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2009年3月12日 (木)

Lamb Vindaloo

東京にいた時分、ひいきにしていたインド料理店が麹町にあります。平日のランチ時は、沢山あるカレーから2種類を選んでライスつきというセットがあるのですが、ここに行くと、10 回に9回はキーマカレーとマトンカレーをチョイスしていました。ここで言うキーマはチキンのキーマです。平日のランチ以外は単品のオーダーしかないので、そういう場合は大抵マトンカレーを選んでいました。要するに一番好きなのがマトンで、次がキーマということです。

で、この店の味は本当にこの店でしか食べられないと思っており、だからこそそうやって通っていたわけですが、こちらでも、同じ味とは言わないまでも、ひいきを見つけられないものかとかれこれ2年半も思い続けていました。評判の良いインド料理店にもいくつか行きましたが、残念ながら見つけられずにいました。

今年に入って、改めてネットで調べてみると、麹町のインド料理店の味は、南インドの味らしいことを再認識しました。それならば、南インドの料理を供するインド料理店にあたって見たらどうかと思い、調べてみると、Rockville に1軒、Takoma Park に1軒あることが分かりました。このうち Rockville の方は既に2回も行った店で、2回ともバッフェを食べて、まあまあという感想を持っている店でした。ということで、Takoma Park の店に行こうと思いました。近頃は便利なもので、その店が HP を持っていれば、メニューを事前に調べることが出来ます。調べて行くうち、lamb vindaloo というのがもしかしたら自分の求めているものに近いかも、と思いました。なおこちらではマトンを用いることはまずありません。羊を食べるとしたら、ラムしか食べません。スーパーマーケットに行ってもラムしか売っていません。自分としてはマトンの独特の風味が好きなのですが、ないものは仕方ありません。ラムで行くことにします。Lamb vindaloo をオーダーすることは決定です。
行く時は2名で行きますのでもう一皿選びたいわけですが、そこはノーマルに chicken curry をオーダーすれば最もその店の特長が良く分かるのではないか、と思い、それも決定。

とある土曜日、実際にその店に行って見ると、バッフェか? と聞かれるので、いや、レギュラーメニューがいいと言うと、OK と席に案内されます。メニューを見ると・・・、ありました、予定の2皿。予定通りにオーダーし、食して見ると・・・ 満足です。これが食べられるなら麹町に行かなくても結構です。Lamb vindaloo は期待通りの味。Chicken curry も申し分ありません。嬉しくなって、よし、月イチで来ようと思いました。2年半の恨みが解決されました。

さてこの vindaloo という料理ですが、上の店でも注文時、「辛いよ?」と注意されたのですが、こちらのインド料理としては激辛の部類に入るようです。日本にいるときに聞いたことのない名前なので、どんなものかちょっと調べてみました。

Vindaloo という単語は、"Vinha d' Alhos" というポルトガル語が語源になっているとのことで、その意味は「酢とニンニク」だそうです。ワイン(もしくは酢)とニンニクを用いて作る、通常はポーク料理のようです。また、Vindalho とか Vindallo とか表記されることもあるようです。
"Carne de Vinha d' Alhos" は、最初ポルトガル人によって Goa という町にもたらされた料理で、後に Goa 料理にまでなったようです。伝統的なポルトガル料理では、この料理はポークを赤ワインまたは赤ワインビネガーとチリペッパーに漬け込み、ニンニクと共に煮込みます。Goa ではこれにたっぷりの香辛料を加え、Vindaloo curry に進化したようです。レストランではチキンまたはラムで供されることが多く、ポテトを加えることもあります。伝統的な vindaloo ではポテトは入りませんが、ヒンズー語の "aloo" という単語がポテトを意味することから、ちょっとした矛盾が生じているようです。

そして、vindaloo が一般的なのは Goa でだけであり、インド全体ではそうではないようです。インドの外では、英国、中近東、オセアニアでは殆どのインドレストランでメニューに載っているほどポピュラーだそうです。また米国・カナダでも良く見られるとのことです。メニューの中では通常最も辛いカレーですが、"Tindaloo" というより辛いバージョンがある場合もあるとのことです。

Vindaloo とかバンダルーとかを日本語版 Google などでひくと、かなり少数しかヒットしないので、日本ではポピュラーでないのは間違いありません。これを供するレストランもあるにはあるようですが。

さて上で書いたとおり、この vindaloo を食べるために Takoma Park まで行ったのですが、その後調べてみると、相当数の店でメニューに載っていることが分かりました。上で述べた既に2回行った Rockville の店にもありました。なんと、灯台もと暗しです。改めてこれを目的に行って見ると、何のことはない、Takoma Park よりも美味しい。Chicken curry も言うことありません。これに気を良くしてその後 Rockville と Bethesda のインドレストランを 10 軒近く回って、同じメニューの食べ比べをしました。
そこで分かったことは、次のようなことです。
当然店によって好みは別れますが、全般にどこの店の皿も十分美味しく、東京でもなかなかないレベルにあること。これは東京に帰ったら却ってストレスになるかも。
そして、バッフェを食べてはいけないということ。バッフェは作り置きですし、その店の実力が全く発揮できないように思います。バッフェは非常に経済的ではありますが、店・客の双方に勿体無い食事のような気がします。

さて上で書いたようにこの vindaloo、純正インド料理ではなく、ヨーロッパ混じりのものです。これは意外でした。インド文化にヨーロッパが混入しているとは考えても見ませんでした。
実は、こちらのインドレストランで良く見かけるメニュー、"chicken tikka masala" もそうだと言うことを先ほど初めて知りました。Chicken tikka そのものは串焼き版タンドーリチキンのようなものですが、それをカレーソースに入れたものだそうです。この発祥は 1960 年代、グラスゴーにある British Bangladeshi レストランでのこと。Chicken tikka は上で書いたようなものなので、結構ぱっさりしています。これを嫌った客が、何かグレービーを頼んだところ、シェフがトマトスープ、ヨーグルトにスパイスからなるソースを思いついたのが最初とか。
ということで、chicken tikka は純正インド料理だけれども、chicken tikka masala は「スコットランド料理」だそうです。まあ確かに欧風カレーは確かにヨーロッパに定着していますし、ことにイギリスではポピュラーですから、不思議なことはありません。明太パスタや納豆パスタがイタリア料理でなく、ラーメンが中華料理でなく、パク森カレーがインド料理でないのと一緒です。

去年は、日本では仲々お目にかかれないアメリカ版中華料理の存在を知りましたが、インド料理でも似たようなことがあるようです。しばらく楽しめそうです。

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