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2008年1月 5日 (土)

Clam

最近、seafood の店で手頃なアペリティフとしてオーダーするのが、steamed clam。Clam とは言うまでもなくクラムチャウダーのクラムなのですが、つい今日までそれが何の貝なのか意識していませんでした。
どうも日本でクラムチャウダーと言うと、入っている貝の身が比較的小さい印象があり、アサリ程度の大きさなのだろうと思っていました。アサリの水煮缶など買って来て、チャウダーのようにしたり、パスタに入れたりしていましたし、「アサリのクラムチャウダー」なるレシピがあったりしたからでしょう。

が、事情は随分異なるようです。Steamed clam を何度かオーダーすると、随分大きな貝が出てきます。長径7~8センチもあろうかと思うくらいの貝です。日本で言うならば、大振りのハマグリというところでしょうか。そこでまた調べてみました。

まず、Wikipedia で clam と引くと、「二枚貝のこと」と書いてあります。二枚貝の総称で、次のようなものが該当すると例示されていました。

The ark clams, family Arcidae
The nut clams, family Nuculidae
The pointed nut clams, family Nuculanidae
The duck clams or trough shells, family Mactridae
The marsh clams, family Corbiculidaess
The file clams, family Limidae
The hard clam or Northern Quahog: Mercenaria mercenaria
The Soft clam: Mya arenaria
The surf clam: Spisula solidissima
The ocean quahog: Arctica islandica
The Pacific razor clam: Siliqua patula
The giant clam: Tridacna gigas
Chink or Asiatic clam: genus Corbicula
Peppery furrow shell: Scrobicularia plana
Pismo clam: Tivela stultorum (8 inch shell on display in the Pismo Beach Chamber of Commerce)
Geoduck clam: Panopea abrupta or Panope generosa (largest burrowing clam in the world)
The Atlantic jackknife clam: Ensis directus

しかしながら、こと料理の世界に関しては、多くの場合 hard clam Mercenaria mercenaria を指し、場合によっては Soft-shell clams Mya arenaria も指すようです。

Soft-shell clam は、別名 "steamers"、"softshells"、"longnecks"、"Ipswich clams" などと呼ばれ、調理法としては bake、fry、clam chowder などが適するそうです。"Steamers" (steamed soft-shell clams)も New England の重要な料理だそうです。

そして hard clam ですが、こちらは成長段階で小さい順に
countnecks - littlenecks - topnecks - cherrystones - quahogs or chowder clams
と呼ぶそうです。分布は北米東海岸、Prince Edward Island から南はユカタン半島までだそうですが、中でも Cape Cod 及び New Jersey、lower Chesapeake Bay が重要な産地で、その他  "quahog country"(Rhode Island 州) の中央に位置する Rhode Island は、全米の quahog の年間水揚げの 1/4 を産するそうです。

日本とは異なり、この hard clam、生で供されることは珍しくありません。良く raw bar などで氷の上に置いてあります。日本でハマグリなどが「ビタミンB1を分解してしまう酵素アノイリナーゼを含むため、生食には向かない」とされているのと対照的です。調理する場合は、大きさによって少し向き・不向きがあるようです。

Littlenecks:貝殻ごとソースやスープ、シチュー、clams casino に使われるほか、南欧風シーフード料理でヨーロッパ種(cockleなど)の代用として用いる
Quahogs、chowders、cherrystones (堅い肉のもの):ミンスして、小さい貝や柔らかい肉のものと混合して用いる

ここで上に出てくる clam casino とは、次のようなものです。

1. フライパンでカリカリベーコンを作っておく
2. クラムをオーブンで軽く熱し、貝を開かせて肉を取り出し、ミンスしておく
3. オニオン、ペッパー、ガーリックをバターソテーする
4. パン粉、オレガノ、チーズ及び 1~3 を混ぜ、貝殻に戻し、オーブンで焼く

Wikipedia によると、クラムチャウダーとは、クラムとブロス(ブイヨン)を含むものを指すとあり、単純明快で結構です。が、クラムのほか、ぶつ切りのポテトも珍しくなく、またベーコンなど塩を使用した豚肉製品からの肉汁でソテーしたオニオンなどもポピュラーとのことです。Small carrot は色どり目的で入れられることもあり、またパセリも同様。ベイリーフで風味づけすることもあるが、その他の野菜は使われないのだそうです。

そして、クラムチャウダーの2大兄弟は、New England Clam Chowder と Manhattan Clam Chowder。前者はルーを用いてクリーミーに仕上げた白いチャウダーです。対して後者はトマトベース。発明は 1890年代で、当初は "Coney Island clam chowder" とか "Fulton Fish Market clam chowder" と呼ばれたけれども、1900年代に入って "Manhattan clam chowder" となったとか。
北部 Rhode Island では、紅白どちらのチャウダーも供するけれども、南部ではクリア(後述)と白チャウダーを供するとか。
そしてそれ以外の地域では、紅白どちらかのチャウダーしか供さないのが普通とか。

この2つのほかに、マイナーではあるけれども Rhode Island Clam Chowder というのもあるそうです。これはルーもトマトも入れずに、クリアなスープだそうです。Rhode Island 州南部や、Block Island の由緒ある New England ホテルやレストランでは今も供しているそうです。

日本でクラムチャウダーと言うと、明らかに New England style をイメージしていますね。でも先日 Manhattan style を食べましたが、中々イケました。それと、とあるレストランでやけに堅い steamed clam を食べたのですが、上に書いてあるように、本来そういう使い方をしない貝だったのでしょう。
それから、クラムチャウダーを食べて大きな貝をイメージしないのは、Littleneck クラスを使っている可能性が高いのと、仮に Quahogs クラスを使っているとしても、刻んで使っているからと思われます。

さて、知人にボストンのとあるレストランのクラムチャウダーの大ファンがいます。ボストンでなくても、先日ロックビルに来たときホールフーズでクラムチャウダーのテイクアウト(1リットルもあろうかというカップ)を買って来て、本当に幸せな顔をしていました。やっぱりアメリカのクラムチャウダーはおいしいのでしょう。

それはなぜ?

お決まりの答えですが、日本とは貝の種類が違います。上記の例示の中には、日本のヤマトシジミ Corbicula japonica、マシジミ Corbicula leana は含まれるものの、ハマグリ Meretrix lusoria、外房や鹿島などで取れる本来外来種のチョウセンハマグリ Meretrix lamarckii 、アサリ Ruditapes philippinarum などは含まれていません。逆に言えば、日本には hard clam M. mercenaria が流通していません。やっぱりチャウダーにするなら M. mercenaria でないと、ということでしょうか。逆に味噌汁にするならシジミでしょうし、酒蒸しにするならアサリでしょうか。焼きハマグリなんて醤油も手伝って最高です。

本当に北米東海岸、特に Prince Edward Island から Chesapeake Bay にかけてはウルサイシーフードとウルサイ素材がてんこ盛り。日本のシーフードも最高ですが、こちらはこちらで最高。まだまだ勉強しなくては・・・

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