というのを見ませんでした。寧ろ「蒙古」という漢字が散見されました。羊ですしね。

さらについでに Y! Hong Kong で「涮涮」を調べてみたら、どうも飲食店らしきものはヒットしませんでした。食品らしき記述はありましたが、どうも「シャブシャブ」のことを指しているのではなさそうでした。

調子に乗って Y! Korea で「샤브샤브」を調べてみたら、これも沢山ヒットしました。でもハングルが読めないので中身はさっぱり分からなかったのでした。

おう! そうだ! Wikipedia には何と書いてあるか? と調べてみたら、これは殆ど日本版ウィキペディアと同じ内容で、日本の料理とされていました。日本人が訳したのでしょうか。なお、引用先を求められてはいるものの、日本版ウィキペディアにない内容として次のような記載がありました。

もともとこの料理は、チンギス・ハンが、彼の兵士たち効率的に供する食事の方法として13世紀に考案された。モンゴル兵は一同に集められ、大鍋を囲んで調理した。薄いスライス肉は短時間で調理するのに適しており、限りある燃料を節約できた。

やっぱり北京ではなくてモンゴルくさいです。
いったいモンゴル・中国・台湾・韓国・日本、どこが発祥の地なのでしょうか(少なくとも香港・広東でないことは確実だと思いますが)? それに、少なくとも台湾・韓国・日本はどの国でも shabu shabu と発音して(従って英語も)、相互に聞き取れるというのが驚きです。また、一般に「ウチが元祖」と言おうとするのが普通なのに、「ウチではない」と言い合っているような感じすら覚えるのも不思議です。実に奇妙な現象だと思います。

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2008年5月 6日 (火)

Shad

最近、shad という魚をスーパーマーケットの店頭で見かけ、買ってみました。レシピはオンライン検索で調べましたが、特別変わった調理法・味付けという感じではありませんでした。魚の調理法と言えば、だいたい sauté か broil か bake で、後はソースや rub で変化をつけると思えばいいようです。ウチではレモンバターなど結構気に入っていますが、そればっかりでは飽きるので、その都度色々変えてみます。

さて初めて shad を食べて見て、とりたてて旨い魚というイメージは持ちませんでしたが、小骨が非常に多く、日本で言うと鮎を大きくしたような感じかと思いました。さて例により、この shad を Wikipedia で調べてみました。

Family Clupeidae (ニシン科)の魚で、genus Alosa に属する魚。これまた例によって日本にはいない魚のようです。中でも American shad または Atlantic shad (A. sapidissima)が重要な魚のようで、昔は河口近くに張った網で、サーモンと一緒に捕られていたようです。とても美味な魚でソース等の味付けをしなくても十分旨いそうです。
昔は少量の酢を振りかけて食べたとのこと。東海岸では shad の卵が美味なので roe shad (雌の shad)が珍重されるそうです。

屋外で shad を焼いている写真がありました。こんな風に焼くんですね。
Shad1

この写真では、中央に焚き火を起こし、その周囲に板に括りつけた shad を配置して焼いています。日本の炉端焼き方式と似ています。

これとは別に、planking という焼き方があります。Plank とは単なる板切れなのですが、これを数時間水に漬けて良く水を吸わせた後、これに魚を乗せて、板ごとグリルの上に乗せて焼くという方法です。
Plank に魚を乗せたところはこんな感じ。
Shad2

それをグリルに乗せるとこんな感じ。
Shad3

板は良く水を吸っているので、直に火にかけても燃え出したりしません。その代わりブスブスくすぶるので、薫製の一方法と言うことが出来ます。
上で焚き火の周りに配置した焼き方も、括り付けている木が何らかの味・香を shad に付与するものと思われます。

さてこの planking、別に何の魚を plank しても良いのですが、特に shad を plank する場合は特別な意味があります。Shad を plank した料理は、Shad Planking と呼ばれますが、この “Shad Planking” は同時にお隣 Virginia 州 Wakefield で毎年4月の第3水曜日に行われるイベントのことも指します。

この Shad Planking とは、州知事候補者、ロビイスト、キャンペーン関係者などが一同に集まって shad を食べ、ビールを飲み、おおいに語り合い、政治家たちの演説を聞くイベントだそうです。

おおもとは政治に関係なく、1930年代、Paul Cox とその仲間が、Virginia 州 Isle of Wight County、Wrenn’s Mill で、単に釣りシーズンの始まりを祝うために 25人の友人を招待したのが発端のようです。南部で似たような会合に出たことのあった Cox は、予め James River で捕っておいた 15匹の shad を木材に乗せて直火におきました。この調理法は今でも使われているそうです。

1949年には Wakefield Ruritan Club がこのイベントをホストするようになりましたが、Dr. Nettle の提案によって、この shad planking が毎年の委員会に供されることとなりました。そしてこのイベントは段々と政治色の強い集まりになっていったようです。候補者が自分の旗色を伺ったり、逆に支持者が、どの候補者がどの程度支持されているかを見る場所になってきたとこのこと。

1960年代ころまでは、民主党はこの shad planking を時期州知事を選ぶためのイベントと位置づけていました。しかし Virginia が徐々に共和党優位になって来たのと同様、shad planking も共和党優勢になってきました。近年では Libertarian 党(米国第3党)を含む実在する全ての政党が出席するようになっています。

1949年当時の参加者は 300人程度でしたが、このイベントは春の訪れを告げるイベントとなり、参加者も年々増え続け、現在では 2000人以上だとか。なお 1977年以前は黒人・女性の参加が認められていなかったとか。

ところで ”sign war” という単語があります。Sign war とは、イベント会場の中や周囲を、プラカードや旗で埋め尽くして自分の陣営のアピールをするもので、こんなものです。
Shad4

現在、共和・民主各党の候補者選びが続いており、そのイベントでもこの sign war が見られますが、昨今のあらゆる政治イベントで sign war が行われています。この sign war で、旗やプラカードで埋め尽くされた状態のことを、業界用語で shad planking というそうですが、その理由は sign war が Shad Planking で始められたかららしい・・・

Shad そのものは広く分布しているようですが、Virginia を連想する魚のようです。

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2008年3月 6日 (木)

Kombucha

昨日の買い物の話は、実はまだ終わっていません。ゴマとゴマ油を買ったところまでしか書いていません。話には実は続きがあります。
そのローカルのオーガニックスーパーでは、頼まれたゴマとゴマ油の他、フリーズドライの味噌汁が意外に安かったのでそれを買いました。さすがに昆布茶はないだろうなーと思っていましたが、これがまた実に意外なことに、”kombucha” 各種があります。店に置いてあったものとはメーカーが異なると思いますが、だいたいこんなものです。

これが冷えた飲料コーナーに並んでいました。上のURLだと original、citrus、gingerade、multi-green とあります。以前は同じ場所に Ito-En のお茶各種(USバージョン)が並んでいました。それがなくなって kombucha に置き換わっていたわけです。気軽に飲めるお茶ドリンクが撤退させられてしまったなーと、日本人としてはやや残念でしたが、同時にそれに取って代わったのが昆布茶! と腰が抜けるくらい驚きました。そんなものがこちらで注目されるのか? 緑茶に替わって? と。ちょっと試しに買ってみようかと思いましたが、original は良いとして citrus だの gingerade だの? Multi-green は青汁みたいな味なんでしょうか? どっちにしてもちょっと「・・・」なので、買わずに当初予定通りに日系のお店に移動します。

日系のお店では、目論見通り昆布茶がありました。粉末または顆粒で、お湯に溶かして飲むアレです。東京にいた当時、昆布茶と言えば玉露園のコレでした。一時期飲んでいたこともありましたが、最終的には何だか塩味つきのグルタミン酸ソーダのような気がして敬遠していました。こちらでゲットしたのは違うメーカーでした。まあメーカーまで指定されていないし、そもそも頼まれたのは、本人がここで見つけたのにその時買わなかったからで、まさにコレを見てのことだったに違いないので、迷わず買いました。

しかし、コレを溶かしたものを冷やして売っているんだろうか・・・ と疑問に思ったので、Wikipedia で kombucha を調べてみて・・・ あ、あ、唖然・・・

Kombucha is the Western name for sweetened tea [昆布茶って甘かったっけ?] or tisane that has been fermented [発酵なんてしてたっけ?] by a macroscopic solid mass of microorganisms [微生物だと?] called a "kombucha colony," [昆布茶コロニー?] usually consisting principally of Acetobacter-species and yeast cultures. [酢酸菌に酵母?????]

・ ・・これって、もしかして紅茶キノコ・・・

読み進めると、確かに出てきました・・・

The word kombucha, while sounding Japanese to foreign ears, is a misnomer when applied to this beverage. In fact, Kombucha (昆布茶) in Japanese refers to a tea-like infusion (cha) (actually, more of a thin soup) made from kelp (kombu), usually served to patients in convalescence. The Japanese refer to live 'kombucha' as kōcha-kinoko (紅茶キノコ), which literally means black tea mushroom.

日本の昆布茶が病後の栄養補給に供されるとは初めて知りました(と言うより間違いでしょう)が、これはやっぱり紅茶キノコじゃないですか!!!

しかしまあ、紀元前 250年から存在していたとは・・・ 私は 1975年頃日本で流行したのを覚えていますが、本来そんな古いものだったんですか。しかしそれを商品にして売っているということ? 健康食品によくある例とて、antioxidant だのなんだの好きなことを言っています。日本では 30年以上前に流行ってとっくに廃れてしまったのに、こちらではまだそんなことを言って堂々と店頭に並んでいるのはちょっとしたオドロキです。

しかしそんなに古いものなら、どうして間違って日本語の kombucha などという名前がついてしまったのか・・・? 幾ら古いと言っても、Wikipedia を信用するなら、ずっと中国で継代培養されていたものが1800年代にロシア・ウクライナに伝わり、1900年代にポピュラーになったとのこと。このときの名前は Чайный гриб で tea mushroom という意味だそうですから、まさに紅茶キノコです。どうやら欧米に伝わったのはそれ以降で、その過程で kombucha と間違えられた模様です。

ちなみに英文 Wikipedia で kombucha を読み、そこにある日本版へのリンクをたどると、ちゃんと紅茶キノコが出てきます・・・ ちょっと安心。

いやー、面白いからと言って、昨日妙なモノを買わなくて良かった・・・

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2008年3月 5日 (水)

Sesame Oil

前にも書きましたが、東京にいた時分、日本食材はかなりこだわって選び、納得の行くもののみを買っていたのですが、こちらではそんなことが出来ないため、なるべく買わないようにしていました。しかし、よくよく考えて見れば、こちらでネイティブのアメリカ人が、日本ふうの料理をすることはあるわけで、そういう人たちのために、ごくごく普通のこちらのスーパーマーケットでも、醤油その他のメジャーな食材は、やはりごくごく当たり前に売られています。それは、日本人から見れば「そんなものは醤油ではない」というようなものから、「カナリ醤油と言って良い」ものまで色々あるわけですが、アメリカ人は「どちらが本物に近いか」などということは気にせず、自分の好みにあったものを選んでいるに違いないと思われます。みりんにしろ、味噌にしろ何でもそうでしょう。

日本在住のフランス人が、「そんなものはバゲットと呼ばない」というバゲットを日本人がウマイウマイと食べたり、日本在住の中国人が、「そんなものは中華ダシではない」と思う中華ダシを、日本人がどちらがウマいかと真剣に議論したりしているのと同じでしょう。

ならば、醤油にしろ何にしろ、「こだわれないから買わない」とか、「日系の店で出来る範囲でこだわって買う」のではなく、アメリカ人になったつもりになって、なるべくこちらのローカルなスーパーマーケットで、こだわらずに買うことにすれば良いと思い当たった次第です。その方がこちらの他の食材とも良くマッチしますし、値段も安く上がります。

前置きが長くなりましたが、昨日、妻から、仕事の帰りに日系のお店に寄ってゴマ・胡麻油・昆布茶を買って来て欲しいと頼まれました。

で、前置きに書いたような理由から、日系のお店に行く前に、ローカルのお店で揃うものは買ってしまい、それでもないものだけ日系のお店に買いに行くことにしました。少々値段は高くなりますが、オーガニックにこだわったローカルのお店では、ゴマ(白・黒とも)も何種類かありましたし、ゴマ油は、なんと unrefined、unrefined organic、toasted unrefined に refined と4種類も品揃をしているメーカーがあって驚きました。ゴマ油を refine するとどうなるのか、日本のゴマ油は refine してあるのだったか分からなかったので、refined と unrefined の用途を比較して見ると、refined は高温用(揚げ物?)、unrefined は中温用(炒め物用)と書いてありました。きっと unrefined は温度を上げすぎると風味が損なわれる成分を含有しているのでしょう。

日本におけるゴマ油の製法は、日清オイリオによると、「選別」→「焙煎」→「圧搾」→「ろ過」→「熟成」→「仕上げろ過」→「充填」という工程をたどるそうです。またウイキペディアには

生のままのごまを搾った食用油は「太白油」と呼ばれ、現在では高級油の扱いである

などの記載があります。これらのことからすると、一般に日本で「ゴマ油」というと、焙煎をしたものを指し、焙煎をしていないものを太白と呼んで区別するようです。太白は普通のゴマ油に比べると、はるかに薄い色をしています。

この「焙煎」は英語で言うとまさに toast で、上の4種類のうち1種類だけが toasted です。Toasted は日本のゴマ油程度の色がついていますが、他の3種類はすべて「太白」の色です。Wikipedia によると、この toast をしないゴマ油のことを、cold-pressed sesame seed oil と呼び、toast をしたゴマ油のことを、hot-pressed sesame seed oil と呼ぶそうです。そしてアジアでは hot-pressed がポピュラーだけれども欧米では cold-pressed が一般的だそうです。確かにそのようです。並んでいる商品の殆どが薄い色をしていました。

そして refine です。ゴマ油の refine についてちょっと調べてみましたが、どうも良く分かりませんでした。オリーブオイルの場合では、 refine は、virgin oil の強い風味と遊離脂肪酸を取り除くためにする化学的な処理のことを言うようです。そして、refined olive oil の方が extra-virgin olive oil や virgin olive oil より商品的価値が低く、EVOO や VOO には refined olive oil が含まれてはいけないのだそうです。ゴマ油の refine も同様の処理と推定されますが、オリーブオイルの場合と逆で、refined の方が値段が高いようでした。そして、refined sesame oil は、意外なことにマーガリンの原料なのだそうです。欧米では refined sesame oil を好むようです。逆に、どこにも明確に書いてありませんが日本・アジアでは unrefined が普通のように思えます。

昨日買ってきたのは toasted unrefined とただの unrefined で、それぞれ日本の普通のゴマ油、太白に相当するものと思われます。正解。

なお4つも品揃しているメーカーはここだけで、他は1~2種だけという感じでした。他のメーカーのものがどの sesame oil だったか忘れましたが・・・

Wikipedia には sesame oil の効用が色々と書いてありましたが、それには触れないでおきます。ところで sesame oil は南インド、中国、韓国でとてもポピュラーだけれども、調理油としては使われず、もっぱら料理の最後に風味付けとして用いられる(ピーナツ油と同じ)と書いてありましたが、これは本当でしょうか? 日本(特に関東)の天ぷらも殆どの場合ゴマ油を配合した油で揚げるのではなかったか・・・
昨日買った unrefined も、炒め物にどうぞと書いてありましたが・・・

Emeril Lagasse の “Chinese-Style Whole Fried Black Bass over Wok-Sauteed Bok Choy, Ginger, and Spring Garlic” の Bok Choy ソテー部分を見たら、sesame oil は確かに vegetable oil で炒めたあと仕上に使っているだけ。Ellie Krieger の “Sesame Stir-Fried Chinese Greens” も概ねそんなところです。あれれ・・・
ありゃー、日本のレシピでも、例えば陳建一の「大根とひき肉のちょい辛炒め」もそうですし、「麻婆豆腐」なぞにいたっちゃ、炒めるときはサラダ油、仕上もサラダ油です。

・・・認識を変えないといけないかも知れません。

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2008年2月22日 (金)

Cha Su Bao

ワシントン近郊のネットコミュニティで、セブンイレブンで肉まんを見たという書き込みがありました。日本のコンビニでは、冬になると中華まん用の保温器を置いて、何種類かの中華まんを常時蒸かした状態で置いてありますが、こちらではそんなことがあるはずがありません。そもそも中華まんなどというものがコンビニにあること自体が驚きなのですから。興味本位で行ってみると冷蔵の棚に、サンドイッチ等と並べて置いてありました。2個パックで2.99ドル。安くはないですがそんなモンでしょうか。

しかし、サンドイッチは冷たいまま食べてもOKですが、肉まんは冷たいままじゃイヤですよね。裏の表示を見ても、steam、oven、microwave それぞれの場合の direction が書いてあります。そのまま食べられないんじゃ、ちっともコンビニエントじゃありませんね。まあもっとも店の microwave で温めればいいのでしょうけれど。

さてこの肉まん、日本人は肉まんと呼びますが、英語の表記を見ると、”Cha Su Bao” とあります。何のことだかさっぱり分からなかったのですが、なんとこれ、「叉焼包」の中国語発音をローマ字で表したものだそうです。「肉」ではなくて「チャーシュー」なのですね。大変驚いてちょっと調べてみたら、何のことはない、日本でも「叉焼包」は珍しくなくお目にかかることが分かりました。筆者が知らなかっただけのようです。横浜の中華街・聘珍樓をはじめ、色々なブランドが出ています。食べたことがないのでどんな味かは知りません。通常のコンビニで売っている肉まんとちがうのでしょうか。また、関西の豚まんとも違うのでしょうか?

さてこちらの Cha Su Bao ですが、VAで作っているようです。そしてお味のほうは・・・ 一口食べてみて、「香港!」と思いました。日本の肉まんとは微妙に違います。少し味付けが濃厚と言うか、コクがあると言うか・・・

ちょっと考えて、なんだそうかと思いました。ラーメンが中華料理ではないのと同じ理屈なんですね。日本の肉まんは、確かに Cha Su Bao が原型でしょうが、Japanize された食品なのでしょう。そしてあんまんはありますし、ピザまんやらカレーまんなどのバリエーションもあります。日本の食べ物と考えるべきですね。
こちらの肉まんは、日本人がそれを見て、姿形がそっくりなので「肉まん」と認識するだけで、実際は肉まんの原型である Cha Su Bao そのものだったわけですね。しかしそれにしても良くセブンイレブンなぞに置いてあったものだと感心します。他に中華料理っぽいものなど一つもないのに、です。一体誰が買うのでしょうか・・・? いや、それよりもそもそも店頭に置いてみようと発想したのは誰で、何を考えていたのでしょうか? 実際、セブンイレブンの店員は、それが一体何なのか分からずに取り扱っているフシが濃厚です。別にそれでも一向に構いませんけれども。

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2008年2月19日 (火)

Egg

欧米では生卵を食べる習慣がないのは良く知られています。これは、単に文化・習慣の問題なのだろうと思っていましたが、調べてみると、必ずしもそうではないようです。生産~流通各段階における衛生への取り組みおよび法規制等の結果のようです。
卵による食中毒の筆頭は、サルモネラによるものです。このサルモネラへの汚染度が、日本は特に低く保たれているということのようです。行政の取り組みも、日本では生食を前提に組み立てられているが、欧米では加熱を前提に組み立てられているという違いがあり、従って生産・加工・流通業者もその前提での取り扱いとなっているというようなことです。でも具体的にどう違うのかは結局分かりませんでした。

ところで、養鶏場で産み落とされた卵には、当然土やフンがつきますよね。それが店頭では実にきれいな状態で並んでいます(日本でもこちらでも)。今までそれを、どのように実現しているのか、考えたこともありませんでした。日本ではこれを、GPセンターというところが担当しているということを今日始めて知りました。流通する全ての生卵がここを通過しているのかどうかまでは分かりませんでしたが、このセンターで、
洗卵→乾燥→検卵→計量→殺菌→選別→包装→検査→出荷
という工程を提供しているそうです。重要なのは、洗卵工程では次亜塩素酸を用い、殺菌工程では紫外線を用いていることです。

これにより、卵の外側の汚れおよび細菌を取り除いているわけですね。ただ、残存細菌数に関する基準等が、ネット上で発見できませんでした。サルモネラはニワトリの腸管に成育しており、フン経由で卵に付着するのが通常のルートですから、卵の外側を洗浄・殺菌してやれば、理屈の上ではOKのはずです。
そもそも卵というものは、1つの独立した細胞なわけですから、卵の殻の他、いくつかの生体膜が外界と内部とを遮断しており、サルモネラといえどもその膜をかいくぐって内部に侵入することは通常考えられません。
卵をいったんゆでてしまうと、放置すると腐るようになるのはこの膜が破壊されるからです。

The American Egg Board(アメリカ卵協会?)の説明によると、アメリカでも卵の洗浄・殺菌に関するレギュレーションはあるようで、特殊な洗剤を用いて洗浄するそうです。そして最終的に無味無臭のミネラルオイルでコーティングするのだそうです。

ですから、それでもたまに発生するサルモネラ中毒は、卵の外側に微量に残ったサルモネラが、卵を割る時に中身に混じってしまって発生するのだろうとばかり思っていました。しかも卵を割った後、室温でしばらく放置していたとか。サルモネラの doubling time は 20 分だそうですから、条件が整えば、2 時間で 64 倍にまで増殖する計算になります。牛丼店が、夏場は生卵のテイクアウトを受け付けない理由はここにあるのだと思っていました。

さてここからは上の The American Egg Boardの説明から流用します。なおこの協会は卵の普及促進のための組織なので、卵の安全性を特に強調している面はあるかも知れません。

サルモネラが卵表面につく可能性については上に記した通りです。しかし、ごく稀に内部に混入することがあるそうです。上にも書いたとおり、これは、卵に後から侵入するのではないようです。卵は、ニワトリの体内で、まず中身が出来て最後に殻で包まれる順序で作られますが、稀に殻で包まれる前の裸の白身と黄身の状態で感染することがあるそうです。そうすると見事に殻の中に閉じ込められてしまうそうです。こういうケースは、2万個に1個くらいの確率で発生するそうです。平均的なアメリカ人が 84 年卵を食べて1回出くわす確率だそうです。確率論というのは面白くて、2万個目に出くわすわけではなく、明日出くわすかも知れません。2万個食べて5回出くわす人もあれば、10万個食べて一度も出くわさない人もあり得ます。

まあとにかく、確率は 0.005% であるわけですが、その他にも色々サルモネラにとっては厳しい条件が待ち構えています。卵という細胞内には lysozyme がありますから、これがサルモネラを攻撃します。また卵白内はアルカリ性なので、サルモネラが必要とする栄養分が吸着され、及び/またはサルモネラが利用できない形にしてしまうそうです。そしてカラザは低水分なのでサルモネラの成育には不適な上、バクテリアからの保護物質に富んでいるそうです。カラザは最も重要な黄身を卵の中央に保って、バクテリアからの距離を保つ働きもあります。

結局、卵の衛生度について、日米で具体的に何がどれくらい違うのか分かりませんでした。日本ではバクテリア感染防止のため、ニワトリに抗生剤を与えているという話は聞きますが、真偽のほどは分かりません。安いブロイラーなどに関しては確かにありそうな話で、卵についてもありそうな話だとは思います。しかしそんな卵はなるべくなら食べたくありません。

ところで、こちらにはこんな製品があります。牛乳と同じような紙パックに入った液体状の「卵」です。卵から fat、コレステロール、カロリーを低減または除去し、ビタミン等を補った製品です。最初に見たとき、卵にまで no fat があるのか・・・と非常に驚いたのですが、もしかしたらバクテリア感染の面からも、これらの製品は意義があるのかも知れません。上記のウェブでは、どこを見ても殺菌済みという表示はないのですが、現物を見ると、pasteurized という表記があります。

こちらのバーでも、生卵を使うカクテル(Tom & Jerry、Egg Nog など)は、特別な扱いをしているようですが、上のような液卵で代替してもいいかも知れません。その方が便利ですし。

卵と言えばもう1ヶ月ほどでイースター。街にはイースターグッズが並び始めました。カクテルのこんなレシピを見つけました。

Easter Egg Cocktail
・1 oz blue curaçao
・1 oz white crème de cacao
・half-and-half
old fashioned glass にアイスキューブを入れ、リキュールを入れる。その上に half-and-half を浮かべる

というものですが、これがどうしてイースターなんだか分かりません。卵も使いませんし。まあそのうちやってみましょうか・・・

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2008年2月11日 (月)

Monkfish

先日、monkfish の切り身が安かったので、買ってきて料理することにしました。白身の魚なので(というより salmon 以外は白身の魚ばっかりです)、基本的にはソテーだろうと思っていました。そして仕上に lemon garlic butter でもかければいいかな、とも思っていました。
付け合せは何種類かの野菜を薄くスライスして炒め合せて・・・最終的にどうしようかな、と思いながら炒め始めたのですが、途中で中華の甘酢あんかけを思い出し、では洋風の甘酢あんかけにして、魚のソテーにかけてみようと思いました(後で調べたらまさにエスカベッシュ)。

魚自体にどういう下味をつけるか少々迷いましたが、seafood 用の出来合いのスパイスミックスを振り掛けることにしました。ソテーし始めて非常に驚いたのですが、火にかける前は2センチくらいの厚さで、10センチ×20センチくらいだったのが、幅と長さが一気に収縮してどんどん厚くなっていきます。これでは火が通らなくなってしまう、と慌ててひっくり返して、火を弱めて蓋をしました。最後は蓋を持ち上げるぐらいにまで厚くなったのには驚きました。幅と長さが半分くらいになり、厚さは7~8センチくらいになったのではないかと思います。

「あん」の方は white zinfandel と酢とハチミツを少々加え、塩・コショウ・カイエン・ガーリック・オニオン等で味を整え、水溶き小麦粉をちょっと振り入れてトロミをつければ出来上がり。

皿に盛って、ナイフを入れてみてまたびっくり。ものすごい弾力。長さ方向に筋肉繊維が走っていて、これが結構な抵抗です。これを、逆に幅方向に裂いてやれば簡単に裂けたかも知れません。

へー、monkfish ってユニークな肉質なんだなー、一体どんな魚なんだろうと思いはしたのですが、まあ普通の魚なんだろうと勝手に想像していました。

さきほどちょっと調べてみたら、何とアンコウ。大西洋北西部のアンコウ類を指すようですが、中でも genus Lophius を指すとのこと。大きいものでは5フィートになるものもあるけれども、3フィートくらいが普通だそうです。日本の Wikipedia によれば、北米ではアメリカンアングラー(アメリカアンコウ) L. americanus を食べるとあります。

日本ではキアンコウ(ホンアンコウ) L. litulon とアンコウ(クツアンコウ) Lophiomus setigerus を食すようですが、そのうちのキアンコウと同属ということになります。

しかし、昨日は食べていて、ユニークな肉質とは思いましたが、アンコウとは全く想像もしていませんでした。アンコウと言えば、鍋を神田のいせ源で食べた記憶があります。が、このときはアンコウ鍋のうまさもさることながら、あんきもの旨さに非常に驚きました。
何年か前の冬にはどぶ汁を食べに、わざわざ大洗まで行って食べてきました。

どちらの記憶でも、アンコウの肉というのは、鍋の中でとろとろになるように柔らかかったものと思っています。でも、今こちらのサイトを見ると、アンコウ鍋とどぶ汁は違うもので、アンコウ肉の食感も違ってくるとのことなのですが、もうちょっと記憶が分かりません。

でも、いずれにしても、あんなに筋肉質であったとは思えません。それとも肉の部位が違うのでしょうか・・・? それともやっぱり種類が違うから?

それと、こちらではアンコウはどうやって解体するのでしょうか。Wikipedia には特別なことは書いてなかったので、吊るし切りなどの変わった方法はとらないのでしょう。それと日本のように、柳肉(身肉、頬肉)、皮、水袋(胃)、キモ(肝臓)、ヌノ(卵巣)、えら、トモ(ヒレ)など「七つ道具」などはきっと食べないのでしょう。「肉は大味で、肉よりもその他の部位(七つ道具)の方が旨いとされる変わった魚」とのことですが、こちらではその肉だけを食べていることになるんですね。確かに、魚そのものが旨かったという風には思いません。

まあこちらでとても人気のある魚というわけでもないでしょう。スーパーマーケットで見かけることは稀ですし、ポンド単価も安いので、少なくとも高級な魚という位置付けではないものと思われます。ちょっとどんなレシピがあるのかと思って food network を見てみましたが、ほかの普通の白身魚と同じような料理法ばかりでした。ただの、白身魚の1つのようです。

英語でアンコウのことは、anglerfish というのだとばっかり思っていましたが、どうやら料理の世界では monkfish と言うようです。Wikipedia の anglerfish の方を見たら、monkfish の項よりはるかに多くの情報量が掲載されていて、面白い記載を見つけました。欧米では、「尾の身」が広く用いられるというものです。そしてその肉質と味から、ロブスターの「尾の身」と比較されることが多いそうです。非常に筋肉質だったのは「尾の身」だったからかも知れません。

そうと知っていれば、もっとその特質を活かす料理が出来そうです。次回からはもう少し考えよう・・・

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2008年1月28日 (月)

Storing Leftover

この数日、ワシントン近郊のネットコミュニティで、シチューなどを作った食べ残しを、鍋の中に入れたまま、翌日までキッチンコンロの上に放置するかどうか話題になっています。面白いことが話題になるものだなとは思いますが、これ、日本人が結構普通にやるところ、アメリカ人は決してやらないようです。アメリカ人はどうするかと言うと、鍋ごと冷蔵庫に入れてしまうようです。食べ残しは冷蔵庫へ直行という習慣が、食品の衛生上の懸念に基づくものなのか、キッチンはいつも整理整頓という美化意識なのか分かりませんが、とにかくそういうことのようです。日本人的には、レストランでの食べ残しを doggy bag で持ち帰る方が衛生上の問題があるように思いますが・・・

「鍋ごと冷蔵庫」でまず気になるのは、常温まで冷めてから入れているのだろうか、という点。まだ熱い状態で入れてしまうと、庫内の温度が上がり、本当に冷蔵状態を維持すべきほかの食品に悪影響が出るのは容易に想像できます。それと、鍋の中身が何であるかによりますが、におい移りが気になります。料理番組などを見ていると、「ではここで冷蔵庫に入れて2時間冷やします」などと言いながら冷蔵庫に入れるときに、ラップをかける人はいません。2時間冷やしたデザートがカレーの香りに出来上がったりしないのでしょうか(まあカレーを作るアメリカ人はいないでしょうが)?

言うまでもなく、これら2つの懸念を回避するためには、残り物はにおいの漏れない清潔な密封容器に移し、常温まで下がってから冷蔵庫に入れるのが良いに決まっています。この場合における懸念は次の1点です。密封容器に入れられた残り物が、常温まで下がり、冷蔵庫内で4゚C程度まで冷えるのにどれだけ時間がかかるか、です。なぜならば密封容器に移す際、確実に落下細菌を拾っているので、それが増殖してしまわないうちに4゚Cまで下げられるかがポイントだからです。

鍋のままコンロの上に放置する場合は、もっと深刻です。別容器に移す作業時の汚染の心配はありませんが、翌日まで常温以下に下がることがないので、最後に蓋を閉める時までに拾った落下細菌を一晩培養し続けるようなものです。まあ真夏でもない限り室温が 30゚Cを超えることはまれでしょうから、増殖のための至適温度範囲にはならないとは思いますが、冷蔵庫内とは雲泥の差があるでしょう。

大腸菌 Escherichia coli は食品中に検出されてはならない細菌ですので、例として用いるのは適当ではないかも知れませんが、以下に計算してみます。E. coli の増殖至適温度は 37゚C前後ですので、温度はこれを保つこととします。また、あり得ませんが培養液の量は無限大とし、常に対数増殖期が保たれるものとします。そして、世代時間(分裂して2倍になるのに要する時間: doubling time)は 30分とします。そうすると1個体の E. coli がどのくらい増えていくものか・・・

30分で2個体、1時間で4個体、1.5時間で8個体・・・。では 12時間では? 16,777,216 個体になります。24時間では 281,474,976,710,656 (2.81 ×1014)個体になります。36時間では 4.72 ×1021 個体になります。ここで E. coli の大きさを、直径 0.5μm、長さ 2 μm の円筒形であるとすると、36 時間時点での容積は 1853m3 になります。コンテナ船に用いるあの大型(40’)のコンテナ容積が、1台あたり 60m3 とすれば、コンテナ 31 台分です。ついでに東京ドームの容積は 124 万m3 だそうですが、これが一杯になるのは 40 時間 41 分 35 秒後で、48 時間後だと東京ドーム 25,000 個分です・・・
ちなみに 1ml の培養液で培養できる E. coli の個体数を 108 とすると、東京ドーム1つ分の E. coli を培養するに必要な培養液の量は、31.6 km3(316億トン) で、奥多摩湖 167 個分になります。

24 時間以降の話はともかく、12 時間時点で 16,777,216 個体ということは、鍋の中が1リットルあったとすると 1ml あたり 16,777 個体ですからまだまだ対数増殖期にあり、あり得ない話ではありません。この 16,777 個体という数は、もしそれが E. coli でなく一般細菌であったとすれば、食品衛生法上は OK ですが、多くの食品会社の自主基準を上回るレベルだと思われます。

実際には、落下細菌として E. coli が含まれる可能性は低く、また温度が 37゚Cに保たれることはなく、夏場でなければ 25゚C以下でしょうから、落下細菌にとっての成育条件は上の計算よりはるかに悪く、doubling time を仮に3時間とすれば、12 時間たっても 16 個体にしかなりません。1リットル中に 16 個体しか含まないとすれば、人間の口の中よりずっと衛生的ということになります。ですから温度が下がった後は、直接口をつけて味見をしたお玉を鍋の中に戻してはいけません。

日本人がほとんど抵抗なく鍋を一晩コンロの上に放置するのは、その後再加熱する前提だからです。O-157 が大問題になった後、75゚C1分という加熱時間の目安が随分知られるようになりました。これを利用して、食べ残しを1晩コンロ上に放置するまえに、鍋の蓋をしてから一旦沸騰させるという方法をとったことも何度かあります。火を止めた後、鍋の蓋を開けさえしなければ鍋の中は殺菌されたままなので、理屈の上では翌日になっても細菌の心配は不要のはずです(それでも食べる前には必ず再加熱はしますが)。75゚C1分ではなく 100゚C1分ということになります。理化学の実験ですとオートクレーブ 120゚C 30分というのが標準的です(これは殺菌と呼ばずに滅菌といいます)。レトルト食品はこの条件で処理されているのが一般的のようです。

日本で一般的な牛乳の殺菌条件は、120゚C2秒(UHT)だと思います。LL 牛乳だと 140゚C2秒が主流ですね。アメリカでは 72゚C 15-20秒(HTST)が主流のようです。これで賞味期限は2~3週間と妙に長いのに違和感を覚えます。日本の UHT で賞味期限が1週間~ 10日と短いのは、殺菌方法ではなく充填工程以降の問題のようです。が、こちらの牛乳、漏れていることが珍しくありません。プラスチック容器なのにです。ともかくそこで無菌が破れているわけです。いつも、そうなっていないものをじっくり選んでいます。それでも一旦口を開けてしまえば、そこから落下細菌が入りますので、冷蔵庫に保存したとしてもなるべく早く使い切るのが原則です。
なおフランスのカルフールで、ミルクを買おうと思ったら冷蔵コーナーになく、通路に山積みになっていたのには驚きました。常温保存可能な LL 牛乳だったんですね。

落下細菌に関しては、面白い実験をした方がいます。自宅にどんな細菌がいるか調べたものです。

http://trinity.blog.bai.ne.jp/?eid=32894

シャーレを自宅で2時間開放したけれども、コロニー数 1000 個以下だったとのこと。菌種は Micrococcus sp.Staphylococcus sp.Bacillus subtilis もいたとのこと。Micrococcus がいるんじゃ、やっぱり食品は腐りますね。Bacillus がいるのは驚きませんが、これはうまく使うと納豆が作れる?

この方の用いたシャーレの大きさが分かりませんが、90mmφとします。鍋の大きさは人それぞれですが、22cmφとしましょう。そうすると鍋の開口部の面積はシャーレのそれに対して約6倍にあたります。シャーレ2時間で 1000 個の落下細菌があったとすると、同条件で鍋でやれば約 6000 個の落下細菌があることになり、1時間なら 3000 個です。結構バカにならない数です。
こちらのミルク容器の開口部の直径は3cmφくらいですが、同様に計算すると蓋開放1時間ごとに平均 55 個ほどの落下細菌を拾うことになります。1分で約1個ですね。

でも、落下細菌を殆ど気にしなくてよい食品もあります。例えば食塩とか。スパイス類も気にしなくて良いでしょう。要するに、バクテリアが成育できないような塩分濃度が高いもの(味噌、醤油)や糖度の高いもの(ジャム)、また水分含量の低いもの(スパイス類)など。

他に落下による混入を気にすべき微生物として、カビがあります。カビはカビでまた厄介ですが、カビが問題になるのは数日以上放置する場合であって、今回は鍋を冷蔵庫に入れるかどうかという短時間の話なので、また別稿としましょう。

いつもは、そもそもなるべく食べ残しが出ないような量しか作らないようにしています。が、ターキー丸焼きなどは残らないようにという方が無理。かと言って Thanksgiving 後の数日間、残り物のターキーばかり食べるというのもイヤなので、初日の食べ残しは1食分ごとに分けて冷蔵庫ではなく冷凍庫に直行です。そして食べる前には必ず再加熱。

いやまあしかし、こちらはパーティ等と言うと、なんでまたというくらいの大量の料理を用意します。ちょっと家族が集まるなんというときもそうです。食べ残しが出ない程度の量しか用意しないと貧乏とかケチとか思われるのがイヤなのでしょうか。そんな日の夜中の冷蔵庫の中ってどんな状態なのでしょうか。ちょっと想像を絶します・・・

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2008年1月27日 (日)

Foods When Ill

この数年、おかしな症状の風邪を引きます。1日目、一日中全く食欲がありませんが、その日の症状はそれだけです。胃腸の具合でも悪いのかなどと思います。翌日早朝、非常に喉が渇きます。実際には渇いていないのかも知れませんが、とにかく水を飲むために何度も起きます。8時・9時と、実際に起きる時間になると、必要以上に水を飲みすぎたせいか、かなり激しい胃もたれに会います。それに起きようとすると、全身がだるくて仕方がありません。胃もたれはするのですがまだ喉が水を要求するので、仕方なく飲むと、舌の付け根あたりで、水が「チクッ」と沁みます。この沁みは、数時間で舌の付け根の近くの広範囲に広がり、もう痛くて水も飲めない状態になります。当然食事も何を食べても痛くて痛くて涙が出ます。流動食なら良いかとも考えますが、そもそも水がダメなので、基本的にダメです。薄味にしてもダメです。ただ不思議なのはこの風邪、症状はこれだけです。熱は殆どでず、咳・くしゃみもなく、鼻の症状もない。頭痛・関節痛なども一切ありません。ですので仕事には出られるのですが、食事をどうしたものか・・・

で、行き着いたのが「カロリーメイト」。液体状のものではなくバー状のものです。負担なくカロリーを摂取できる方法を探していて行き着いたのですが、このカロリーメイト、口に入れると、バラバラの細かい粉に分解し、それがそのまま喉を通過するので、沁みる部分への刺激がほとんどありません。パンなどはやわらかくて一見良さそうに見えますが、口の中で1センチ角くらいにはバラけても、それがそのまま沁みる部分へべったり刺激を与えますので痛いの何の。上の経験から類推しても、寧ろクッキーの方が随分マシでしょう。

こちらに来て、また同じ症状が出掛かりました。しかし何を買うべきか。ともかく痛くなくカロリーを摂取できる方法を確立したいので、カロリーメイトに類似した物性の Energy Barを探しました。Slim – Fast は、Unilever のダイエット食品ですが、そのうち “Muffin Bars” “made with Whole Grain” などと書いてある snack bar を選んでみました。裏を見ると、1本 34g のバーで、140 カロリーが摂取できます。2本も食べればご飯1膳半の実力です。実はまだ本式に舌の付け根が痛くなっていないので、これで本当に所期の目的が達せられるかは分かりませんが、味見がてら食べてみたところ、結構イケそうな雰囲気でした。

同じカロリー摂取の目的で、今度は上のように舌の付け根がともかく痛む風邪ではなく、普通の風邪で食欲がないときのために、栄養ドリンクを探しました。栄養ドリンクと言っても、リポビタンD のようなものではなく、朝食がわりに飲めば栄養が手軽に摂れるものです。日本ならお粥等を想定するところ、こちらでは chicken soup を飲むことは以前書きました
が、ダウンした時に自分で chicken soup を作るのは面倒ですし、缶詰も常備していなければ、その体で買いにいかなければなりません。ということで何か良いドリンクは、と探したところ、こんなのを見つけました。
http://ensure.com/products/index.aspx
買ったのは Creamy Milk Chocolate Shake です。別にどのフレーバーでも良かったのですが。さてこの実力、中々のものです。1本 237ml で、何と 250 カロリーです。電解質も一日所要量の 10% 以上入っていますし、各種ビタミンも同 25% ほど配合されています。こちらは用のないときに飲むには少々高カロリーなのでまだ試していませんが、おいしいでしょうか? 今改めて web を見て、何と Abott の製品であることに気づきました。さすが薬屋さん。しかしこれ、237ml という割には随分重いような気がしていました。今図ってみたら、280g ありました。容器の分はあるでしょうが、随分比重が大きいようです。かなりドロっとした性状なのでしょうね。

そして、風邪であってもなくとも、胃腸、特に腸の調子が悪いことがあります。蠕動運動の異常亢進や、その逆など。そんなとき、電解質を調整するのは基本的に良いことなので、常温のスポーツドリンクを飲むことがありました。こちらにはポカリスエットもアクエリアスもありません。その代わりに Gatorade (PepsiCo), All Sport (Monarch Beverage), Powerade (Coca Cola), Accelerade (PacificHealth Laboratories), Lucozade Sport (GlaxoSmithKline), Cera Sport (Cera Products) などがあることになっていますが、 Gatorade の一人勝ちのように思います。Gatorade は日本でも良く知られているので今更説明の必要はありませんね。日系の店まで行けば ポカリスエットや C1000 なども買えますが、やっぱり高い。中身がそんなに違うわけでもないので、Gatorade を常備してあります。

風邪を引いて胃腸の具合も万全ではないけれども、まだまだそれなりに食べられるときはどうするか? 日本だとうどんを作ったりしていました。こちらでもうどんを作れなくはありませんが、やっぱりどうしても味に不満が残ってしまうので、もっと手軽な方法に走ります。栄養バランスが良いとはとても言えませんが、とりあえず胃腸に負担が軽く、しかもカロリーを手軽に摂取する方法。インスタントラーメンの卵入り。インスタントラーメンはどこででも買えます。日本で売られている「ウルサイ」インスタントラーメンは日系のお店に行かないと買えませんが、「出前一丁」や「サッポロ一番」クラスの、昔ながらの日本式のインスタントラーメン(ただし味はアメリカ人向け)でよければ本当にどこでも買えます。ウチにあるのは Maruchan Roast Beef Flavor その他で、カリフォルニア・アーバインの工場で作られたものです。
1袋 380カロリーもあるので通常時にはなかなか手が出せませんが、風邪を引いたときはそれを口実に食べると妙に幸せだったりします・・・

やはり異国で体調を崩すのは、色々と不安なものですね。これも何度も経験すれば慣れていくのでしょうけれども・・・

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2008年1月25日 (金)

Chipotle

なんでこのネタを今まで書いてなかったか分からないほどアメリカに特徴的な素材がありました。それは、Chipotle。最初これの読み方が分からず、最後の “e” は、”title” の “e” のように読まないのかと思っていました。それにしても読みづらいスペルだなと思っていました。あとで ” chee-POTE-lay” のように読むことが分かったのですが、最後の “e” を “é” とか “ae” のように読むのは実に意外でした。

どんなものかと言うと、一言で言えば薫製にした jalapeño です。

さてこれは「アメリカに特徴的」とは書きましたが、元々はメキシカンの代表的な素材です。20世紀に入ってメキシカンがアメリカでももてはやされるようになりはしましたが、chipotle は最近までメキシコ内でのみ流通していたようなことが書いてあります。今では Mexican-American、Tex-Mex やメキシコ風料理にごく普通に用いられています。Food Network では Emeril Lagasse や Rachael Ray が多用しています。 Emeril は南部料理なので当然としても・・・ と書きかけましたが、いくら南部でも chipotle は Cajun や Creole の素材ではなかったはずです。Louisiana は hot sauce の有名なところで hot pepper は使いますが、chipotle を使うわけではありません。いや Emeril は chipotle より cayenne の方が多いかな? Rachael はNYの都会の家庭料理ですが、どこで覚えたのか・・・

Chipotle はメキシコ北部、Chihuahua 州の原産で、morita という品種の jalapeño から作られるそうです。ちなみに morita というのはスペイン語で blackberry や black raspberry を指すそうで、語源的には little purple one ということのようです。中部・南部メキシコでは chile meco、chile ahumado や tipico という品種を用いるようですが、これらは殆ど全てがメキシコ国内で消費されるとのことです。

さて jalapeño は、通常グリーンの状態で摘み取られ、出荷されます。確かにいつも野菜売場に jalapeño は置いてあります。年に何度も収穫されるそうですが、その年の最後のものは、収穫しないで実がなったまま土中に埋めてしまうとのこと。しばらくすると真っ赤に色づくので、それを収穫し、薫製窯に入れて数日間燻すと、実の水分はすっかり飛んで、パリパリに乾いた香ばしい chipotle が出来上がります。近年ではソーセージ等と同様、薫製液を用いる商業生産もなされているけれども、やっぱりそれらは味が落ちるとのこと。

メキシカンでは chipotle は、余りスパイシーでないけれども “earthy” なスパイスが欲しいときになくてはならない素材で、サルサなどに使われ、また他のスパイスと組み合わせて肉の marinade(adobo と呼ばれる)などにも用いられます。Adobo とは、chile、garlic のみじん切りに酢を合わせたソースまたはマリネです(タマネギ・トマトを加えることも多い)。
余談ですが、Wikipedia には、Adobo は Philippines の料理の意味もあると書いてあります。なんでも国民食だそうです。一般的にはポークかチキンかその両方を用い、醤油・酢・ガーリック、ベイリーフ、黒胡椒(粒)でゆっくり煮込んだ料理で、最後にオーブンかフライパンで焦げ目を漬けることも多いそうな。こちらのアドボは、相当昔にクッキングパパで覚えてからウチの favorite です。

Chipotle は、ウチでは粉末を常備しています。パスタでも何でもいいですが、トマトとベーコンが合わさったようなときにはつい入れてしまいます。ベーコンの燻り香はどうせ偽物でしょうけれども、これに何とも言えない薫製フレーバーが増強され、適度にスパイシーなのでかなり幸せ。他にも、カイエンを使う場面で chipotle に代えてみたり。

21世紀のアメリカではもう chipotle は完全にアメリカの食卓に定着してしまったようです。別の記事でも書きましたが、chipotle 入りの Monterey jack など数限りなくあります。

ところで、こちらには Chipotle というメキシカンファーストフードのチェーン店があります。これは全米展開している割には、とても評判の良い店です。最初にベースを選び、色々と中身を選んで行きます。ベースは flour tortilla、tacos、Romaine lettuce、なし(bowl)で、次に豆(pinto or vegetarian black beans)を選び、肉(chicken、steak、carnita、barbacore、vegetarian)を選び、サルサ(Fresh Tomato mild、Roasted Chili-Corn medium、Tomatillo-Green Chili medium、Tomatillo-Red Chili)を選び、最後にチーズかサワークリームを選びます。そういうわけで thousand ways などと言っています。この店のオーダーシステムは面白く、カフェテリアで前菜のコーナー、メインのコーナー、デザートのコーナー、飲み物のコーナーと順次進んで行き、最後にレジで精算するのと全く一緒です。最初にベースを指定すると、そのベースがカウンター内で次の担当に渡ります。そこで豆を指定してまた次の担当へ・・・とこちらも動きながら注文していきます。
評判に違わずとてもおいしいのですが、ちょっと量が多いのが珠に傷。昼に半分食べて夜残りを食べるというので十分。

最後に語源ですが、おおもとはメキシコの Nahuatl 語の “chilpoctli” で意味はそのものズバリ “smoked chile” だそうです(chil (="chile pepper") + poctli (="smoke"))。これが Mexican Spanish 流に chilpoctle や chilpotle と書かれて現在に至るとのこと。”l” が落ちてしまったということですね。

うーん、書いていて久しぶりに旨いメキシカンが食べたくなったな・・・

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2008年1月16日 (水)

Martini

こちらの料理番組では、食後のカクテルも作って見せることが少なくないです。そこでいつも気になっていたことが一つ。「今日は○○ Martini を作ります」ということが非常に多いのです。また、レストランに行って食後のカクテルメニューを見ると、”Martinis” というセクションがあって、10 だか 12 だかのメニューが並んでいたりします。

素朴な疑問。Martini にそんなにバリエーションがあるのか? いや。Martini には 500 幾つのレシピがあるなどという話を聞きます。日本における標準的なレシピは、ジン3に対してドライベルモット1のようです。この比率自体に無数の組み合わせがあるでしょうし、これをステアするのかシェイクするのか、オリーブを添えるかレモンピールを添えるか・・・ ビターズを加えるか加えないか。ジンとベルモットを冷やしておくかおかないか・・・

ベルモットの比率を下げるとドライになり、ドライにすればするほど「粋」だとか。
アメリカの標準的な比率はジン5に対してベルモット1だそうです。ヨーロッパでは 6:1 だそうです。チャーチルの Martini ではベルモットはビンを眺めるだけで中には入れないという究極のドライ Martini だとか(それはただのジンと言うのが正しい)。

が、上で沢山の Martini があるというのは、そういう話ではありません。Food Network から幾つか例を見てみましょう。氷以外の素材だけを書くことにし、作り方は書きません。

Espresso Martini by Giada De Laurentiis
4 shots espresso, 10 ounces vodka, 1/4 cup simple syrup, 1 tablespoon amaretto

Passion Fruit Martini by Sandra Lee
1 shot citrus vodka, 1 shot white cranberry juice, 1 shot passion fruit juice, 1/2 shot Cointreau

Lemon Cream Martini by Sandra Lee
Lemon drop rimmer, 2 shots vanilla vodka, 1/2 shot limoncello, Splash lemon-lime soda, Blueberries for garnish

Apple Martini with Sour Apple Hard Candy by Michael Chiarello
1 part vodka, 1 part sour apple Schnapps, 1 part apple juice, Sour apple hard candy, for garnish, Apple peel curl, for garnish

Apricot Vodka Martini by Bobby Flay
2 ounces mandarin orange-flavored vodka, 3 ounces apricot nectar, 1 tablespoon simple syrup, 2 to 3 dried apricots, soaked in mandarin orange-flavored vodka for 24 hours

Spicy Pepper Vodka Martini by Emeril Lagasse
12 ounces Pepper Vodka, 1 1/2 ounces dry vermouth, 1 fresh jalapeno, stemmed, seeded, and thinly sliced, or pickled jalapeno pepper slices

Jasmine Martini by Tyler Florence
1 cup sugar, 1 cup water, 2 strips orange zest, 1 handful pesticide-free jasmine flowers, plus more for garnish, 1/2 cup vodka, 1/4 cup Grand Marnier, 1 lemon, juiced

とまあこんな調子です。誰がどうみても Martini とは似ても似つかないレシピです。どうしてこんなものがみんな Martini と名乗っているのでしょうか? 確証はありませんが、確信を持った答えはこれです。「Martini glass で供するから」
そうなのです。シェイクしたりステアしたり色々ですが、最終的に Martini glass に注いで供するという点だけは全部に共通しています。
レストランの食後酒も同様です。あまり良い例ではありませんが、こちらはヒューストンにある Prive Lounge というバーの “Martini Menu” です。どこが Martini やねん! というものばかりです。もう完全に「Martini glass で供するカクテルのこと」という意味でしか使われていません。グラスの種類を特定することにどんな意味があるのでしょうか?

ところで日本語のウィキペディアでは、次のようなバリエーションがあると書いてあります。

ウォッカ・マティーニ(ウォッカティーニ):ジンの代わりにウォッカを用いたもの
スウィート・マティーニ:ドライベルモットの代わりにスウィートベルモットを用いたもの
サケ・マティーニ(サケティーニ):ドライベルモットまたはジンのどちらかを日本酒に置き換えたもの
ギブソン:オリーブの代わりにパールオニオンをデコレーションに用いたもの

同様に英語版 Wikipedia でも次のようなバリエーションが書いてあります。

Gibson:6cl (6 parts) gin, 1cl (1 part) dry vermouth, silverskin onion peel for garnish
Dirty martini:Vermouth に代えて、または vermouth とともにオリーブの漬け汁を加えたもの
Saketini:Vodka ベースの martini で、vermouth の代わりに sake を使ったもの
Soju martini:Gin、vodka の代わりに焼酎をベースにしたもの
Smoky martini:Gin に Scotch whisky を垂らし、lemon peel で garnish
Mexican martini:Margarita にオリーブの漬け汁を加えたもの
Pickletini:Vodka にピクルスの漬け汁を加えたもの
Appletini:Vodka に apple juice か apple cider か apple liqueur を加えたもの
Cuke or Cucumber Martini:Hendrick's Gin と dry vermouth を 15:1 で混ぜたもの

Gin を vodka に代えてしまうのはこちらではかなり一般的なようですが、そこに目をつぶれば、どれも Martini の原型は残っています。Martini グラスを使えば Martini というほど乱暴ではありません。が、現実にはそうなっています。このギャップはどう考えればいいのでしょうか。

こちらでは gin より vodka の方が好まれているように思われます。が、gin と vodka は客の好みでどちらを用いても良いと言うように自由に使い分けられているようです。Bloody Mary を頼むと、gin と vodka のどちらにするか? と聞かれることは少なくありません。日本なら Bloody Mary なら vodka に決まってるじゃん、と言いたいところです。東京で「きつね」を頼んだ大阪人が、「そばとうどん、どっち?」と聞かれて「そばに決まってるやろ」と思うのと近いかも知れません。

Vodka は gin より癖がないからか、上で書いた通り非常に多用されています。それと同時にフレーバー入りの vodka が実に多種流通しています。上の Food Network のレシピでも citrus vodka、vanilla vodka、mandarin orange-flavored vodka、pepper vodka などが出てきますが、実際にそういうものが大量に酒屋においてあるのはちょっと驚きます。プレーンな vodka にフレーバーだけ足すということではダメなのでしょうか。

枠にとらわれない自由な発想で色々なカクテルをどんどん生み出していくところはとても良いのですが、どうしても Martini と言う名前を使わないといけないのでしょうか・・・?

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2008年1月14日 (月)

Duck

今更と言えば今更なのですが、duck という英単語がどうも良く理解できずにいました。
以前の記事 chicken の中で、他の出典から「duck は飛べる鳥なので、(胸肉を含め)全部が dark meat」と引用しましたが、この duck はカモのことだろうと推測されます。しかしドナルドダックはカモではなくアヒルですし、北京ダックもアヒルでしょう。アヒルは飛べないので胸肉が dark meat かどうか知りませんが、もしかしたらニワトリのように胸の筋肉は退化して white meat になっているかも知れません。

昨日 duck breast を買って来て調理してみました。Duck breast は、見事な dark meat で、厚手の皮をつけたまま売られています。小さい画像ですがこんな感じ。

Duckbreast

これをこのまま調理すると、この皮からベーコンどころではないたっぷりの脂が染み出てきます。はっきり分からないのですが、この duck は、見事な dark meat であるところからすると、アヒルではなくカモ(しかも野生の)だと信じています。

しかし、野生のカモ肉は噛み切れないほどに実に身が締まっていると言いますので、野生ではないカモかも知れません。しかし、カモを家禽化したものがアヒルですから、野生ではなくてアヒルでもないカモっているのでしょうか・・・?

何が confusing かと言うと、日本語はカモとアヒルを区別するのに、英語では区別せずに単純に duck と言うからです。Wild duck という言い方はあり、これはほぼ間違いなく野生のカモのことを指していると思いますが、単に duck と言うと、アヒルかも知れず、(存在するとして)野生でないカモやアイガモかも知れません。
日本語で普通にカモと言えば、種としては家禽化されていないマガモ Anas platyrhynchos および比較的広範囲のカモ科 Anatidae の鳥を指します。とは言うものの、日本で通常鴨鍋や鴨南蛮に用いているのはマガモとアヒルの掛け合わせであるアイガモでしょう。まあ、カモの意味する範囲はマガモやアイガモであって、アヒルまでは含みません。

実は、マガモの英名もちゃんとあり、mallard と言います。でもこれは種の名称を示す単語ですから、通常の会話では用いないのでしょう。日本語で「昨日マガモを食べた」とか、「今日はクロマグロを食べに行こう」と言わないのと同じなのでしょう。もっともカモもアヒルも種としては mallard A. platyrhynchos なので、カモとアヒルを区別するのに用いようとしても意味はありませんね。

カモと言えば、game meat の代表選手です。ジビエの類は柑橘系のソースと合わせることが多く、これに St. Julien のワインを合わせるのがとても好きです。またカモと言えば confit (confit de canard)も思い出します。本場ではないかも知れませんが、Bordeaux で食べました・・・が、フランス語の canard も、実はカモとアヒルを区別しないようで、Bordeaux で食べたのがカモなのかアヒルなのか判然としません(ただし canard はどちらであっても雄。雌は cane だそうです)。一般的にはアヒルを用い、本当のマガモの場合は特に colveirt と呼んで珍重するという記載もあります。

なおカモやアヒルがどうして confit にされるか今回料理してみて良く分かりました。上に書いたとおり、ぶ厚い皮から大量の脂が取れるからです。「この脂に肉を漬け込み、控えめに加熱して保存食にしたのが原型」という説明が良く分かりました。

さて confit にされる鳥は、canard の他、ガチョウもあるそうです(confit d'oie)。ガチョウもまた少しややこしい。ガチョウは家禽化されたガンのことですが、そのガンとはマガン Anser albifrons を含むカモ目カモ科の水鳥の総称とのこと。ガチョウも種としてはカモ目カモ科ガン亜科 Anseriformes Anatidae Anatinae の鳥としか書いておらず、種としてはいくつか存在するようです。そして、英語の goose は(フランス語の oie も)、duck 同様、ガンとガチョウを区別しません。
ガチョウと言えば有名なのはフォアグラ。ガチョウに強制給餌して出来る「脂肪肝」(foie gras の直訳)がフォアグラですが、アヒルのフォアグラもあるとか。フォアグラを採ったガチョウの残りの部分はやはり脂たっぷりなので、それで confit を作ったという説明も make sense ですね。

話が逸れますが、フォアグラはガチョウ・アヒルに強制給餌するため動物虐待にあたり、世界各国で生産及び/または販売が禁止されつつあるというのは今日まで知りませんでした。その結果、2000年における世界の生産量 18,000トンの内、15,300トンがフランスで生産されているという状況になっていて、なんとアメリカでもカリフォルニアでは 2012年以降、州内でフォアグラの生産・販売が禁止される法律が可決済みだそうです。

英語はウシ Bos taurus を、性別・去勢の有無その他で cow, ox, bull, veal などと呼び分けるのに、どうして duck や goose はそんなに無頓着なのか不思議で仕方がありません。同時に日本語で区別しているのが不思議でなりません。日本語の語源を調べたら、「足広(アシヒロ)」だとする節が有力とありましたが、中国で作られた品種が輸入され、室町時代から飼育されていたともあります。日本人が自分で家禽化したわけではないため、輸入されたときに、それがカモと同一種の鳥とは認識されなかったので新しい名前がついたということなのでしょう。

それにしても、ちょっとしたスーパーマーケットに行けば簡単に duck が手に入るのは嬉しいですね。あれだけ脂が出る肉なので、夏になったら是非グリルしてみたいです・・・

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2008年1月 7日 (月)

Asian Mushrooms

以前キノコのことを書きました。そのときは portobello mushroom のことだけ書きましたが、実際にはスーパーマーケットのキノコ売場に行くと、他にほぼ必ずおいてあるのが、shiitake mushroom と oyster mushroom です。Food Network を見ていても、shiitake mushroom を使わないシェフはいないくらい広く浸透しています。Oyster mushroom はそれより浸透度は落ちるように思います。が、いずれもまだ自分では買って料理したことがありません。どんな感じなんでしょうか。

Wikipedia によると、shiitake mushroom は中国が原産で、しかし 1000年以上も日本・中国で成育してきたと書いてあります。中国における最古の栽培の記録は、宋の時代(960-1127)の "Wu Sang Kwuang(漢字表記不明)"によると書いてあります。うーん、ちょっとこれは疑わしい・・・ でも枯れ木にシイタケの胞子がどこからか飛んできて生えるのを待つという原始的な栽培方法ならあり得るかも・・・
日本における現在の人工栽培方法が確立したのは 20世紀のこと。
で、1982年までは日本の種類は、日本でしか成育しないと思われていたけれども、1970年代に Gary F. Leatham が論文を発表してからは世界中でシイタケが栽培できるようになったため、Dr. Leatham はシイタケ産業界では "Father of Shiitake farming in the USA" と呼ばれているとのこと。

だから恐らく shiitake mushroom がこちらのレシピに載るようになったのはこの 20年くらいのことなのでしょう。それにしちゃあ良く浸透してます。今日も Food Network の番組で、Sandra Lee が、shiitake mushroom は石づきをはずしてください。ここは食べません、と言ってました。処理方法まで良く御存知で(まあ石づきではなく stem と言ってたと思いますが)。
しかし流石に干し椎茸を戻してダシに使うというようなことはないでしょう。
ちなみに発音ですが、語尾の母音が "e" または "é" で終わる発音は英語には本来なく、どのシェフも「シイタケ」とは聞こえず、ほぼ「シイタキ」と聞こえます。

さてその shiitake mushroom のすぐ脇にいつも並んでいるのが、oyster mushroom です。

Mushroom_oyster

こんな形なものですから、日本で言うと何に近いのかな~、きっとマイタケだな、と思っていました。日本のマイタケは大変好物です。マイタケの天ぷらを食べるのが目的で群馬の水沢うどんの店に何回か行ったほどです。もっとも、ここで大量の客が注文して全員がありつけるわけですから、ここで使っているマイタケは、当然人工栽培モノのはずです。水沢から降りてくると、マイタケの栽培直売店などもあって、栽培中の様子が見られたりしますし。
まあ、そんな人工栽培モノでも、うまけりゃ結構です。マイタケの天ぷらの場合、マイタケ自体がうまいかどうかよりも、やっぱり天ぷらですから、衣の作り方・つけ方・揚げ方が勝負なのではないでしょうか。ですから一口にマイタケの天ぷらと行っても、何軒もある水沢うどんの店はみな味は違うでしょう。行ったことのある2軒だけでも明らかに違いました。

しかし、いくらマイタケが安く手軽に買えるといっても、天ぷらは職人芸ですから、自宅で自分でやろうとは仲々思いません。何度かやってみて、妻は喜んでいましたが、自分自身は全然納得していません。

で、こちらで oyster mushroom が安価で気軽に買えると行っても、ちょっと天ぷらをやる気にはならないし、合わせる酒が・・・ というわけで、買うとしても洋風の調理法だな、とずっと思ってました。今日あらためて、本当は何のキノコなんだろう・・・と思って Wikipedia を調べて見てびっくり。

Oyster mushroom はアジア原産で学名は  Pleurotus ostreatus。これに相当する標準和名は・・・ 「ヒラタケ」。そしてその栽培品が「シメジ」。えー、全然形が違うじゃありませんかって、日本にいたときもシメジはキノコの種名ではなく、種名としてはヒラタケだと言う話は読んだ覚えがありますが、そうは言ってもヒラタケの姿をちゃんと見たことがなかったので、それと oyster mushroom が同じものだとは気づきませんでした。今改めてヒラタケと oyster mushroom を見比べてみても、同一のキノコとピンと来るに至りません・・・

なんだ、シメジなら良く料理してました。炒め物とか。・・・む?

「ホンシメジ」の名で流通しているキノコは、シロタモギタケ属のブナシメジの栽培品である。スーパーなどで売られている「ホンシメジ」の袋をよく見ると、たいてい「ブナシメジ」と小さく書かれている。

・・・どっちだったかなー。特に区別せずごちゃごちゃに使っていたかも知れない・・・ まあ使い方や味を区別していなかったのなら、実質的に同じ材料と考えてもいいわけだから、それらと oyster mushroom とは同じ料理法にして良いわけですね、きっと。今度そういう前提でレシピを考えてみます。

Sandra Lee の今日のレシピは、非常に大雑把に言うと、

1) マッシュルーム、shiitake mushroom、oyster mushroom を刻む
2) フライパンにタマネギを1分ほど炒め、1)とガーリックとタイムを加え6分炒めて火を止める
3) 2)にクリームと刻んだチーズを入れ、塩コショウで味つけ、混ぜる
4) クラッカーに 3)を乗せ、オーブンでチーズが溶けるまで2分ほど焼く

というようなものでした。とてもおいしそうなレシピ、というのとは少々違う気はしますが、いずれにしてもこれは日本のシイタケやらシメジの延長線上には出てこないレシピですね。少し発想の転換をして使ってみようかな・・・

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2008年1月 5日 (土)

Clam

最近、seafood の店で手頃なアペリティフとしてオーダーするのが、steamed clam。Clam とは言うまでもなくクラムチャウダーのクラムなのですが、つい今日までそれが何の貝なのか意識していませんでした。
どうも日本でクラムチャウダーと言うと、入っている貝の身が比較的小さい印象があり、アサリ程度の大きさなのだろうと思っていました。アサリの水煮缶など買って来て、チャウダーのようにしたり、パスタに入れたりしていましたし、「アサリのクラムチャウダー」なるレシピがあったりしたからでしょう。

が、事情は随分異なるようです。Steamed clam を何度かオーダーすると、随分大きな貝が出てきます。長径7~8センチもあろうかと思うくらいの貝です。日本で言うならば、大振りのハマグリというところでしょうか。そこでまた調べてみました。

まず、Wikipedia で clam と引くと、「二枚貝のこと」と書いてあります。二枚貝の総称で、次のようなものが該当すると例示されていました。

The ark clams, family Arcidae
The nut clams, family Nuculidae
The pointed nut clams, family Nuculanidae
The duck clams or trough shells, family Mactridae
The marsh clams, family Corbiculidaess
The file clams, family Limidae
The hard clam or Northern Quahog: Mercenaria mercenaria
The Soft clam: Mya arenaria
The surf clam: Spisula solidissima
The ocean quahog: Arctica islandica
The Pacific razor clam: Siliqua patula
The giant clam: Tridacna gigas
Chink or Asiatic clam: genus Corbicula
Peppery furrow shell: Scrobicularia plana
Pismo clam: Tivela stultorum (8 inch shell on display in the Pismo Beach Chamber of Commerce)
Geoduck clam: Panopea abrupta or Panope generosa (largest burrowing clam in the world)
The Atlantic jackknife clam: Ensis directus

しかしながら、こと料理の世界に関しては、多くの場合 hard clam Mercenaria mercenaria を指し、場合によっては Soft-shell clams Mya arenaria も指すようです。

Soft-shell clam は、別名 "steamers"、"softshells"、"longnecks"、"Ipswich clams" などと呼ばれ、調理法としては bake、fry、clam chowder などが適するそうです。"Steamers" (steamed soft-shell clams)も New England の重要な料理だそうです。

そして hard clam ですが、こちらは成長段階で小さい順に
countnecks - littlenecks - topnecks - cherrystones - quahogs or chowder clams
と呼ぶそうです。分布は北米東海岸、Prince Edward Island から南はユカタン半島までだそうですが、中でも Cape Cod 及び New Jersey、lower Chesapeake Bay が重要な産地で、その他  "quahog country"(Rhode Island 州) の中央に位置する Rhode Island は、全米の quahog の年間水揚げの 1/4 を産するそうです。

日本とは異なり、この hard clam、生で供されることは珍しくありません。良く raw bar などで氷の上に置いてあります。日本でハマグリなどが「ビタミンB1を分解してしまう酵素アノイリナーゼを含むため、生食には向かない」とされているのと対照的です。調理する場合は、大きさによって少し向き・不向きがあるようです。

Littlenecks:貝殻ごとソースやスープ、シチュー、clams casino に使われるほか、南欧風シーフード料理でヨーロッパ種(cockleなど)の代用として用いる
Quahogs、chowders、cherrystones (堅い肉のもの):ミンスして、小さい貝や柔らかい肉のものと混合して用いる

ここで上に出てくる clam casino とは、次のようなものです。

1. フライパンでカリカリベーコンを作っておく
2. クラムをオーブンで軽く熱し、貝を開かせて肉を取り出し、ミンスしておく
3. オニオン、ペッパー、ガーリックをバターソテーする
4. パン粉、オレガノ、チーズ及び 1~3 を混ぜ、貝殻に戻し、オーブンで焼く

Wikipedia によると、クラムチャウダーとは、クラムとブロス(ブイヨン)を含むものを指すとあり、単純明快で結構です。が、クラムのほか、ぶつ切りのポテトも珍しくなく、またベーコンなど塩を使用した豚肉製品からの肉汁でソテーしたオニオンなどもポピュラーとのことです。Small carrot は色どり目的で入れられることもあり、またパセリも同様。ベイリーフで風味づけすることもあるが、その他の野菜は使われないのだそうです。

そして、クラムチャウダーの2大兄弟は、New England Clam Chowder と Manhattan Clam Chowder。前者はルーを用いてクリーミーに仕上げた白いチャウダーです。対して後者はトマトベース。発明は 1890年代で、当初は "Coney Island clam chowder" とか "Fulton Fish Market clam chowder" と呼ばれたけれども、1900年代に入って "Manhattan clam chowder" となったとか。
北部 Rhode Island では、紅白どちらのチャウダーも供するけれども、南部ではクリア(後述)と白チャウダーを供するとか。
そしてそれ以外の地域では、紅白どちらかのチャウダーしか供さないのが普通とか。

この2つのほかに、マイナーではあるけれども Rhode Island Clam Chowder というのもあるそうです。これはルーもトマトも入れずに、クリアなスープだそうです。Rhode Island 州南部や、Block Island の由緒ある New England ホテルやレストランでは今も供しているそうです。

日本でクラムチャウダーと言うと、明らかに New England style をイメージしていますね。でも先日 Manhattan style を食べましたが、中々イケました。それと、とあるレストランでやけに堅い steamed clam を食べたのですが、上に書いてあるように、本来そういう使い方をしない貝だったのでしょう。
それから、クラムチャウダーを食べて大きな貝をイメージしないのは、Littleneck クラスを使っている可能性が高いのと、仮に Quahogs クラスを使っているとしても、刻んで使っているからと思われます。

さて、知人にボストンのとあるレストランのクラムチャウダーの大ファンがいます。ボストンでなくても、先日ロックビルに来たときホールフーズでクラムチャウダーのテイクアウト(1リットルもあろうかというカップ)を買って来て、本当に幸せな顔をしていました。やっぱりアメリカのクラムチャウダーはおいしいのでしょう。

それはなぜ?

お決まりの答えですが、日本とは貝の種類が違います。上記の例示の中には、日本のヤマトシジミ Corbicula japonica、マシジミ Corbicula leana は含まれるものの、ハマグリ Meretrix lusoria、外房や鹿島などで取れる本来外来種のチョウセンハマグリ Meretrix lamarckii 、アサリ Ruditapes philippinarum などは含まれていません。逆に言えば、日本には hard clam M. mercenaria が流通していません。やっぱりチャウダーにするなら M. mercenaria でないと、ということでしょうか。逆に味噌汁にするならシジミでしょうし、酒蒸しにするならアサリでしょうか。焼きハマグリなんて醤油も手伝って最高です。

本当に北米東海岸、特に Prince Edward Island から Chesapeake Bay にかけてはウルサイシーフードとウルサイ素材がてんこ盛り。日本のシーフードも最高ですが、こちらはこちらで最高。まだまだ勉強しなくては・・・

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2007年12月26日 (水)

Oyster

カキが好きです。生ガキは冬の楽しみの一つです。東京にいたときは、わざわざ的矢から取り寄せたこともありました。的矢のカキを食べたのは、大学院生のときに三重県出身の研究生が実家から送って貰ったのを、到着後すぐに食べたのが最初でした。カキは水揚げからの時間が短ければ短いほどおいしく、このときもこのことを知っているその研究生が、うまく時間を見計らってアレンジしてくれたのでした。
それまでも生ガキは何度も食べていましたが、この時のカキは全く別物と言って良く、今まで食べていたのは一体なんだったんだ、と思いました。

実家にいたときは時々カキフライなどが食卓に上ることはありましたが、それが冷凍だったのかウチで衣をつけたのかは分かりませんが、申し訳ないけれども一度もおいしいと思ったことがありませんでした。広島に出張に行った際など、カキフライやカキの土手鍋などを何度かトライしましたが、これもおいしいと思ったことがなく、生ガキがカキを最も旨く食う方法だと確信していました。

が、同じ生ガキでもこうまで違うとなると・・・
しかし、日本ではカキと言えば普通はマガキ(Crassostrea gigas)を指し、あまりそれ以上産地を意識することはありません。まあ的矢以外だと宮城・広島あたりが有名ですが、的矢を食べてしまうとあとはどこでも一緒で、居酒屋でもスーパーでも、どうせ的矢であるわけがないので産地がどこかは殆ど興味がありませんでした。

カキ好きとしては、海外に出かけたときにオイスターバーがあるとつい入ってしまいます。そして、どうして日本にはオイスターバーがないのか、とずっと不思議に思っていました。しかし、2004年には新装なった品川駅に、NY のグランドセントラルのオイスターバーが入ったとか。その他五反田・目黒・新宿などにもあるようですが、行ったことはありませんでした。

海外で最初にオイスターバーを経験したのは、なぜか香港だったと思います。香港のビクトリアピークにあるレストランで景色を見ながら・・ このときは「何でも、Kumamoto という品種がうまいらしいと」ということを知っている同行者がいて、Kumamoto を食べました。筆者はそれまでカキの品種などということを考えたこともなく、カキって品種があるのか~と思ったものです。
しかし夏の香港で生ガキを食べるのはちょっと抵抗がありました。日本では夏に生ガキなど食べませんし。が、外国では夏でも生ガキを食べるんだな~と思いました。が、ちょっと調べてみると、ここで供しているカキは全部輸入もの。そりゃ夏の香港の地元産の生ガキはちょっと・・・

何年かして NY のグランドセントラルのオイスターバーに行きました。ここで驚いたのが、カキの品種の多さ。メニューにズラっと並んでいます(今日のメニューをオンラインで見たら、28 種類ありました)。Kumamoto もありますが、知っているのはそれだけ。結局お勧めを3種類、2つずつ注文しました。何という品種か覚えていませんが、カナダ産の何とか言う品種が、非常に生臭く(というか表現のしようがないフレーバー)、流石にこれはダメだと思いましたが、とにかく品種によって非常に味が違うということが実感できました。品種によって値段も違いますが。

これは日本では経験できないことです。仮に日本にオイスターバーがあって、日本の有名どころのカキをたくさん揃えていたとしても、こんなに味が違うということはないでしょう。

オイスターバーでなくても、ちょっとウルサいシーフードレストランだと、カキは数種類おいてあります。ようやく最近メジャーなカキの名前を覚えかけてきたところですが、体系だって調べたことがありませんでした。

少し調べておかないと、今後困るので、調べてみました。でも今回はいつもお世話になる Wikipedia にカキの品種に関する情報がなかったので、
http://www.cuisinenet.com/digest/ingred/oyster/types.shtml
http://www.thenibble.com/reviews/main/fish/seafood/oyster-glossary.asp
などを参考にしました。

まず、アメリカには oyster として、種としては6種類あるようです。

Ostrea edulis: European oyster, flat oyster
Ostrea lurida: Olympia oyster
Crassostrea virginica: Atlantic oyster, Eastern oyster
Crassostrea gigas: Pacific oyster, Japanese oyster
Crassostrea sikamea: Kumamoto oyster
Crassostrea angulata: Portuguese oyster
(コロンの後に書いてあるのが一般的な英語名)

なお Kumamoto を Japanese に含める場合は5種になります。また、Olympia は絶滅に近く、もう食卓には上らないそうです。では Olympia と、殆ど見かけない Portuguese 以外の4種類について書きます。

O. edulis
カキを食べるなら R の着く月というのは、もともとこの種のことだったのかも知れません。夏場は産卵期のため、おいしくなくなるのだそうです。この種は特にフランスでは Bélon と呼ばれるようですが、これはワインやチーズと同じく AOC システムが適用されていて、南 Brittany 地方産のものしか名乗ってはいけないようです。Maine 州で Belon という名前のカキがありますが、そういうわけでこれはチョンボだそうです。

アメリカで普通に見かけるカキは、種としては次の3つのうちどれかです。

C. virginica
Atlantic oyster 等と呼ばれる通り、東海岸のカキです。北は Prince Edward Island から南はメキシコ湾まで分布するそうです。そして、成育場所によって実に味が違うので、virginica とひとまとめにせず、主として取れる場所の名前がつけられています。ちょうど「的矢ガキ」などと言うように。
後にローカルネームの一覧表を載せておきます。
一般論では、北に行くほど身がしまっていて、生食に適するとのことです。通年で食用可ですが、やはり夏場は北部産でも味が落ちるという人もいるようです。
地元ですと Chesapeake Bay というのがあります(バージニアになっていますが)。昔は、Chesapeake 湾はカキの宝庫で、浅瀬では舟が航行するのに危険なほどだったそうです。しかし乱獲により、現在ではピーク時の1%くらいの漁獲量しかないそうです。それにしても、夏場の Chesapeake 湾のカキは、ちょっと食べたい気がしません。
なお Totten Inlet はワシントン州のカキですが、この種類です。きっと東から持って行って養殖しているのでしょう。

C. gigas
Pacific oyster 等と呼ばれる通り、西海岸のカキで、種としては日本のものと同一です。
説明によると、幾つかの例外を除き、生食には向きにくいとのこと。12インチにも成長するため、half shell にするには大きすぎて硬すぎるとのことです。・・・そうかなあ? イワガキならともかく、12インチのマガキなんて日本では見たことがありませんが・・・
やはり一覧を載せておきます。

C. sikamea
C. kumamoto とも言うらしい。前述のとおり C. gigas の1 variant とする場合もあるらしい。種の中を産地によって区別するようなことはありません。オレゴンでもカリフォルニアでもさほど味は変わらないのでしょうか。
その名の通り日本の熊本原産だそうで、アメリカでは西海岸のカリフォルニア~ワシントン州でのみ成育するという話と、メキシコ湾からカナダ・British Columbia までという話があり、どちらが正しいか分かりません。でもとにかく、この C. sikamea、海外での評価は非常に高いですし、実際食して見るとおいしいカキなのですが、日本ではさっぱり知名度がありません。不思議に思っていましたが、今こちらでその辺の経緯を見つけました。日本国内でも復活を目指しているとか。筆者が日本に戻るころには市場でみかけるようになるでしょうか?

== C. virginica の産地別呼称 ==
Apalachiola, from FL
Blue Point, from Long Island, NY
Box, from Long Island, NY
Bras D’Or, from Cape Breton, Nova Scotia
Breton Sound, from Breton Sound, LA
Cape Ann, from Nova Scotia
Cape Breton, from Aspy Bay, Nova Scotia
Caraquet, from Caraquet region, New Brunswick
Chesapeake Bay, from Chesapeake Bay, VA
Chincoteague, from VA
Cotuit, from Nantucket Island, MA
Island Creek, from MA
Lynnhaven, from Virginia Beach, VA
Malpeque, from Malpeque Bay on Prince Edward Island
Patuxent, from Patuxent River, MD
Pemaquid, from ME
Pine Island, from
Pugwash, from Pugwash Point in Nova Scotia
Salutation Cove, from Prince Edward Island
Totten Inlet, from Puget Sound, WA
Wellfleet, from Cape Cod in MA

== C. gigas の産地別呼称 ==
Barron Point, from Skookum Inlet, WA
Cortes Island, from British Columbia
Elkhorn, from Willapa Bay, the Elkhorn
Fanny Bay, from Fanny Bay, British Columbia
Hama Hama, from Hama Hama River WA
Imperial Eagle, from Vancouver Island
Malaspina, from Canada’s Sunshine Coast
Pearl Bay, from Pearl Bay, Canada
Royal Miyagi, from British Columbia
Samish Bay, from
Steamboat, Sunset Beach, from Puget Sound, WA
Yaquina Bay, from Yaquina Bay, OR

== その他のカキ ==
Bélon (O. edulis), from southern Brittany, France
Marennes (O. edulis), from Marennes-Oléron, France
Mountain Island (O. edulis), from Blind Bay, Nova Scotia
Kumamoto (C. sikamea), from CA, OR and WA
Olympia (O. lurida), from Washington Sound, WA
Portuguese (C. angulata), from Spain

さて日本では近年秋~冬にノロウイルスが流行するようになりました。生ガキによるノロウイルス感染が良く心配されますが、実際には感染報告例はないそうで、良く管理されていることの現われだと思います。厚労省は二枚貝は85゚C・1分以上の加熱(特に内蔵)を推奨はするものの、特に生食を規制するわけでもないというスタンスのようです。日本から生ガキが消えたら悲しいですよね。
こちらでは特にノロウイルスを心配する向きはありませんが、その他の病原微生物や貝毒の心配は普通にあり、「絶対に危険ということもないけれども絶対に安全ということもない」などと言われているようです。

さて少し勉強したので、今度は実際に色々食べてみて、Kumamoto 以外にも好みのカキを見つけよう!

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2007年12月24日 (月)

Chicken Soup

つい最近まで全く知りませんでしたが、風邪をひいたときのこちらの療養法は「チキンスープを飲んでゆっくり休む」のだそうです。家庭でも、仕事場でもそう言われるそうです。
アメリカ人の男性と結婚したある日本人女性の方は、風邪をひいたときに夫が缶詰のチキンスープを温めて持ってきてくれたけれど、やっぱりお粥の方が良いと思ったそうです。そのアメリカ人男性は、チキンスープの方がタンパク質が豊富だから良いと言っているとか。

これも文化の違いの一端を表していて面白いな~と思いました。

確かに、真の意味での風邪の治療薬は世の中にありません。そんなものが出来たらノーベル賞ものと今でも言われています。
しかし風邪の病原微生物の種類をきちんとつきとめさえすれば、根本療法は存在することがあります。風邪の8割は病原微生物はウイルスだそうで、ウイルスの種類をきちんと特定し、それに有効な抗ウイルス剤があれば、それを投与することによって根本治療は可能です(でもウイルスを検査で特定している間に自然治癒してしまうかも)。
日本で風邪をひくとあたりまえのように処方される抗生剤は、バクテリアに対して有効ですがウイルスに対しては無効です。しかもバクテリアに有効とは言っても全部のバクテリアに対して有効なのではありません。ウイルス以外の残り2割はマイコプラズマ、クラミジア、バクテリアだそうですが、病原微生物が、服んだ抗生剤が有効なバクテリアである可能性はどれくらいでしょうか・・・ もちろん感染したバクテリアによって症状が違うので、抗生剤をデタラメに処方しているわけではありませんが、それでも打率は必ずしも高くありません。
おまけに風邪の真犯人ではなく、たまたまそこにいた別種のバクテリアに対して耐性獲得のチャンスを与えてしまったり、また、真犯人に有効な的確な抗生剤だったとしても、根治する前に服薬中止してしまって、やはり耐性獲得のチャンスを与えてしまうなど、いろいろ問題があります。

一方、根本治療ではなく、症状を押さえるだけの薬もいろいろあります。解熱剤、消炎鎮痛剤・・・
しかしこれも、いかがなものかという面があります。喉が痛い、関節が痛いといっても、それは体が本来持っている免疫システムがきちんと機能している証拠。それを消炎剤で押さえてしまっては病原体をアシストしているの同じこと、という面があります。解熱剤も同じです。
ただ、一定以上熱が上がるとそのことによる障害の危険度も増してくるため、そういう場合には熱を下げることが優先されるのはもちろんです。

結局、病原微生物が特定されたり、症状がよほどひどくない限りは、暖かくして栄養と水分を十分に摂って安静にしているしかない、ということになります。このことは洋の東西を問わないようです。

で、そのうちの「栄養補給」に関して考え方が微妙に違うのが面白いと思ったわけです。補給する栄養が、日本の場合は炭水化物(お粥)、アメリカの場合はタンパク質(および脂肪)(チキンスープ)というわけです。ちなみにどちらも水分補給という面でも意義がありますね。またどちらも消化器への負担が少ないという点でも共通しています。

さて風邪のときに補給する栄養はどのようなものが良いでしょうか。単純にエネルギー源という意味では、どちらでも良いのではないでしょうか。単位質量あたりのエネルギーという意味なら脂肪が最も優れていますので、食欲がなくて 30gしか食べられないというのなら脂肪という選択肢はあるかも知れません。リトアニアの名物ツェッペリンを思い出します。ただ普通は、そんなヘビーなものを食べたくないと思うでしょうけれど。脂質の代謝は、まず脂質がグリセリンと脂肪酸に分解され、その脂肪酸がβ酸化を受け、出来たアセチル CoA が TCA 回路に投入されてエネルギーになるという、かなり長い過程を必要とするため、時間がかかるイメージがあります(実際どのくらいかかるのかは知りませんが)。

タンパク質は、エネルギー源でもありますが、タンパク合成の材料であるアミノ酸を得る手段という側面が強いので、タンパク合成が盛んなのであれば、摂取する意義はあります。風邪をひいていれば、免疫系が活発に活動しているでしょう。抗体産生もあるでしょうし、細胞性免疫が機能する上でもタンパク合成は不可欠でしょうから、適度に摂取する必要はあるでしょう。ただお粥にタンパクが全く含まれていないわけではないので、風邪の数日だけならお粥だけでもいいかも知れません。玄米粥ならなお良いでしょう。

炭水化物は典型的なエネルギー源で、脂質に比べて消化も早いので、運動・仕事前の腹ごしらえには向いています。当然風邪の栄養補給にも意義があります。ただ風邪の場合は、じっと寝ているだけなので、消化が多少遅くてもさほど決定的な問題にはならないので、時間という観点で脂肪より炭水化物の方が良いということにもならないでしょう。

エネルギー補給のほか、当然ビタミン類も補給する必要があります。

そういう観点からすると、チキンスープよりお粥の方に分がありそうに思えます。
さてそのチキンスープとは、実際はどんなものなのでしょうか。ちょっと調べてみました。下は Dr. Stephen Rennard という人の "Grandma's Soup" のレシピです。

1 5-6 lb stewing hen or baking chicken
1 package of chicken wings
3 large onions
1 large sweet potato
3 parsnips
2 turnips
11 to 12 large carrots
5 to 6 celery stems
1 bunch of parsley
Salt and pepper to taste

(turnip はカブだと思ってください。parsnip は類似のものが日本にはありませんが、白いニンジンだと思ってください)

チキンを鍋に入れ、水を注ぐ。火にかけて沸騰したら、手羽、オニオン、スイートポテト、parsnip、turnip、ニンジンを入れる。1.5 時間ほど煮込む。表面に浮かんでくる脂分は除去する。パセリとセロリを加え、さらに 45分ほど煮込む。
チキンを取り出し、野菜類をフードプロセッサにかけるか、目の細かい濾し器で濾し、塩・コショウして出来上がり。
(取り出したチキンは chicken parmesan にすると良い)

だそうです。使うチキンを stewing hen と限定しているところが狩猟民族だなと思います。それはともかく、チキンスープがタンパク豊富というのは、実は嘘だということが分かります。チキンは出汁にしているだけで、チキンのタンパクは、ゼラチン質等以外はスープに溶け出してこないと思われます。実際に摂取するのは、5種類の根菜類とセロリとパセリです。チキンから出てくる脂肪も、表面に浮いたやつは捨ててしまいます。野菜を食べるのはいいことですが、2時間も煮込んでしまってはビタミン等は破壊されているのでは? またエネルギー源として有用なのは sweet potato くらいでしょうか? これならお粥の方が良さそうに見えます。

ところが、日本ではお粥は主としてエネルギー源(栄養補給)と考えられるのに比べると、こちらのチキンスープは単なる栄養補給ではなく、治療効果を期待しているフシがあります。

"Chicken Soup: Nature's Best Cold and Flu Remedy? " というページによると、12世紀に Moses Maimonides という医師が最初にチキンスープが風邪に良いと記し、近年いくつかの研究がなされているというのです。ことの真偽はともかく、以下面白いのでかいつまんで記します。

実際のところ、湯気が良いという人もいる。スープを飲むときに吸い込む湯気が、鼻のつまりを解消するとか。

それなら、ただのお湯でいいのでは?

UCLA の Irwin Ziment 教授は、チキンスープには、チキンから出てくる成分で、風邪の治療薬に類似のものが含まれていると言う。例えば、気管支炎その他の呼吸器用薬であるアセチルシステインに化学構造が似たアミノ酸が含まれている、と。

それなら、アセチルシステインそのものを服薬すればよいのでは?

ガーリックやペッパーは古来から呼吸器疾患に用いられており、これらが良いとか(粘膜を薄くし、呼吸を楽にする)。

それなら、ガーリックやペッパーそのものを食べれば?

ネブラスカ大の Stephen Rennard 教授によると、チキンスープには消炎効果があるとか。白血球(好中球)の抑制効果があるとのこと。咳や鼻づまりなど風邪の諸症状は、好中球が気管に移動し、そこで堆積することで引き起こされる炎症だから、これを押さえれば症状が緩解するという話。

同教授は、彼の夫人の Lithuanian grandmother のレシピで作ったスープで検証したところ、このスープで処理した好中球は、集積する傾向は弱くなったものの、抗菌作用は低下しなかったとのこと。スープを 200倍に薄めても効果はなくならなかった。

おー、これは何だか少し漢方っぽいですね。スープ中のどの成分という話になりそうなところですが、そういう方向には研究が行かず、下記のように別のスープでは? と考えたところが面白いです。原著を読んでいないので分かりませんが、「200倍に薄めて」というところから、恐らく in vivo か何かで実験したのかと思います。しかしこの手の研究は、本来 p.o. で投与して血清中に出てきた成分を用いるなどの工夫が必要です。

それはさておき、上に記したレシピはこの grandma soup のレシピです。

同教授は、自分のうちのレシピでも試してみたが、やはり効果はあったとのこと。さらに、市販のものも試してみたら、それなりに効果はあったとのことで、試したものを有効な順に並べると、

Knorr's Chicken Flavor Chicken Noodle
Campbell's Home Cookin' Chicken Vegetable
Campbell's Healthy Request Chicken Noodle
Lipton Cup-O-Soup, Chicken Noodle
Progresso Chicken Noodle
Grandma's Soup
Health Valley 100% Natural Chicken Broth
Healthy Choice Thick and Heart Country Vegetable
Progresso Hearty Vegetable and Pasta
Campbell's Vegetarian Vegetable
Campbell's Vegetable Soup with Beef Stock
Health Valley Fat Free Garden Noodle
Cup O' Noodles, Oriental Nissin
Campbell's Ramen Noodles, Chicken Flavor

だそうです。ただし、実験回数が少ないので、確証を得るには至っていないとのこと。

まあどれも、おなじみのものばかりです。殆どは缶詰のものですが、上から4つ目のものは、お湯を入れて作る粉末スープで、手軽なので毎日オフィスで飲んでいます。風邪の予防になる?

もうひとつ別のレシピ。

[Sickbed Chicken Soup]

1 large chicken
1 white turnip, peeled and cut into medium chunks
1 yellow onion, cut into chunks
2 parsnips, peeled and cut into slices
3 carrots, peeled and cut into slices
4 stalks of celery, cleaned and cut into strips/pieces
5 healthy pieces of fresh dill or at least the flower part of one stalk

全部を鍋に入れて 3/4~1ガロンの水を入れる。火が通るまで茹でる。チキンは骨を取り、冷蔵庫に入れて脂肪分を除去する。

先日、妻が風邪を引いて食欲があまりないというときに、お粥は作りませんでしたがインスタントラーメンを作りました。普段はカロリー過多・脂肪過多になるので決して近寄りませんがこういうときは別。大義名分がないと食べられないジャンクフードですが、これがまた結構好きです。たった1杯で体重が1キロ近く増えました。
チキンスープも結構ですが、毎日飲んでいる野菜スープと大して変わらないような気が・・・
今度風邪をひいたら何を食べようか・・・ って、本来はひかないようにどうするかが問題です・・・

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2007年12月18日 (火)

Sushi Rolls

日本では行く寿司店と言えば東京の○○、伊豆の××のみと決めていました。決めたというよりもこの2店があまりに旨いので他に浮気することなど考えなかっただけです。
これらの店の寿司とは全く違うカテゴリーの sushi like cuisine として回転寿司があり、これには時々行きました。回転寿司と言っても都内では面白くないので、外房の海沿いなどです。
この、本格寿司店と回転寿司の中間に位置する、ふつうの寿司屋(商店街や住宅街などにある)には足を踏み入れることはありませんでした。

ちょっと比較が適切ではないかも知れませんが、本格ラーメン店のこだわりラーメンは、旨ければそれが一杯 800円でも 1200円でも食べるし、逆に1袋 50円のインスタントラーメンも食べるけれど、一杯 500円の中途半端な中華食堂のラーメンは食べないという感じでしょうか。

あるいは、本格インド料理店の 1600円のカレーは食べるし、カレースタンドの 380円カレーも食べるけれど、定食屋の 700円カレーは食べないというようなところでしょうか。

どうやら DC エリアでは、寿司に関してはこの「ふつうの寿司屋」が精一杯のようです。ZAGAT で1・2を争う、評判の良い寿司屋でだいたいこの程度と考えてよさそうです。NY に行けば多少は事情は良いと思いますが、それでも冒頭の○○や××には遠く及びません。

が、sushi を提供している店は DC エリアでも本当に多いのに驚きます。日系の店だけでなく、Korean restaurant や Chinese restaurant でも極めて普通に sushi あるいは sushi bar を置いてあります。あるいは非アジア系の経営になる local sushi shop も少なくないものと思います。

当然のことながら、これらは、日本人が日本の寿司と比較したら「ふつうの寿司屋」にすら遠く及ばない内容です。かと言って回転寿司と同等クラスともいえないので、通常筆者はこの手の店の sushi を食べることはありません。Sushi を置いている Korean restaurant に行く事があっても、プルコギやカルビ、チゲやらチヂミなどを食べるわけで、sushi を注文することはありません。

が、それはまあ置いておいて、今ここに何軒かの Chinese restaurant のメニューがありますので、その中の "roll (maki)" セクションをみてみます。

店 A
Crabmeat Roll, California Roll w/o Roe, Salmon Roll, Salmon with Avocado Roll, Salad Roll, Shrimp Roll, Eel with Cucumber, New York Roll, California Roll, Tuna Roll, Spicy Tuna Roll, Philadelphia Roll, Flying Fish Roe Roll, Shrimp Tempra Roll, Yellowtail with Salmon, Salmon Skin Roll
* NY Roll: Cooked salmon with cucumber and scallions
* Philadelphia Roll: Cream cheese, smoked salmon and avocado

店 B
California Roll, California Roll with no mayo, Tuna Roll, Spicy Tuna Roll, Yellow Tail Roll, Salmon Roll, Salmon Skin Roll, Eel Roll, Shrimp Tempura Roll, Cucumber Roll, Avocado Roll, Cucumber & Avocado Roll, Philadelphia Roll, Boston Roll, Asparagus Roll

店 C
California Roll, Tuna Roll, Spicy Tuna Roll, Yellow Tail Roll, Salmon Roll, Cucumber Roll, Shrimp Tempura Roll, Avocado Roll, Asparagus Roll, Philadelphia Roll, Spicy Crunchy Tuna Roll, Spicy Crunchy Yellowtail Roll, Spicy Crunchy Shrimp Roll

とまあこんな感じです。通常、この roll (maki) とは別に big roll (big maki) セクションがあって、そこは所謂「太巻き」の類です。Rainbow Roll などはこちらに入ります。そしてさらに別にアラカルトがあって、そこは yellow tail やら salmon やら flownder などの単品ニギリ類です。

いつも面白いなあと思うのは、単品ニギリ類は日本と同様の品揃え(魚の species は違うとしても)である一方、この maki 類のバラエティが日本と全く異なることです。日本で巻寿司と言えば、鉄火とかんぴょう・ネギトロくらいで、あとはあるとしてもお新香くらいでしょう。納豆なんてのもあったか・・・ そしてまた面白いのは、この maki という単語も市民権を得ているように見えることです。

Maki 類がこんなに進化した最初のきっかけは、1963年に Los Angeles の東京会館の sushi シェフ真下一郎氏が California roll を考案したことに端を発するとのことです。California roll はカニ脚(またはカニカマ)、アボカド、キュウリ等を裏巻き(海苔が内側・酢飯が外側)にして炒りゴマ(またはトビコ)をふったようなもので、中身にマヨネーズが入ることもあるようです。

これ、2つのミソがあるそうです。ひとつは、海苔の嫌いな欧米人でも海苔を食べられるように工夫したこと。ふたつ目は、同様に欧米人に敷居の高い生の魚を使わないこと。これで sushi に入門して段々と日本式の sushi に入っていくのだそうです。
今では多くのアメリカ人がごく普通に sushi(ニギリ)を食べています。特に生魚を避けているようには見えません。

さてこの maki 類ですが、これは和食でしょうか? 博多ラーメンも札幌ラーメンも中華料理でないのと同様、これは和食ではないと思います。日本風アメリカ料理とでも言えばいいのでしょう。実際、日本で California roll をおいている寿司店は殆どないと思います。少なくとも「ふつうの寿司屋」以上のクラスであれば。また筆者も日本国内にいれば California roll を食べたいなどと思うことはありません。が、こちらにいると、California roll を食べようかな、と思うことがたまにあります。そして実際にオーダーすると、これが結構イケるわけです。とりたててスゴいレストランでなくても、ニギリがイマイチの店でも。

やっぱりカリフォルニアで採れたコメに、アボカドその他、素材はみんなアメリカ及び近隣諸国のもの。ここはカリフォルニアではなくメリーランドですが、ここで食べても California roll は結構イケてしまうんですね。満足のいかないニギリを食べたあと、California roll でクチ直しなどしたくなります。

さて上に3つの店の maki 類を列挙しました。生魚を使わない California roll の他、アスパラガスやらアボカドや cucumber などがあることが分かります。Yellowtail や tuna、サーモンなどはニギリの定番ネタですが、面白いのはウナギ。最初にお目にかかったときは、へー、アメリカでもウナギなんて食べるんだ~と感心したものです。

店 A では New York roll と Philadelphia roll に注釈をつけてありますが、店 B と C では説明がありません。ということは、これら Philadelphia roll と Boston roll は注釈ナシでも中に入るものにだいたいの共通理解がなされているということでしょうか?

また Wikipedia を見てみました。そうすると・・・

Caterpillar roll:アボカド・ウナギ・ニンジンの葉
Dynamite roll:エビの天ぷら・野菜・アボカドまたは cucumber・日本製マヨネーズ
Rainbow roll:酢飯を丸めた上に何種類かの刺身を並べる
Spider roll:ソフトシェルクラブ・cucumber・アボカド・カイワレまたはレタス・辛口マヨネーズ
Philadelphia roll:スモークサーモン・クリームチーズ・cucumber及び/またはオニオン
BC roll:サーモン(太平洋産)グリル・甘口ソース・cucumber
Crunchy roll:California roll で、中にエビ天ぷらを包み、外側に天カスをまぶしたもの。
Craig Roll:スパイシーツナ・カニ・アスパラガス・卵・魚卵
Godzilla Roll:yellowtailの天ぷら・テリヤキ・辛口ソース・グリーンオニオン

※ Cucumber はキュウリと訳すと随分違うものになるので英語のまま。Yellowtail もハマチかブリかヒラマサか分からないので英語のままにしてあります。グリーンオニオンは万能ネギを大きくしたようなものだと思ってください。Dynamite roll でわざわざ日本製マヨネーズと書いてあるのは、日米でマヨネーズの味が随分違うことを反映したものでしょう。

ちょっと眉唾ものだと思いますが、とにかく上のようなことが書いてありました。
Boston roll なんて載ってませんでした。Cram でも使うのでしょうか? 別の web では小エビ・アボカド・cucumber・トビコと書いてありました。
Philadelphia roll は、クリームチーズを使うのでそう言うのでしょう。クラフト社の製品 "Philadelphia brand" のクリームチーズは有名で、知らない人はいないと思いますが、どうやらこの製品が Philadelphia roll の名前の由来と思われます。というのは、実際には Philadelphia がクリームチーズの名産地というわけではないからです。

Los Angels では volcano roll なるものを食べたことがありますが、rainbow roll のトッピングの代わりに、魚卵だったか刺身だったか赤い材料でで火山の形を作ったものだったような記憶があります。カリフォルニアには3つほど活火山があるからこういうメニューを考えたのでしょうか?
上の3店とは別の Bethesda にある店で、Maryland roll なるものを出しているので食べたことがあります。中身が何だったか忘れましたが大方ブルーシェルクラブと何かでしょう。
このあたりの命名は各レストランが勝手につけているものと思いますが、Wikipedia に載っているものはそれよりは多少はコンセンサスが得られているものなのかも知れません。

上の様々な roll のうち、California roll、rainbow roll、volcano roll、Maryland roll しかまだ食べたことがないのですが、どれも結構イケます。それに変に日本ぽくないので、日本の味と比較したりしないので純粋に楽しめます。で、これら roll が幾らウマくても、これをまた日本に持ち込むと途端においしくなくなるのは容易に想像が出来ます。なんたって素材が違いますから。アメリカの素材が優れているという話ではなく、アメリカの素材をうまく使った料理であるからで、これは日本の素材を使っては再現できません。やっぱりこれはアメリカ料理。

折角アメリカに居るのだから、旨くないと文句をいいながらニギリを食べるのではなく、こういうものを楽しんだ方がどう考えても建設的ですよね・・・

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2007年12月11日 (火)

India Pale Ale

最近は1日1本の American craft beer を飲むようにしています。でも、普通の酒屋さんだと6本入りになっていますので、1回買うと6日は同じものを飲み続けることになってしまいます。例えば10種類を比較しようとすると、60日かかる計算になって、最初の頃に味わったビールの味などもう忘れてしまいます。結局どれが一番好みなのか分かりません。

しかし、先日 Virginia の大きなワイン屋さんに行ったら、12種類パックというのを売っていたので即購入です。12種類の craft beer が2本ずつで24本。しかも全部アメリカ産。中には Samuel Adams のような有名ブランドも入っていましたが、飲んだことのないものが殆ど。

Beer1_2 Beer2_2

12日間で全部トライ出来ました。随分性格が違うもんだということが良く分かりましたし、自分の好みはこれ! というのも分かりました。

その中で、"IPA" という表示のあるものがより好みなんだということも分かってきました。IPAとは、India Pale Ale の略。India? 何故に?

Wikipedia を調べてみたら、非常に面白い歴史が書いてありました。嘘か本当かは別として、とにかく面白かったので拾い訳してみます。少し辻褄が合わないようなところもあるので他の情報源で適当に補います。

なんと、あの東インド会社が関係します。1700年台、多くの軍人や民間人(多分イギリス出身の)からビールの需要が高かったので、イギリスから輸入を試みたけれども、何せ長い航海です(半年かかったそうです)。おまけにイギリスから大西洋を南下し、喜望峰を回る前には赤道直下を通りますし、インド洋上でも赤道直下を通ります。当時のイギリスで人気の dark ale や porter は、この悪条件で全部ダメになってしまったようです。

そこで George Hodgson は、East London にある Bow Brewery であるレシピを作りました。これはそれまで好んで飲まれていた pale ale の改良版で、ホップの含量とアルコールの含量を高めたものでした。これにより雑菌等の繁殖が抑えられました。この成功により、Hodgson は 1780 年からインド向け輸出を開始しました。インド向けの pale ale なので India Pale Ale。

一方イギリスのブルワリーはロシア向けにも輸出をしていましたが、上と同じ理由でホップとアルコール分を多くしていました。これは Imperial Pale Ale と呼ばれていましたが、政治的な理由で輸出がストップしてしまいました。困ったブルワリーはこれをインド向けに回し、その結果 Imperial Pale Ale と India Pale Ale は実質的に同じものになってしまったとのこと。

Hodgeson の成功により、1750年には1480樽だったイギリスからの輸出量は、1800年には9000樽にまで増えたそうです。 Salt、Allsopp、Bass が追随しますが、これらは後にイギリス国内・アイルランドでも IPA を販売します。しかし長い航海を利用して熟成させることが出来ず、醗酵を少々短くするため、ホップは輸出用に比べて抑え目にしてあるとか。ふつうの pale ale と輸出用の中間だそうです。

このあとインドでビールを作る取り組みが広がり、アジアにおけるビール市場が形成されて行きます。インドのビールは現在は lager か strong lager で、IPA を作っているメーカーはないとのことですが、International Breweries が、IPA を復活させ、逆にイギリス向けに輸出を計画しているとのことです。

アメリカでは20世紀の初頭から1980年代に製造をやめるまで、Balantine IPA が伝説的な存在だったそうです。これは 75 IBU(後述)を超える苦さだったそうです。1980年代からは、この Balantine IPA に近いものを作ろうとする microbrewery が数多く出現して、それと同時に色々な IPA が作り出されていったそうで、これらを American IPA と呼ぶとのこと。これは、基本的なレシピは IPA だけれども、アメリカ産ホップを使用するところが特徴だそうです。American IPA の IBU は概ね 40-60 で、アルコール含量は 7.5% 以下だそうですが、中には極端な American IPA を作るブルワリーもあって、IBU が 100 以上、アルコール分が 10-20% などというものもあり、これは Double IPA(DIPA)と呼ばれるそうです。西海岸に多いそうです。

DIPAの起源は、「間違い」だったとか。Temecula, CA にあるブルワリーで、あるときモルトの仕込量を、50% 多く入れてしまった。これを「補正」しようとしてホップを 100% 余計に入れてしまった。これが処方になっているとか。DIPA は 言わば大麦ワインで、成長中のビールだそうです。

さて、IBU について。
International Bittering Unit の略で、定義としては、ホップに含まれる isohumulone のビール中の含量を ppm 単位で表したものだそうです。Isohumulone は苦みのもと。

代表的なビールの標準的なIBUは次のとおり。

A General IBU Guide:

Ales
Pale Ale / Amber Ale: 20-50 IBU
India Pale Ale: 40-60 IBU (this would have quite a bitter bite)
ESB, aka Extra Special Bitters: 28-40 IBU
English Brown Ale: 20 IBU
Porter: 20-40 IBU
Irish Stout: 30-60 IBU (can be quite bitter, depending on signature)
Barleywine: 50-100 IBU (power punch!)

Lagers
American Pale Lager: 10-15 IBU
Pilsner: 25-45 IBU
Bock: 20-30 IBU

こちらの microbrewery はこの 25年くらいで急に育って来た産業だと聞いたことがあります。日本の地酒や地ビールなどと同様の事情(規制緩和)があるというようなことだったと思います。
おかげでなかなか楽しい経験が出来ます。こちらに来て1年半もビールを飲んでいるのに、ようやっと気がつくようなこともあるんですね・・・

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2007年12月 2日 (日)

Pressure Cooker

日本でも圧力鍋を持ってはいましたが、さほど使いませんでした。
こちらに来てだいぶたってから、ふとしたきっかけで圧力鍋を買いました。きっかけが何であったかは忘れましたが、大方 Food Network の何かの番組であった可能性が高いと思います。Alton だったか Emeril だったか・・・

さて圧力鍋で何を作るか、という話は置いておいて、今回は圧力鍋の構造について記してみたいと思います。筆者としては、この圧力鍋、実に良く出来ていると思うからです。

圧力鍋の特徴は、鍋に蓋(しかも密栓)をしてしまうこと。
圧力鍋に水を入れ、蓋をしないでそのまま火にかけてみると・・・ ただの鍋です。水の沸点(1気圧なら100℃)を保ったまま、いつまででもぐらぐらゆだってます。パスタでも茹でましょうか? うどんがいいですか?

しかし、圧力鍋に蓋をしても(なおかつ全ての弁が開かないように固定したとして)、缶詰でも何でも結構ですが、密封できる硬い容器に水を入れ、火にかけるとします。そうすると、100℃を超えても沸騰しません。さらに加熱します。110℃・・・ まだ沸騰しません。120℃・・・ まだ沸騰しません。
もし容器が充分に強力に出来ていれば、理屈では300℃にまで上昇するかも知れません(後日調べたら、理屈では臨界点374゚C・218気圧が上限のよう